前回、『aeru』のウララママに「海外に縁がある」と言われた二宮さん。なんの因果か、今宵のスナックホッピングを締めくくるのはニューヨークにある『Aquihito』だ。
タイムズスクエアという中心地の徒歩圏内にある『Aquihito』のドアをノックする。
場所はニューヨークでも、日本のスナック的なホスピタリティが充溢
東京とニューヨークの時差は14時間。現地は朝の8時半頃だったが、アキトママはビールで乾杯してくれた。
大阪出身のアキトママは、お笑い好き。日本のTV番組もしっかりチェックしているため、日本の時事ネタにもしっかり対応してくれる。ニューヨークだからと気にしすぎることなく、興味の赴くままに話ができる。
二宮さんがタイムズスクエア周辺を見てみたいと言うので、フットワーク軽くアキトママは外へ。この日はあいにくの雪模様だったが、鉛色の風景がニューヨークらしく見ているだけでもテンションが上がる。
店に戻ってきたアキトママに、これまでのキャリアを振り返ってもらう。デザインなどアートの勉強をするために渡米したアキトママは卒業後、広告代理店やヘアサロンのマネージャーとして仕事をしていた。もともと寿司屋の息子で、日本時代にはゲイバーで働いていたこともあり、夢は「いつか自分の店を」。ニューヨークでリカーを取り扱うには永住権が必要なため、それを取得し、2019年8月に店をオープンさせた。
オープンから数カ月でコロナ禍に見舞われたが、20歳〜80代の老若男女、LGBT関係なく様々なゲストがいると話す。
「オンラインスナックに限ると、なぜか訪れるお客さんの多くが埼玉県の方なんですよね」とアキトママが不思議そうすると、埼玉出身の二宮さんが、どうして埼玉県人がニューヨークに憧れるのかを説明する一幕もあった。同じ日本でも関東と関西でもお互い知らない文化はある。オンライン越しとはいえ、日本とアメリカでそんな会話をしているのが妙におかしかった。
アキトママがくすぶった気持ちを抱える二宮さんの背中を押す
アキトママにオンラインスナックのよさを尋ねる。
「スナックのママっていろんなお客さんを接客したり、お酒作ったり、かなり忙しいからゆっくりお話するのは難しいでしょ? その点、オンラインならマンツーマンでじっくり喋れるから、よりお互いのことがわかるところですね」
アキトママの分析を受けて二宮さんも「確かにママを独り占めできるのがオンラインのよさ!」と同意する。
なんでも受け入れてくれそうなアキトママの懐の広さに二宮さんも引き込まれていく。ただでさえ仕事や結婚などで揺れがちな世代なのに、このコロナ禍だ。二宮さんに限らず、不安を抱える人は多いだろう。今後の身の処し方をアキトママに相談する。すると「コロナが落ち着いたら、ニューヨーク来てみたら?」とあっけらかんと話し出す。
「私がニューヨークに来た理由のひとつは、大阪時代の知人の友人の家に居候させてもらえたから。そんなちょっと遠いつながりから始まったし、飛び出せばで視野が広がって行くし、見えてくるものがあるはず。二宮さんの夢がニューヨークで叶わないならヨーロッパに行くとか、チャンスは自分で拾いに行くもの。人生は無限じゃないから有意義にすごさないとね」
もともと海外志向のあった二宮さんは、ビザなど具体的な海外渡航の方法をアキトママにレクチャーしてもらうまでに。
「とにかく1回遊びに来て。ニューヨークにはたくさんチャンスがあるから、何か発見があるかもしれないし」
アキトママのその言葉で、タイムアップとなった。
二宮さんの顔を見ると、気のせいか先程よりもどこか吹っ切れた明るい表情になっている。
「ニューヨークだからちょっと厳しいママだったら……っていう先入観がありましたけど、アキトママは優しくて安心。それにアキトママのメッセージでちょっと目の前が開けた感じがあります」
「新型コロナが終息したら、ニューヨークに行きます!」と力強いコメントをしてくれた。
アキトママの前向きなメッセージを受け取りに、オンラインでニューヨークの雰囲気を味わいにぜひアクセスしてほしい。
『オンラインスナック横丁』では、他にも魅力的なスナックが多数参加している。鬱々としがちな今だからこそ、画面越しにママたちから元気をもらおうではないか。
【Aquihito】
問い合わせ先
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Aquihito TEL:+1-917-475-1926
オンラインスナック横丁料金/ママとマンツーマン60分¥4,500〜、グループ貸切60分¥6,500〜
オプション/ママのドリンク¥500、延長30分¥2,000〜 -
【実店舗情報】
住所/359 West 39th Street New York, NY 10018 U.S.A
営業時間/17:00〜22:00
定休日/月曜
メニュー/生ビール$7、ハイボール$9〜、グラスワイン$9〜
※新型コロナウイルス感染症の状況により、営業時間等が変更になる場合があります。
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 小倉雄一郎(小学館)