素材の味を丸ごと味わう大胆さとフランス料理や和食のような繊細さと。独自に進化するニッポンの中華は世界の美食家からも注目の的。
雑誌『Precious』3月号では特集「2021、行くべきは「アップスケール中華」」を展開。ダイナミックかつラグジュアリーに昇華する話題の中華の名店を取材しました。
本記事では、フード&ライフスタイルジャーナリストの秋山 都さんが「TexturA」をご紹介します。
※掲載の情報は1月7日時点のものです。営業日や営業時間に変更の可能性があるため、お出かけの際は最新情報をご確認ください。
中華×スパニッシュ!ジャンルを超えたアプローチで新感覚中華を
東京・日比谷のスタイリッシュなビルの1階に、2019年4月オープンした「テクストゥーラ」。築地「一凛」、鎌倉「イチリンハナレ」など話題の人気店を手がける齋藤宏文シェフの新店舗です。
「イノベーティブ、フュージョンなど、進化系チャイニーズも今、トレンドのひとつとなっていますが、こちらはそのトレンドとは一線を画します。というのも、中華料理とスペイン料理の融合ではなく、おこげとチュレトンのように、異なるジャンルの料理がそれぞれコース内でサーブされるから。
中華とスパニッシュは一見すると真逆の方向性とも思えますが、ともに食材を重視し、香りをしっかり立たせるものが多く、料理を熱々で供するなど共通するポイントも多数。そういえば紹興酒とシェリーも似ていますよね」と秋山さん。
「赤坂四川飯店」出身のシェフならではの、ジャンルを超えた遊び心あふれる料理は、コースだけでなく、アラカルトでも楽しめます。
「おすすめは『よだれ鶏』。まずそのままで食し、余ったごまダレに餃子をディップ。さらに麺を絡めて汁なし担々麺に、最後は豆乳を加えてうま味たっぷりのスープを飲み干すという『よだれ鶏の三段活用』はほかで味わえるものではありません。ちなみに、黒酢酢豚の『カツサンド』も絶品」(秋山さん)
カジュアルダイニングエリアではアラカルトを、レストランエリアではコース料理と、ふたつのゾーンに分けられていて、気分や用途によって使い分けができるのもうれしい点。
また、スパニッシュの定番パエリアが無料で配られるというサプライズメニューも。イカ墨と菜の花、丸鶏のパエリアなど、具は日替わりでタイミングもお店まかせ。直径1mほどの大鍋で炊き上がりしだい、各テーブルを回っておすそわけというシステム。
エンターテインメント性あふれる仕掛けと、中華とスパニッシュのいいとこどりの料理。さまざまなシーンで利用できる、頼れる一軒になりそうです。
ディナーコース全10皿、大公開!
レストランエリアで楽しめる「メニューのないコース」¥12,000の一例。その日の最高食材を使い、ゲストのリクエストも取り入れながら構成される特別コースゆえ、メニューがありません。
よだれ鶏、三段活用!
丹波産の高坂鶏を使ったよだれ鶏は、「一凛」や「イチリンハナレ」でもおなじみの、齋藤シェフのスペシャリテ。ふっくらとやわらかな鶏肉と白レバーのパテに、黒酢の酸味と辣油の辛味とコク、幾重の味わいが連なる特製ダレ。このタレを余すことなく楽しめる三段活用…、そのセンスに脱帽です。
コース中盤の野菜料理は色鮮やかな蒸し野菜。アンチョビ、生姜、落花生、塩などでつくられたソースにつけて。続く魚介系は、カラリと揚げた牡蠣と下仁田ネギの甘さが絶妙に絡むひと皿。
コース終盤。4種のきのこと干し貝柱、イベリコ豚の生ハムなどで取っただしをカルタファタ(高熱耐熱ラップ)に包み、オーブンへ。アツアツの包みを開けた瞬間きのこの香りがふわり!
そこに神戸牛肩ロースを投入ししゃぶしゃぶっといただく。熱と香りを楽しむひと皿。続くチュレトンとはバスク風の塊ステーキ。
肉料理は、まずその日の素材を丸ごと見せてくれ、ゲストが好きな肉を選び食べ方も相談できる。
問い合わせ先
- TexturA
- 営業時間/[カジュアルダイニングエリア]平日ランチ11:00~14:30(L.O. 14:00)、カフェ14:00~17:00(L.O. 16:00)、ディナー17:00~23:00 (L.O. 22:00)、土日祝 11:00〜23:00(L.O.22:00)
- [レストランエリア]ランチ12:00~15:00(最終入店12:30)、ディナー17:30~23:00(最終入店20:30)
- ※予約推奨
- 定休日/無休
- レストランエリアのコース/ランチ¥5,000〜、ディナーコース ¥8,000〜
- TEL:03-6259-1144
- 住所/東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル1階
- PHOTO :
- 篠原宏明、長谷川 潤、 川上輝明(bean)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、 佐藤友貴絵(Precious)