日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。
極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは新潟県・越後長野温泉にある「嵐渓荘」です。

公式サイト
登録有形文化財の宿で渓谷美と向き合いながら湯浴みする
新潟県・燕三条駅から車を走らせること約45分。守門岳を望む渓谷沿いに静かに佇むのが今回ご紹介する「嵐渓荘」です。国の登録有形文化財の建物を移築した緑風館をはじめ3つの建物で構成された一軒宿で、磨き込まれた廊下や趣深い欄間など、古き良き日本旅館の美意識が色濃く感じられます。
とりわけ新緑の季節は、歴史ある建築とみずみずしい緑が溶け合う景色が眼福。まるで一幅の日本画の中に入り込んだような風情の中で温泉に癒されるという非日常体験が叶えられると植竹さんは話します。
「『嵐渓荘』の泉質は、ナトリウム-塩化物冷鉱泉。浴槽では入浴に適した温度に加温しています。特筆すべきは、日本でも有数の成分量。温泉法で療養泉として認められるのは1,000mg/kg ですが、こちらでは15,670mg/kgと基準の約15倍も含まれ、のどかな里山にありながらまるで海水のようにミネラル豊富です。
浴槽に浸かると肌にまとわりつくような浴感があり、湯上りは塩のヴェールに包まれてしっとり感とポカポカ感が持続します」(植竹さん)
男女別の大浴場には、それぞれ内湯と露天風呂を完備。内湯はガラス張りで四季折々の景観を眺めながら湯浴みできる開放的な空間です。一方、石造りの露天風呂では山々の緑が目の前に迫り、より自然との一体感を楽しめます。
さらに、高台にある湯小屋「山の湯」内には内湯と露天風呂を備えた貸切風呂が2種。敷地内で最も川上に位置する「石湯」は渓流をダイナミックに感じられる絶景スポットです。もうひとつの「深湯」は、最深部が約130cmあり立ち湯を楽しめる造り。立ったまま肩まで浸かると、強塩泉の浮力も相まって、体がふわっと浮くような独特の浮遊感が味わえます。
「鮮やかな新緑に囲まれながら、川音や鳥の声に耳を澄ませる贅沢な時間が格別。1階にある大浴場では渓谷の息吹を間近に感じ、高台に設けられた貸切風呂では、よりダイナミックで開放感のある景色を独占する…というふうに異なる視点から自然美を満喫できて、心身共にリフレッシュできました」(植竹さん)
手間暇を惜しまない山菜料理で里山の春を味わい尽くす
「嵐渓荘」で供されるのは、地元の豊かな自然と新潟の旬を凝縮した会席料理。定番の「山里会席」に加え、5月末まではこの時期だけの「山菜尽くし」のプランがあり、春の恵みを堪能することができます。
主役となるのは、タラノ芽やコシアブラ、ウルイといったみずみずしい山菜。カラリと揚げられた天ぷらは、春特有の心地よい苦みと爽やかな香りが口いっぱいに広がります。また、ワラビやゼンマイなどは丁寧な下ごしらえにより、出汁のうま味が引き立つ上品な煮浸しや和え物に。趣向を凝らした数々の料理がゲストの目と舌を楽しませます。
朝食に並ぶのは、里山の滋味が凝縮された品々。鮭の味噌漬け、山菜や野菜の小鉢、自家製おぼろ豆腐など、素材のよさを引き出すように手間暇をかけた料理は炊きたての新潟産コシヒカリとの相性もよく、箸が進みます。
そして、朝食でぜひ味わいたい名物メニューのひとつは「温泉粥」。ミネラル豊富な源泉で炊き上げることによって絶妙な塩加減に仕上がり、出汁のようなうま味も感じられる唯一無二のごちそうが旅のフィナーレをよりいっそう盛り上げてくれます。
以上、新潟県・越後長野温泉「嵐渓荘」をご紹介しました。渓谷美を望む成分濃厚な名湯や里山の旬を味わう会席理で、五感をゆるやかに解きほぐしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 嵐渓荘
- 住所/ 新潟県三条市長野1450
客室数/全16室
料金/朝夕2食付き 山菜満彩プラン 2名1室1名 ¥28,600~(税込) - TEL:0256-47-2211
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)

















