待ちに待った春がやってきました。ステイホームの影響で今季は洋服をあまり新調していないという方にもおすすめなのが、スカーフのような小物類。手持ちのウェアやバッグにプラスするだけで、瞬時に新鮮な着こなしが完成します。

今季のHERMÈS(エルメス)は、春らしく爽やかなパステルカラーのスカーフが充実。今回はそのなかからエルメスのルーツを表現する鞍をモチーフにしたデザインと、エルメス第一号店であるパリのフォーブル・サントノーレ通りのブティックをモチーフにしたデザインの2タイプをご紹介。モチーフやデザインについてより深く知ることで、より装いの楽しみが広がること間違いなしです。

エルメスの歴史を感じさせるモチーフを描いた、繊細かつ華やかなスカーフたち

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エルメスの新作スカーフ

エルメスのラインナップのなかでも永遠の定番といえるのがシルクツイルのカレ(スカーフ)。今回ご紹介する《セル・デ・ステップ》と《フォーブル・トロピカル》は、メゾンのモチーフを拾ったデザイン。華やかかつ爽やかなパステルカラーで、春の着こなしをフレッシュに仕上げてくれます。

双頭の鷲が目を引く、儀式用の鞍を描いたスカーフ《セル・デ・ステップ》

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スカーフ《セル・デ・ステップ》¥52,000 ※シルクツイル100%【縦90×横90㎝】

スカーフ《セル・デ・ステップ》の図案は、繊細な表現を得意とするデザイナー、ヴロデク・カミンスキによるもの。彼が描いたのは、19世紀末のものとされるトルクメニスタンの鞍で、膨大な数のアートやオブジェを蒐集したことで知られるエルメス家の3代目、エミールによる「エミール・エルメス・コレクション」に収蔵されています。

反り上がった鞍頭をもつ儀式用の鞍で、刺繍の入ったクッションとカバーがのせられているのが特徴。パレードの時などに使用するクルペラン(馬の腰回りにかける扇状の装飾布)には、ロシア帝国のエンブレムに由来する双頭の鷲が賑やかな動物や花々の絵とともに描かれています。

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スカーフ《セル・デ・ステップ》に描かれた双頭の鷲

王冠を戴いた双頭の鷲が象徴するのはヨーロッパとアジア。当時ロシア帝国がふたつの大陸にまたがり、広大な領土をもっていたことを表します。

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スカーフ《セル・デ・ステップ》の縁と鐙の模様部分

スカーフの縁と鐙の革部分の模様が同じなのもグラフィカルなポイント。全体を広げると華やかな印象ですが、首にくるっと巻くとジグザグパターンがきいたシャープな印象が楽しめます。

エルメスのショップがジャングルに変身! ユーモア溢れる《フォーブル・トロピカル》

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スカーフ《フォーブル・トロピカル》¥52,000 ※シルクツイル100%【縦90×横90㎝】

スカーフ《セル・デ・ステップ》と同様、パステルカラーを基調にした春らしく爽やかな色使いのスカーフが《フォーブル・トロピカル》。こちらを手がけたアーティストはオクターヴ・マルサルとテオ・デ・グエルツ。1880年にパリのフォーブル・サントノーレ通り24番地にオープンした馬具工房とエルメス家の私室を備えた第一号店がモチーフです。

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スカーフ《フォーブル・トロピカル》からはみ出すように描かれた花火師

店舗が熱帯雨林のなかにぽんと紛れ込んだかのような、植物と動物に満ちた図案が特徴。じっくり眺めてみると、ジャングルのなかにはチーター、猿、オウム、蛇などさまざまな動物たちを見つけることができます。ユーモアたっぷりに描かれた、右下にちらっと覗く花火師の姿にも注目を!  見れば見るほど楽しい、大人の絵遊びが満喫できる1枚です。もちろん、《セル・デ・ステップ》も《フォーブル・トロピカル》も縁かがりは手作業。細部にクラフトマンシップを感じることができます。


今回は、精緻なイラストと華やかな色が特徴的なエルメスの新作スカーフ2点をご紹介しました。首元に巻くほか、ベルト代わりにしたりヘアアレンジに活用したりと使い方は自由自在。また、製品にメゾンの歴史やストーリーが込められているのはエルメスならでは。モチーフやデザインについて思いを巡らせる楽しみも得られるスカーフたちです。

※掲載した商品は税抜です。

問い合わせ先

エルメスジャポン

TEL:03-3569-3300

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この記事の執筆者
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PHOTO :
木村 慎
WRITING :
門前直子
EDIT :
石原あや乃