古き良き時代の英国車を代表する、流麗なスポーツカー、ジャガー・Eタイプ。見ため通りの優雅な身のこなしも魅力だった。そして2013年、ジャガーの新しいスポーツカーとして登場したのが、Fタイプだ。この2台、直接的なつながりはないにせよ、やはり気になるところである。モータージャーナリスト・吉田 匠は、新旧ジャガー・スポーツに、英国精神の変化を感じ取ったという。

 ウイリアム・ライオンズなる、美的感覚に優れ、商才にも長けた男が1922年に興したサイドカーボディの工房に始まるジャガーには戦後、ふたつの顔があった。ひとつは、スポーティにして上品なサルーンを生み出す顔であり、もうひとつは、高性能かつスタイリッシュなスポーツカーを生み出す顔である。

 今回の『Fタイプ』はもちろん後者である。

 1961年に発表されて、’75年に生産を終了、その間に7万台余りが造られ、今も世界中で多くのファンを魅了しているクラシックなスポーツ・ジャガー、『Eタイプ』。

 その栄光を受け継ぐべく生み出されたのが、『Fタイプ』なのだ。『Eタイプ』のエンジンは、最初3・8リッターの直列6気筒だったが、最終的には5・3リッターのV12が搭載された。だからパワーは常に十分だったが、それでも『Eタイプ』は、パワーで押し切るタイプのスポーツカーではなかった。

『Eタイプ』の特徴は、その精悍にしてエレガントなスタイリングに似て、俊敏かつ優雅な身のこなしにあった。「猫脚」と形容されるジャガー特有のしなやかなサスペンションは、スポーツカーの『Eタイプ』にも生かされていたのである。 ところが新しい『Fタイプ』は、それとは少々趣が異なる

 エンジンは3リッターV6と5リッターV8で、いずれもスーパーチャージャーで過給されて、それぞれ340㎰と495㎰を発生、8段ATを介して後輪が路面を蹴る。

結果、「V8 S」のモデル名を持つ後者は、300㎞/hのトップスピードを誇る。

しかも『Fタイプ』、なかでも特に、「V8 S」は、アクセルを踏み込んだ途端にマフラーから雷鳴のような爆音を奏でて、蹴飛ばされたように加速する。

英国伝統の「アンダーステイトメント」、つまり控え目さを捨て去った直情的なクルマに仕上げられているのだ。 コーナーに嬉々として飛び込んでいく『Fタイプ』は、まぎれもなく英国の、ジャガーのスポーツカーだが、そこに込められた英国魂は、これまでよりずっと自己主張が強く感じられる。

それこそが今風の、新しい英国魂なのかもしれない。
※2017年11月現在、V8モデルは「FタイプR」及び「Fタイプ SVR」が販売されています。

ジャガー『Fタイプ 』

スポーティでありながら優雅さと高級感を備えた『Fタイプ』。V8モデルには、高速コーナリング時に体をサポートするパフォーマンスシートをオプション設定。上質なプレミアムレザーを使用し、シートベルトに至るまで、好みのカラーコーディネートが選べる。

DATA
●ボディサイズ:全長4,470×全幅1,925×全高1,310㎜
●車両重量:1,810㎏
●エンジン:DOHC、V8気筒・スーパーチャージャー付き
●総排気量:4,999㏄
●最高出力:495㎰/6,500rpm
●最大トルク:625N・m/2,500rpm
●トランスミッション:8AT
お問い合わせ
TEL:0120・050・689(ジャガー・ランドローバー・ジャパン)

この記事の執筆者
TEXT :
吉田 匠 自動車評論家
BY :
MEN'S Precious2013年秋号 巻頭コラムより
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