2012年の初登場以来、毎年のように超満員のブルーノート東京を沸かせているピアニスト山中千尋。今年初のステージも間近に迫っている。そこで、ジャズにはあまり詳しくないという人のために、彼女のプロフィールを紹介する。“世界を舞台に活躍する”と称される理由が、きっとわかるだろう。
世界を舞台に華々しく、そして着実に重ねたキャリア
桐朋学園大学音楽学部を経て彼女が留学したのが、アメリカのバークリー音楽大学。在学中から多くの有名アーティストと共演し、幾多の賞も受賞。レコーディング・デビュー前から華々しい経歴を重ねる。
バークリーを首席で卒業後、2001年10月にコアなジャズ・ファンの支持を集める日本のレーベル「澤野工房」から、デビュー・アルバム『Living Without Friday』を発表。同作は大手CDショップ各店のジャズ・チャートで軒並みトップ・セールスを記録し、新人としては異例の成績を収める。2002年12月には第2作『When October Goes』をリリース。ニューヨークの若手トップ・ミュージシャンを従えての演奏が大きな話題となる。
2003年にはドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS系)で「山中千尋 ニューヨーク・トリオ ツアー2003」の模様が放映されたことをきっかけに日本での知名度も高まる。日本でのライヴ活動も本格化すると、逆輸入の形で日本のファンの心をがっつりと掴むこととなる。
ジャンルを超えて表現の多様性を拓いていく
その後も、拠点を二ューヨークに置きながら、話題作となる数々のアルバムをリリース。ライヴ活動は、アメリカの他、ヨーロッパ各国、そして日本へとツアーに伴って拡げられ、正真正銘“世界を舞台に活躍する”ジャズ・ピアニストとなる。また、2015年9月からは母校バークレー音楽大学で助教授として後進の指導にあたるなど、音楽家としてのキャリアも積んできている。
昨年6月に発売されたメジャー・デビュー15周年記念アルバム『ローザ』では、オリジナル曲に加えチャーリー・パーカーやベートーベンの楽曲までも採り上げ、より進化した姿を見せている山中千尋。さらに昨年は、初の小説「フェイシング・ユー」を文芸誌(文學界2020年11月号) に発表。福島県の郡山市立美術館とのコラボレーションで画家のミュシャをテーマにしたライヴを開催するなど、これまで以上に自分らしく、表現の多様性に挑んでいる。
ブルーノート東京でのこれまでのライヴでは、曲の合間にオーディエンスに語りかける山中千尋のトークも魅力的と評判。今回のライヴ(4月24日と25日)では、それも楽しみ。
世界を舞台に、そして、ジャンルを越えて活躍するピアニスト山中千尋の今現在の姿を、この目で確かめたい。
CHIHIRO YAMANAKA TRIO
■スケジュール:2021年4月24日(土)、25日(日)
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- TEXT :
- 堀 けいこ ライター