グレージュの魅力を知り尽くす、名だたるプレシャスブランドは最高の素材・仕立て・クリエイションにより、その特別な色を紡いでいく。そして、無限大のポテンシャルを異口同音に語りかけてくるのだ。

グレージュの真価について

エレガンスという名の心地よい緊張感を与えるジレやスラックス使い|ジョルジオ アルマーニ

コート・ジレ・Tシャツ・パンツ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈ジョルジオ アルマーニ〉)
コート・ジレ・Tシャツ・パンツ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈ジョルジオ アルマーニ〉)

グレージュは時代を超える。それを証明するのがジョルジオ アルマーニだ。早くからその色を採用し、もはや帝王の美学そのものとなった。リネンをポリウレタンコーティングしたステンカラーコートにナイロン×シルク素材のジレ、カシミアTシャツ。そして若干の茶色味を帯びたグレーのシルク×ウール×カシミア製スラックス。異なる素材のそれぞれの表情を生かしながら、グレージュのトーン・オン・トーンは厳格さと官能性、あるいは都市と異国情緒といった数多の要素を内包する。グレージュは普遍的でありながらも常に新しい、完璧な色なのだ。

グレーやブラウン、そしてベージュと描く優美なグラデーション|ロロ・ピアーナ

ジャケット・ポロシャツ・パンツ・靴(ロロ・ピアーナ ジャパン)
ジャケット・ポロシャツ・パンツ・靴(ロロ・ピアーナ ジャパン)

1924年の創業以来、実に1世紀近くモノ作りを続けるロロ・ピアーナ。アクティブでエレガント、ナチュラルでリッチ。そして、コンフォート。そんなブランドの世界観は、最高級の素材使いが礎になっている。そしてグレージュは、その高い品質を最大限に引き立たせるための重要色だ。優美な表情を湛える、極薄に鞣なめされたヌバックレザー製のバイカージャケットがその好例である。マットな光沢、およそレザーとは思えぬ柔らかさ。素材本来の魅力が見た目にも伝わってくる。上質のなんたるか、グレージュはそれをよく知る色なのだ。

ゆったりシルエットのセットアップに程よい緊張感を与えて|ボッテガ・ヴェネタ

ジャケット・パンツ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
ジャケット・パンツ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

『ワードローブ 01』。ボッテガ・ヴェネタが日常生活のためのエッセンシャルな服を編集したニューコレクション。なかでも注目したいのは、リラックステーラリングと呼ばれる手法で、気楽さとフォーマルさを両立したその仕立てのバランスが、これ以上なく現代的なのだ。このジャケット&パンツもそのひとつで、ショート丈やオーバーシルエットなどのトレンドのディテールやハリのあるウール素材が、彫刻的で力強いフォルムを演出している。だがそれをひけらかすことなく、知性を忍ばせるように、取り入れやすく見せてくれるのがグレージュだ。だからこそ、紳士のワードローブに必須の色なのだ。

快適さを重視しても繊細なグレージュがエレガンスを約束する|ブルネロ クチネリ

ニット・シャツ・パンツ・靴・ストール(ブルネロ クチネリ ジャパン)
ニット・シャツ・パンツ・靴・ストール(ブルネロ クチネリ ジャパン)

伝統的な編地を用いたショールカラーニットの『トラバーチン』、製品洗いを施すことでくったりした表情に仕上げたパンツの『アマレット』。そしてエスパドリーユとボートシューズを掛け合わせたようなスエードシューズの『ココナッツ』、リネン×シルク製ストールの『グリジオ』…。本拠地であるイタリア・ウンブリア州の自然に着想を得たブルネロ クチネリ の色彩感覚はどれも地味溢れる美しいもの。そして淡く繊細なトーンがつないだグレージュの装いは、まるで着る人の内面を際立たせるように、飾らない自然体の雰囲気が漂っている。

製品洗いを施すことで長く着続けた服のように体になじむ着用感が魅力|エルメネジルド ゼニア

ジャケット・ニット・パンツ(ゼニア カスタマーサービス)
ジャケット・ニット・パンツ(ゼニア カスタマーサービス)

創業110年を超えるテキスタイルメーカーとしての伝統を重んじる一方で、テーラリングの未来を見据えた技術革新を推進する。だからこそ、エルメネジルド ゼニアの服は常に現代的であり続けている。今なお天然素材にもこだわり、清涼感満点のリネンアイテムをこの季節の風物詩として提案する。軽やかな生地で柔らかいシルエットに仕立てたテーラードジャケットとスラックスは、いうまでもなくコンフォート。そして製品洗いを施すことでこなれた風合いと優しげなグレージュの色味を獲得している。シルク×カシミア×リネンのニットを合わせると、どこか異国情緒を感じる佇まいに。

バルスター型ブルゾンとスラックスを組み合わせたローマンカジュアル|ブリオーニ

ブルゾン・ポロシャツ・パンツ(ブリオーニ クライアントサービス)

エレガントでありながらも、肩肘張らず自然体。そんなローマ人のエフォートレスな気質を表現するブリオーニの精神は、クラシカルなスーツはもちろん、最高級の素材と仕立てによって生まれるカジュアルウエアからも見て取ることができる。その好例となるのが、柔らかく上質なラムレザーを使用したバルスター型ブルゾンに、ストライプの織り柄が入ったグレースラックスを合わせたこんな控えめな装い。そしてここでも、やはりグレージュが決め手となっている。決して派手さはないけれど、エレガンスとリラックス感のどちらも兼ね備える色だからこそ、装いがシンプルであればあるほどカジュアルが洗練されるのだ。

<出典>
MEN'S Precious春号「この服とスタイルで生きていく!」
【内容紹介】竹野内 豊/この服とスタイルで 生きていく!/「変える」シャツ「、変えない」シャツ/「グレージュ」カジュアル/21世紀の「真名品」/ラグジュアリー・カー&ウォッチ/紳士の名品肌
2021年3月4日発売 ¥1,230(税込)

メンズプレシャス2021年春号の詳細はこちら

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2021年春号より
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PHOTO :
川田有二
STYLIST :
菊池陽之介
HAIR MAKE :
宇津木剛(PARKS)
MODEL :
Daisuke
WRITING :
安部 毅(本誌)