メゾンの世界観や美意識が集約されたストールは、1点加えるだけでスタイリングが華やかに。でも…うまく巻いているつもりでも、ダサい印象になってしまうのはどうして!?
その理由、「巻き方」かもしれません。無造作に巻いているだけに見えるストールも、実は最初の「たたみ方」から大きく左右されています。柄が大きいストールは目につきやすいだけに、巻き方のバランスがちょっと崩れただけで悪目立ちし、“ダサい”印象になってしまうことも……。
そこで、巻物マイスターの異名をとるスタイリスト・戸野塚かおるさんが、ストールそれぞれの持つ個性と味を生かしながら、シンプルな着こなしを盛り上げる巻き方を教えてくれました。
ご紹介する巻き方は、ネクタイ巻き、アフガン巻き、ショール巻き、スヌード巻きの4パターン。
どれも押さえておいて損はないベーシックなテクニック。慣れれば10秒で完成! でも奥が深い柄ストールの巻き方講座、開講します!
■1:黒スタイリングにリッチなメリハリ! ネクタイ巻き×ルイ・ヴィトン『ショール・フラワーグラムファー』
印象がクールになりすぎそうな黒で統一した着こなし。戸野塚さんが「ストールで立体感と躍動感を」と提案するのがイ・ヴィトンのファーつきストールで「ネクタイ巻き」。ストール中央のファー部分が後ろ襟にくるように巻くと、フードのよう! 大人かわいいリッチ感が演出できます。
「結んだ後にコートをはおることで、生地部分の余分なボリュームが抑えられます。最後に、後ろ襟にくるファー部分を広げると、フードのようなふんわりとした立体感が」と戸野塚さん。
ネクタイ巻きの手順は、左から……
(1)布帛部分にだけドレープを寄せつつファーを見せるようにラフに三角形に折る
(2)ファーのボリュームをつぶさないようにふんわり肩にかけてフロントでひと巻き
(3)ネクタイのシングルノット風に端を下から上に回し、輪に通して結ぶ
■2:シックシンプルにはふわりとエアリーがベスト! アフガン巻き×エルメス『鎧(あぶみ)のデュオ』
シックシンプルな装いには、程よいハリを生かしたエアリーな「アフガン巻き」が好相性。ブラック×ネイビーの着こなしを無難に見せないストール使いは、戸野塚さんの得意ワザのひとつ。空気を含んだボリュームを意識することで繊細な色と柄に陰影が生まれて好印象です。
「アシメトリーなバランスが、アフガン巻きの“こなれ感”の決め手です。生地に適度な重みがあるので長い端はそのままに、短い端だけをドレープの下に収めるとふくらみが抑えられ、形も安定します」と戸野塚さんがアドバイス。
アフガン巻きの手順は、左から……
(1)ラフに二つ折りにして、長方形に。ツイストするように対角線上の両端を持つ
(2)前のドレープをキープしつつ、ストールの両端を首の後ろに回す
(3)左右差がつくように長さを調節しながら後ろで交差させて両端を前に垂らす
■3:パンツスタイルに大人の華と遊びをプラス! ショール巻き×グッチの『フローラスネーク』
ボウブラウス+端正パンツの定番スタイルには、こなれ感を授けるのが大人の流儀。戸野塚さんは、洋服に映える華やかな一枚を選択します。巻き方は、「アシメトリーな巻き方で外すのがポイント」というショール巻きをチョイス。
最後にフリンジを生かすように端を広げたり、結び目をセンターからずらしたりのひと手間が、オシャレに決めるコツ。「“ルーズ感”は仕上げで表現するとだらしなく見えず、こなれた印象になるのです」と戸野塚さん。
ショール巻きの手順は、左から……
(1)三角形に折り、中央の角を生かしつつ立体感が出るように蛇腹状にたたんでいく
(2)立体感はキープしつつ左右の長さも幅もアシメトリーにふわりと肩にかける
(3)長い端を下から上に回し、さらにもう一度、同じ端を下から上にひと巻きすると形が安定
■4:ジャケットスタイルの襟元にボリュームを! スヌード巻き×エトロのペイズリー&花柄
ジャケット+ニットには、襟元にボリュームをおいて遠目の印象も意識するのが今どき。ニットに肩がけしたジャケットスタイルは、デコルテが寂しく見えることも。グラフィカルな切り替えが新鮮なエトロの顔映りのよい一枚を襟元にあしらえば、美人度アップ! 「ジャケットの色とリンクさせると統一感が生まれます」と戸野塚さん。
チョイスした「スヌード巻き」は、薄くしなやかな長方形タイプに向く巻き方。「これなら首の後ろの結び目に余分な厚みが出ません。首元のゆるみやボリューム感は、最後に調節すると着こなしに自然になじみます」と戸野塚さん。
スヌード巻きの手順は、左から……
(1)長さを最大限生かすために対角線上の両端を持ち、ふわふわと蛇腹状にたたんでいく
(2)ふんわりとしたボリューム感をキープしながら首にひと巻きする
(3)両端を前で一度クロスさせてから再び後ろに回して、角を結んで固定する
これでもう“ダサい”なんて言わせない! 10秒で襟元美人になれる4つのスタイリング、是非今朝のお出かけから取り入れてみてくださいね。
- PHOTO :
- 熊澤 透(人物)、宗高聡子(パイルドライバー/静物)
- STYLIST :
- 戸野塚かおる
- HAIR MAKE :
- Tomo Tamura(Perle)、三澤公幸(3rd)
- MODEL :
- 渡辺佳子