「どんな淑女も、ティファニーのアクセサリーなら喜んでもらえるよね」などどしたり顔で語るオヤジは、あまりにも勉強不足だ。創業当初からウォッチに取り組んできたこのブランドは、近年、紳士に向けたスタイリッシュな機械式時計を意欲的にリリースしているのだ。その決定版が、『ティファニー スクエア』。原点回帰と言える、憎らしいほど格好いい端正なデザインに、搭載している手巻きムーブメントは自社製ときている。ティファニーはもはや、女性にプレゼントするためのブランドではない!

 ティファニーのウォッチメーキングの歴史は古い。最初の時計を発表したのは1847年。1837年の創業から、実に10年後のことだった。

 1868年には米国初といわれるストップウォッチを発表。その数年後には大西洋を越え、スイスのジュネーブに広大な工房を設立し、時計製造の歴史の礎を築きあげた。

世紀を超え蘇った、「ティファニー スクエア」

1920年代に製造されていたアーカイブの、ケースフォルムやサイズを忠実に再現。大型の時計が横溢する今、27㎜というクラシカルなサイズ感がかえって新鮮だ。ケースの形に合わせて開発した正方形の手巻きムーブメントの美しい仕上げを、スケルトンバックから愛でられるのもうれしい。『ティファニー スクエア』●手巻き ●イエローゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケースサイズ/縦35.8×横27㎜ ¥2,150,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
1920年代に製造されていたアーカイブの、ケースフォルムやサイズを忠実に再現。大型の時計が横溢する今、27㎜というクラシカルなサイズ感がかえって新鮮だ。ケースの形に合わせて開発した正方形の手巻きムーブメントの美しい仕上げを、スケルトンバックから愛でられるのもうれしい。『ティファニー スクエア』●手巻き ●イエローゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケースサイズ/縦35.8×横27㎜ ¥2,150,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)

 以来、現在に至るまでに刻み続けてきたその歴史のなかには、「名品」と呼ぶに相応しい腕時計がいくつも存在している。

 1920年代に製造されていた薄型のスクエア形ウォッチもそのひとつ。アール・デコのデザイン様式を踏襲したこの時計は、その完成度の高さが伝説のように語り継がれるとともに、時計ファンの間では復刻が望まれてきた。

 その時計が、ブランド創立180周年の今年、とうとう現代に蘇った。その名は『ティファニー スクエア』―かつてティファニーが自社製ムーブメントを製造していた時代へと回帰し、美しく個性的な正方形の自社製ムーブメントを搭載。

 年々時計に対する本気度を上げている、ティファニーの原点回帰と挑戦に、世界中から熱い視線が集まっている。

※価格は税抜です。

この記事の執筆者
TEXT :
岡村佳代 ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
BY :
MEN'S Precious2017年秋号 世紀を超え、『ティファニー スクエア』が蘇った!
東京都出身。本格時計のムックの編集、執筆を手掛けたことをきっかけに機械式時計の魅力に開眼。日本の女性誌において、機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる一方で、男性誌や専門誌にも数多く寄稿。メンズウォッチを語れる稀有な女性ジャーナリストとして多方面で活躍中。スイスの時計フェアの取材歴は20年と、業界屈指のキャリアを誇る。一方、持ち前の好奇心で、趣味である旅や食に関する執筆もしばしば展開している。
クレジット :
撮影/唐澤光也(パイルドライバー)構成・文/岡村佳代
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