「どんな淑女も、ティファニーのアクセサリーなら喜んでもらえるよね」などどしたり顔で語るオヤジは、あまりにも勉強不足だ。創業当初からウォッチに取り組んできたこのブランドは、近年、紳士に向けたスタイリッシュな機械式時計を意欲的にリリースしているのだ。その決定版が、『ティファニー スクエア』。原点回帰と言える、憎らしいほど格好いい端正なデザインに、搭載している手巻きムーブメントは自社製ときている。ティファニーはもはや、女性にプレゼントするためのブランドではない!
ティファニーのウォッチメーキングの歴史は古い。最初の時計を発表したのは1847年。1837年の創業から、実に10年後のことだった。
1868年には米国初といわれるストップウォッチを発表。その数年後には大西洋を越え、スイスのジュネーブに広大な工房を設立し、時計製造の歴史の礎を築きあげた。
世紀を超え蘇った、「ティファニー スクエア」
以来、現在に至るまでに刻み続けてきたその歴史のなかには、「名品」と呼ぶに相応しい腕時計がいくつも存在している。
1920年代に製造されていた薄型のスクエア形ウォッチもそのひとつ。アール・デコのデザイン様式を踏襲したこの時計は、その完成度の高さが伝説のように語り継がれるとともに、時計ファンの間では復刻が望まれてきた。
その時計が、ブランド創立180周年の今年、とうとう現代に蘇った。その名は『ティファニー スクエア』―かつてティファニーが自社製ムーブメントを製造していた時代へと回帰し、美しく個性的な正方形の自社製ムーブメントを搭載。
年々時計に対する本気度を上げている、ティファニーの原点回帰と挑戦に、世界中から熱い視線が集まっている。
※価格は税抜です。
- TEXT :
- 岡村佳代 ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
- BY :
- MEN'S Precious2017年秋号 世紀を超え、『ティファニー スクエア』が蘇った!
- クレジット :
- 撮影/唐澤光也(パイルドライバー)構成・文/岡村佳代