『Precious』7月号では、俳優の間宮祥太朗さんにインタビュー。

間宮さんは話題作への出演が続いており、7月には出演するドラマ『IP~サイバー捜査班』が放送スタート、映画『東京リベンジャーズ』も7月に公開予定です。

今回はご自身の少年時代や、俳優という仕事を志した背景などを語ってくださいました。

間宮祥太朗さん
 
間宮 祥太朗さん
俳優
(まみや しょうたろう)1993年、神奈川県出身。2008年、ドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生』でデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台と活躍を見せる。代表的ドラマに『お前はまだグンマを知らない』『#リモラブ~普通の恋は邪道~』『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』。映画に『トリガール!』『帝一の國』『殺さない彼と死なない彼女』、7月公開予定の『東京リベンジャーズ』がある。

物心ついた頃から反抗心が強くて負けず嫌い

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目力の強さが印象的だ。演じてきた役柄も圧倒的に個性が際立つものが多い。しかしこの日、カメラの前の間宮祥太朗は大人の色気と、愁いのある表情を見せた。

「まだ大人の男……といえるほどでもないのですけど(笑)、ここ半年ほど、女性に『ささる』というか、クールな役のオファーが2本続けてあって、自分でも驚きました。10代からラヴ・ストーリーに出て、キラキラしたアイコン的な存在を担う俳優と自分とは違っていたし、むしろ隔たれた道でやってきて、そういった作品をやることは、もうないと思っていましたから」

だが「この年齢でよかった」とも言う。

「例えばここで(視聴者を)ときめかせたいという、演出側の意図があっても、違和感を覚えた時は自分の意見を伝えて、よい着地点を探ることができた。この役、このシーンをこうしたい、という意思を伝えるのもこの仕事をしている意味のひとつですし、たとえゴールが決まっていたとしても、その道筋は自分の足で辿って到達したいんですよね。でもそれもこの年齢になったからできたことなのかなと。俳優としてのベースができてきて、少しずつ自信を得たからかもしれません」

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「たとえゴールが決まっていたとしても、その道筋は自分の足で辿って到達したい」

とはいえ、そもそもしっかりとした自分軸を持った人だろうと感じさせるのが、「物心ついた頃から、反抗心が強い。子供扱いされたくなかったし、とにかく負けず嫌いです」という言葉である。

「生来の性質か、天邪鬼なのかわからないですけど、例をあげると僕は阪神タイガースファン。それは祖父が巨人ファンで、当時、巨人は圧倒的に強く、強大な権力を持った存在だったから。僕はそういう大きな力に対しての反発心がすごく強いんです。8歳から15歳まで続けていた野球でも、坊主頭を拒否し続けてましたし(笑)。何々しなくちゃいけないという、同調圧力が大嫌い。自分で考え、自分を生きていたいんです」

中・高一貫の男子校。文武両道で野球部のエースだったが、「もうひとりのエースの努力と野球に向ける情熱は、いつか自分との間に差をもたらすだろう、僕は不真面目だし、実はそこまで野球が好きではないのではと気づいて」、翌日、顧問に退部を申し出た。「何事も腹を決めると早い」らしい。

人気者で常に取り巻きがいたが、『群れるのがイヤで』距離をとるようになった。「別に僕のことが好きなのではなくて、なんとなく目立つやつのそばにいたいだけなんだろう……とか、一気に醒め始めて。もともと俯瞰するようなところはあったんですが、一匹狼的になりました」

俳優にとって大切なのは日常をいかに過ごしているか

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「映画の世界には正解がない。だからすごく魅力的に見えた」

思春期の真っただ中。ひとりのめり込んでいったのは映画の世界だった。

「僕が中学生の頃、日本映画はうねっていた。独創的でエッジの効いた面白い作品だらけでした。家族や先輩、学校の教科書では教えてもらえない、感覚や言葉が溢れていて。DVDを借りまくって、年間200本ぐらい観ましたね。覚えれば点数がとれる、学生生活に退屈していたのかもしれません。正解がない映画の世界は、僕にとって得体が知れなくて、すごく魅力的に見えた」

それらは間宮がもともと抱え持っていた、滾るような熱情に火をつけたのだろう、15歳で芸能界に入る。やがて初の主演映画『全員死刑』(2017年)と出合った。実事件を元にしたフィクションで、ヤクザ一家の次男坊を弾け飛んだように渾身で演じた。

「誤解を恐れずに言えば、あの作品が本来の僕、俳優としての初心であり、スタートだったと思います。自分が生きている間に、こういうものを何本残せるかな、というくらいの感覚がありました。僕は観る前と後で、心のバランスが崩れてしまうような作品が好きなんです。細胞分裂みたいに心の感情が増幅したり、縮んだり、震えたり……作品に求めるのは、そういう感覚ですね」

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「観る前と後で、心のバランスが崩れてしまうような作品が好き」

同世代の俳優たちが、第一線で活躍していることが励みでもあり、うれしいと語る。

「彼らが10代から積み上げてきたもの、芝居のスキルだけでなく、出会ってきた人、ものごと……すべてが滲み出ているというのかな。俳優って普段から日常をいかに過ごしているかだと、彼らを見ていると実感させられます」

 気品と、どこか無頼さとが同居しているような人だ。間宮祥太朗という俳優が持つ魅力――。「ここが僕の居場所。全力で走り切りたい」と、強い瞳で見返した。


※掲載した商品はすべて税込みです。

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious編集部 
BY :
『Precious7月号』小学館、2021年
美しいものこそ贅沢。新しい時代のラグジュアリー・ファッションマガジン『Precious』の編集部アカウントです。雑誌制作の過程で見つけた美しいもの、楽しいことをご紹介します。
PHOTO :
秦 淳司(Cyaan)
STYLIST :
津野真吾(impiger)
HAIR MAKE :
三宅 茜
WRITING :
水田静子
EDIT&WRITING :
小林桐子(Precious)