フィンランドでは、感染者数の減少とワクチン接種が進んでいることから、徐々に規制が緩和されるようになり、飲食店は人数制限と営業時間の短縮のもと営業をし、コロナ前の賑わいをとりもどしつつあります。また、図書館や美術館の公共施設においても同様で、おそよ7か月ぶりに再開されました。そんな現在のフィンランドの様子ではありますが、コロナ禍において人気を博しているのが「近場でステイケーション」という非接触でおこもりステイができるホテルが人気で、特に首都圏を中心とした多くの利用客で賑わっています。

フィンランドの芸術的なアール・ヌーヴォー様式を今に伝えるホテル

2021年4月にオープンしたばかりのホテル「スカンディック・グランド・セントラル・ヘルシンキ・ホテル」。ヘルシンキ中央駅に隣接しているとは思えないほど。
2021年4月にオープンしたばかりのホテル「スカンディック・グランド・セントラル・ヘルシンキ・ホテル」。ヘルシンキ中央駅に隣接しているとは思えないほど。

そこで今回は、2021年4月にオープンしたばかりのホテル「スカンディック グランド セントラル ヘルシンキ ホテル(Scandic Grand Central Helsinki Hotel)」を紹介します。こちらのホテルですが、20世紀初頭、フィンランドにアール・ヌーヴォー様式を広めた著名な建築家・エリエル・サーリネンが国鉄本社として設計された建物を、保存と修復をしながらホテルとしてリニューアルオープンをしました。趣のあるつくりはフィンランドの魅力的な建築を象徴しているかのようです。

エントランスにはフィンランドの国旗をイメージした青と白の十字架デザイン。
エントランスにはフィンランドの国旗をイメージした青と白の十字架デザイン。
エントランスホールには、サーリネンがデザインした椅子が置かれている。座り心地がよくないのですが、それはちゃんとした理由があり、会議嫌いだったサーリネンが、会議が長引かないようにわざと座り心地の悪い椅子をデザインしたとか。
エントランスホールには、サーリネンがデザインした椅子が置かれている。座り心地がよくないのですが、それはちゃんとした理由があり、会議嫌いだったサーリネンが、会議が長引かないようにわざと座り心地の悪い椅子をデザインしたとか。

「スカンディック グランド セントラル ヘルシンキ ホテル」をはじめ、数々のホテルを運営すしている「スカンディック ホテル グループ」ですが、そのグループの中でも2番目に大きく、客室数は491とフィンランド内でもトップクラスを誇っています。部屋のタイプもさまざまで、中庭に面した静かな部屋や、モダンな客室など。そして中央駅のホームと隣接した部屋では、通過する列車を眺めることができ鉄道ファンをはじめ、家族連れにもおすすめです。

また、ホテルの地下フロアには宿泊者なら誰でも無料で入ることができるサウナ(男女別)が完備されており、これもフィンランドのホテルならではのサービスでしょう。旅の疲れだけでなく、フィンランドに来たという実感とともに、旅の疲れを癒すことができます。

国鉄本社時代の雰囲気を残す佇まいは、鉄道好きにはたまらない

キャプション左
国鉄本社時代の雰囲気を残したオフィスや会議室の扉は、鉄道ファンなら気分が上がる。
キャプション右
歴史を感じられる客室の廊下は、国鉄本社時代のオフィスや会議室の扉をあえて残したユニークなつくり。
サウナ付スイートルームのサウナ
シックなダークブルーの壁と家具を基調とし落ち着いた雰囲気のサウナ付スイートルーム1泊€400〜(時期や季節により変動あり)。
中庭に面した、大きな窓が特徴のスイートルームは明るい印象。1泊€400〜(時期や季節により変動あり)全ての部屋のインテリアコーディネートが異なる。
中庭に面した、大きな窓が特徴のスイートルームは明るい印象。1泊€400〜(時期や季節により変動あり)全ての部屋のインテリアコーディネートが異なる。
アーチを描いた窓が人気の4階スタンダードルームからはヘルシンキ国立劇場やアテネウム美術館が見渡せる。1泊€100〜(時期や季節により変動あり)。
アーチを描いた窓が人気の4階スタンダードルームからはヘルシンキ国立劇場やアテネウム美術館が見渡せる。1泊€100〜(時期や季節により変動あり)。

それぞれ個性ある客室ですが、その時の気分に合わせて選ぶのも面白いでしょう。アール・ヌーヴォー様式の歴史を感じつつ、宝探しのように見て回るのもきっと楽しいことでしょう。まだ、気軽に旅をしにくい状況ではありますが、アフターコロナに泊まりたいホテルとして、今から計画を立てるのもおすすめです。フィンランドへ行く機会がありましたら、ぜひこちらで紹介した「ホテル」を利用してみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • Scandic Grand Central Helsinki Hotel TEL:+358-9-6829-1700
  • 住所/Vilhonkatu 13 00100 Helsinki
    ※新型コロナウイルスの影響により一部情報が変更となる可能性があります。最新情報は公式HPなどでご確認ください。
この記事の執筆者
学生時代7年間のロンドン生活を経て、2015年よりフィンランド・ヘルシンキ在住。ヘルシンキを拠点にライターとして、ライフスタイル・食・デザイン・ファッションなどの分野で活動中。現地コーディネーターとしてフィンランド及びヨーロッパと日本をつなぐコミュニケーション全般に携わる。趣味は、旅行と料理。著書に、『デザインあふれる森の国 フィンランドへ 』(イカロス出版社)がある。
PHOTO :
Janne Räsänen
WRITING :
Yuko Räsänen