外部充電できるシトロエンの洒脱な使い方は「リゾートエクスプレス」だ！

シトロエンといえば実用大衆車を扱うイメージが強いかもしれないが、いっぽうで前衛的なデザインや先進性の高いメカニズムを積極的に採用し、高い運動性能と快適性を有して、フランスの歴代大統領の公用車にも選ばれるほどのブランドとしても知られる。そんなシトロエンが送り出した最新モデルが、C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド。脱炭素に向けたシトロエンの電動化施策のひとつであり、同社にとって初のプラグインハイブリッド車（外部充電機能付きハイブリッド車）である。

走るのが楽しい軽井沢でテスト！

C5エアクロスSUVの第3の矢であるプラグインハイブリッド。純内燃機関車との外観上の違いはブルーのアクセントとエンブレムの有無のみ。

メータークラスター内のモニターには、C5エアクロスSUVハイブリッド専用の機能としてエネルギーフローが確認できるモードが追加された。

ベースとなるC5エアクロスSUVは、これまでガソリン仕様とディーゼルモデルの2タイプがラインアップされており、今回のガソリンエンジン＋電気モーターのプラグインハイブリッドで、シトロエンが提唱する同一車型でのパワートレイン選択“パワー・オブ・チョイス”が充実した。

C5エアクロスSUVプラグインハイブリッドは、1.6ℓ直4ターボガソリン搭載車に電動モーターを組み合わせた前輪駆動モデルで、リチウムイオンバッテリーを搭載して一般的なコンセントからの充電（＝プラグイン）を可能としたもの。満充電時のモーターのみによる走行距離は65km（WLTCモード換算値）とされる。電動モーターと専用8速ATの採用や、リアサスペンションがマルチリンク式にアップグレードされている点が、純ガソリン車とは異なる。

試乗の舞台はセレブリティの多くが別荘を構える避暑地として名高い長野県・軽井沢町。浅間山麓のアップダウンを生かした爽快なドライブルートも多く、この地にヒストリックカーを保管し、ハレの日には愛車を連れ出してドライブによる対話を楽しむ愛好家も少なくない。実際、試乗のベースとなったオーベルジュ、アンシェントホテル浅間軽井沢のオーナーは古いシトロエンの愛好家としても知られ、ホテルの別棟としてガレージを設けてそこに1930年式シトロエンC6や2CV、H（アッシュ）バンなどを納めている。

ドライブモードはデフォルトのエレクトリックのほか、ハイブリッドとスポーツを用意。シフトレバーで回生を強めるBレンジが選べる。

静謐な別荘地帯に寄り添うモーターアシスト

厚さもたっぷりと取られたアドバンストコンフォートシートを採用。平板に見えるが掛け心地やホールド性は上々。

3座とも同じサイズの独立タイプとなるリアシート。前倒しして長尺物を積み込むことも可能。

そんな“先輩”たちに見送られながら走り出したC5エアクロスSUVプラグインハイブリッドは実にシトロエンらしい走りっぷりを披露してくれた。モーターが追加されたパワートレインは、バッテリー容量が十分に確保されている場合はデフォルトで電気駆動となり、モーターによる力強さと快適さを存分に発揮。車重はガソリンエンジン搭載車よりも300kgほど増えてはいるものの、パワーに物足りなさを覚えることはない。バッテリーの搭載位置が十分に練られて前後重量配分がよくなったおかげで旋回性能は高まり、バランスの取れたハンドリングが楽しめる。SUVというスタイルながらシトロエンらしい素直さが光る一台だ。

そんなキャラクターとなれば、たとえばC5エアクロスSUVプラグインハイブリッドを本宅と別荘の間のリゾートエクスプレスに使ってみるのはいかがだろうか。モーター駆動による静かさと優しい乗り心地を味わいつつ高速道路を駆け抜け、静謐な別荘地ではその空気や雰囲気を汚すことなくしとやかに振る舞う。C5エアクロスSUVプラグインハイブリッドは避暑の間の格好のリムジンとして活躍してくれるはずだ。

【CITROEN C5 AIRCROSS SUV PLUG-IN HYBRID】
ボディサイズ：全長×全幅×全高：4,500×1,850×1,710mm
車両重量：1,860kg
駆動方式：FWD
トランスミッション：8速AT
エンジン：直列4気筒ターボ　1,598cc
最高出力：133kW（180PS）／6,000rpm
最大トルク：300Nm／3,000rpm
モーター最高出力：81kw（110PS）／2,500rpm
モーター最大トルク：320Nm（32.6kgm）／500〜5,000rpm
システムトータル：225PS／360Nm
価格：¥5,500,000

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