コンパクトなボディとスポーティなデザイン人気のアウディA3スポーツバックがフルモデルチェンジを受け、第4世代へと生まれ変わった。見た目はもちろん、走りやインテリアなど、全方位での進化を遂げたその内容をチェックしてみた。
ファーストエディションはルーフレール付き
![ロー&ワイドで精悍なイメージを創り上げるフロントマスク。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/e/720mw/img_5e77e2a1a4cee79e8ae7ab6f06b34e6c327274.jpg)
![Cピラーが少し前傾が強まり、ボディサイドのフェンダー周辺がボリューム感たっぷりに盛り上がる。コンパクトでも存在感を発揮する。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/e/720mw/img_fe8e9868380de6e2f789aa204ddff1c3265892.jpg)
旧型と比べ、全長で20ミリ、全幅で30ミリ拡大した新型A3だが、見た目の感覚以上に大きく、伸びやかに感じられる。これはCピラーの前傾が少し強くなったことで、サイドフォルムがよりスポーティ感を増したからだ。そこに低くワイドになったシングルフレームグリルや大型のエアインテークを備えた精惇なフロントマスクが加わったことで、軽快で上質な印象がこれまで以上に強調された。コンパクトでありながら、アウディ・クオリティをしっかりとした感じられる存在感は、クラスを忘れさせてくれる。
ここでひとつ考慮したいことがある。それはワゴンテイストが強まるルーフレールの存在だ。より豊かなライフスタイルを叶えるルーフレールは、あるととても便利な装備。一方でルーフレールレスの仕様もあり、こちらはスポーティなテイストがより強まる。どちらを選択してもアウディさは健在だが、全体のイメージを決定する装備だけに、ひとつの迷いどころかもしれない。
ドアを開け、少し硬めのシートに体を預ける。いつもながらのピタリとしたホールド感で、気持ちよく体をサポートしてくれる。安心感と快適性は走り込めば込むほどに、大きな魅力として実感できるはずだ。
新しいプレミアムコンパクトの姿
![カチッとした造りのシートはホールド性も高くロングドライブで真価を発揮する。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/720mw/img_dcd139d7a8621ce21359b8532a73c0dc165371.jpg)
![シンプルで加飾を抑えたインテリアには新しい時代のプレミアム感がある。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/9/9/720mw/img_99b55c25bac8cb25ad3c0cd56f73d3b8143512.jpg)
それ以上に心地よく感じたのは、インテリアの仕上げである。人によっては高級感が従来型より薄まったと思うかもしれないが、A3のクオリティのベクトルはそこになかった。フロアカーペットやラゲッジボード、そして断熱材などにはリサイクル素材が積極的に使用され、サステイナブルな価値観に沿って仕上げられているのである。これまでの見た目による価値観を否定するかのような試みのように思える。加飾を抑えたスッキリとしたインテリアはむしろ潔さよく、心地いい。
走り出すと、その想いはさらに強まっていく。日本導入を記念して発売されたファーストエディションに搭載されているエンジンは、3気筒の1リッターターボ。さらに48Vのベルト駆動式オルタネータースターターが組み合わせられ、日本風にいえばマイルドハイブリッドというシステムとなる。低回転域ではモーターによるアシストによって、小排気量のパワー不足感、さらに振動や騒音というネガティブな要素を解消してくれる。
同時にターボにエンジンにありがちなターボラグもカバーすることで、走りが1リッターエンジンとは思えないほど滑らかで、キャビンは快適に保たれる。高性能モデルのS3と違い、ホットハッチ的なパワフルさには欠けるが、男らしさの中にもエレガントを大事にしたいロマン派紳士には、むしろこれくらいがちょうどいい。
見た目もインテリアの仕上げも走りも“新しいプレミアムコンパクトの姿”を見せてくれた、新型A3。コンパクトでありながら、どんなシチュエーションにでも気兼ねなく乗って行ける新しいプレミアム感がある。これまでクルマ選びの基準としてきたボディの大小、出力や排気量の大小、そして加飾による贅沢感といった既存の価値観に変化をもたらす存在になるのではないか。
![足元やヘッドルームなどのスペースではこれまで同様に大人二人でも不満のないレベル。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/720mw/img_8b8136a1ec9c39edec803b8ae8526d1c171371.jpg)
![スタートから110馬力、200Nmの1Lエンジンだがモーターのアシストによって加速感に不足は感じない。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/720mw/img_8cc8bae1f64a4d42c16dcb3f6a1344ab241341.jpg)
![限定販売のファーストエディションではルーフレールが標準装備となり、ワゴンのイメージが強くなる。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/720mw/img_5a9dbae06fde79dec17b235e32e5cb74180209.jpg)
![スクエアでデットスペースの少ないトランクの実用性は高い。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/720mw/img_e247e83bcfb1fb1d26e4a18bce85c12e112292.jpg)
【AUDI A3 SPORTBACK 1st edition(限定375台)】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,345×1,815×1,450mm
車両重量:1,320kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:7速AT
エンジン:直列3気筒ターボ 999cc
最高出力:81kw(110PS)/5,500rpm
最大トルク:200 Nm/2,000~3,500 rpm
価格:¥4,530,000
問い合わせ先
- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター