自由に、肩肘張らずに、好きなネタを好きなだけ…。今、鮨がおもしろい!『Precious』7月号では、「多様化する『鮨』が楽しい!」と題して、住宅街の一角にあって個室も完備、ドリンクとのペアリングや、程よい価格で本格鮨を好きなように楽しめる、などのこだわりをもつ鮨店に注目。
フードジャーナリスト 森脇慶子さんとともに、「気兼ねない日常使い」が叶う2021年の名店をご紹介しています。「あぁ、おいしいお鮨が食べたい」。そう思ったときに気軽に行けるお気に入りの一軒、見つけませんか?
[神奈川・関内] 常盤鮨
銀座の名店で修業した三代目が腕をふるう。江戸前の技と味を横浜で堪能
横浜・関内で60年以上続く老舗鮨店。「三代目の林ノ内勇樹さんは、銀座の名店『水谷』で、厳しい指導が有名な水谷さんのもと、7年間も修業された方。当時から技術はもちろん立ち居振舞などしっかりしていて、飄々と鮨を握る姿が印象的でした。39歳という若さで、歴史と革新を両立させる、そのあり方に注目しています」と森脇さん。
5年前、三代目として戻った際、家族を説得して内装をチェンジ。温もりと落ち着きのあるカウンターに、ゆったり語れる個室を完備しました。「時代に合わせて変える部分は変え、例えば昔ながらの米酢シャリにこだわるなど、残すべきものはしっかり残していく。何代にもわたって長くこの地で愛される店、育てていただく店でありたいと思っています」と林ノ内さん。刺身数種に焼き物や蒸し物、あん肝など珍味をはさんで、握りが10貫のおまかせコース19,000円のみ。
「凝った料理よりも鮨をメインで味わってほしい。ごまかしがきかないぶん、ネタもシャリも正面きって勝負しないと。試行錯誤しながら三代目らしさも残していきたいと思っています」(林ノ内さん)
天草のコハダは4日間ねかせてうま味を引き出す。
東京湾のマコガレイは煮切りじょうゆをさっとひとはけ。
肉厚の下田の中トロ。豊洲のマグロ問屋で若手No.1の呼び声が高い「結乃花(ゆのか)」からの仕入れ。
ふっくらふわふわの穴子は対馬産。三代目こだわりのシャリは、100%あきたこまちを使用し、羽釜で炊き上げ粒の立った美しさが魅力。「ミツカン」の『白菊』を主体に数種の酢をブレンド、塩と砂糖を使って酸味を際立たせた米酢のシャリは昔ながらの正統派。
「水谷」の大将のもとで7年間も続いた弟子は林ノ内さんだけ(写真左)。写真右は、つまみのひと皿「うなぎの白焼き」。「鰻はし本」をはじめ名店で使われている貴重なうなぎは「横山さんの鰻」と呼ばれる鹿児島県のうなぎ販売店「泰たい斗と商店」のもの。くせがなくふっくらとして美味。わさびでシンプルに。
漆盆がアクセントのすっきりとした店内。檜のカウンターが美しい。数々の鮨の名店を手掛ける「板井工務店」が内装リフォームを担当。
※掲載の価格は税込みです。
※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では一部情報が変更となる可能性があります。公式HPなどでご確認ください。
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問い合わせ先
- 常磐鮨
- 営業時間/17:00〜21:00(最終入店)、ランチは予約のみ
定休日/不定休
メニュー/おまかせ ¥19,000 予約がベター
住所/神奈川県横浜市中区常磐町4-44 - TEL:045-681-2065
- PHOTO :
- 篠原宏明、長谷川 潤
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、佐藤友貴絵(Precious)