自分らしい名品を突き詰めていくと、身につけるものはやがてオーダーメイドに行き着く。ビスポークを主体とする店に足を運ぶのもいいが、実は時代をリードするモードブランドでもオーダーメイドを展開していることをご存知だろうか。新しいカスタマイズ&パーソナライズの楽しさを実現する、ラグジュアリーブランドの魅力をあますところなく紹介する。

「Gucci DIY」が実現するモードなパーソナライズ~Gucci

Featured Item.1  Knit

 2016年からスタートした「Gucci DIY(DoIt Yourself)」は、パーソナライゼーションにより自分らしさを表現できるプログラム。

クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレの「装うことは自分の内面を表現することであり、男性も女性も本当の自分を自由に表現することが大切である」というスピリットを色濃く反映している。

ジャケットなどのテーラードウエアからシャツ、靴、さらにはバイカージャケットなどのカジュアルアイテムまで幅広く展開されているが、ここでピックアップしたのは、通常はパーソナライズが難しいニットウエアと、今季のアイコニックなアイテムのひとつであるボンバージャケット。

「いずれも「GucciDIY」プログラムの魅力が表れている。

ニットはスタイル(クルーネック、Vネック、タートルネック、カーディガン)、サイズ(XS~L)、ウール9色&カシミア10色(タートルネックはカシミアのみ)から選択し、さらにそでか身頃左側にエンブロイダリーをあしらうことができる。納期は約8週間~。ウールニット¥135,000~¥192,000・カシミアニット¥150,000~¥232,000。

Featured Item.2  Bomber Jacket

ボンバージャケットに配されるアルファベットパッチ。ブルー、グリーン、レッド、ゴールドの4色展開で、1文字選ぶことができる。セレクトしたアイテムに個性を反映できるのが魅力だ。

ボンバージャケットはスタイル4型(10種)とサイズ(38~60)、ライニングを選び、アルファベットパッチをひとつ左そでか左胸に付けられる。納期約12週間~。ボンバージャケット¥320,000~¥1,280,000(グッチ ジャパン)

チャーミングなファーをよりシックなスタイルに~Fendi

Featured Item.3  Fur

 今季はメッセージワードを随所に配した、鮮やかなコレクションが印象的なフェンディ。

 同ブランドのここ数シーズンのアイコニックな存在といえるのが「バッグ バグズ」をあしらったアイテム。フェンディの伝統ともいえるファーを使ったフーデッドジャケットにもこの「バッグ バグズ」が配されている。

 チャーミングな存在感が個性的だが、あえてこれを外した、シンプルなデザインをオーダーすることも可能だ。

 ホワイトカラーを選ぶことで、フード&ジップアップのカジュアルなスタイルとミンクファーのラグジュアリーな素材感との組み合わせの妙が、より際立って感じられる。

ファーアイテムのデザインとしては珍しい、フード付きのジップアップジャケットは、フェンディならでは。ミンクファーとラムレザーとのリバーシブルになっている。「バッグバグズ」はラムレザーの側にも配されている。あえてシンプルなデザインにオーダーすることで、リュクスな素材感がより際立つ。オーダー納期は要相談。左¥2,516,000~・右¥2,180,000~(フェンディ ジャパン)

明快でリーズナブルな新たなメイド トゥ オーダー~Giorgio Armani

Featured Item.4  Suits&Jacket

 今年の6月からスタートしたジョルジオ アルマーニの新しい「メイド トゥ オーダー(MTO)」。

 クラシックシルエットとスリムフィットシルエットのスーツ、そしてデコンストラクテッドな構造のやわらかな着心地のジャケット、3種から選び、さらにサイズや生地、ライニングなどを選択してオーダーする。

 30~40日で納品され、アップチャージは既製品の10%程度という点も魅力的だ。ベストやコートもオーダーが可能。他方、2種の基本スーツをベースに、フィッターが体型に合わせたよりきめ細かな補整を行う「メイド トゥ メジャー(MTM)」もある。

 こちらはシャツやネクタイなどのオーダーも展開。さらに「Fatto a mano(ハンドメイド)」の仕上げも選べる。

写真は「ジョルジオ アルマーニ六本木」のオーダーコーナーの様子。直営店舗の多くでこうしたオーダーのコーナーが展開されている。独自の空間で、熟練のフィッターのアドバイスを受けながら、自身の体型や個性に合った一着をつくることができる。MTOはセットアップスーツ¥309,000~・ジャケット¥220,000~ MTM(2017年秋冬)はスーツ¥348,000~・シャツ¥69,000~※2着からのオーダー(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

モードなスーツを自身のバランスで仕立てる~Dior Homme

Featured Item.5 Suits

 シーズンごとのコレクションと併せて展開されているディオール オムのスタンダードなスーツ。

 ミニマルかつエレガントな魅力を備えているこのスーツのセミオーダーが可能だ。銀座店では国内で唯一在籍する本国認定のテーラー担当者が採寸を行い、シルエットや生地など、顧客の希望を聞きながら進行していく。

 襟型などブランドの個性といえるディテールはそのままに、生地は500種類以上のバリエーションから選べる。スーツに置いた写真はパリのアトリエの様子。

 熟練職人の丁寧な仕事ぶりがうかがわれる。またスーツ以外にもシャツやパンツなどのセミオーダーも可能。また、バッグや靴、革小物などはエキゾチックレザーでオーダーすることができる。

ブラックカラーのふたつボタン、センターベント、ナローラペルのスーツ。レディメイドとして展開されているこうしたスーツをベースとして、オーダーができる。顧客の要望を聞きながら担当者が好みのシルエットや可動性を加味しながら細かく採寸を行なう。アームホールやボタン位置も変えることができるため、フルオーダーに近い一着を仕立てることができる。スーツ¥430,000~・シャツ¥85,000~(クリスチャン ディオール)

旅を象徴するラベルをリミックス&パーソナライズ~Louis Vuitton

Featured Item.6 Luggage

 旅の歴史を担ってきたトランクやバッグの豊かな世界を、展覧会という形で紹介したことが記憶に新しいルイ・ヴィトン。展示されていたヴィンテージのトランクには、かつての所有者が滞在したホテルのステッカーや持ち主を示すイニシャル等に彩られたものもあり、旅情を感じさせた。

 そんな旅のラゲッジのたたずまいを現代的に翻案する試みが「MY LV WORLDTOUR」だ。古きよき時代を彷ほう彿ふつさせるホテルのステッカー調やイニシャルなどはもちろん、世界各都市を表現したものやポップなロゴまで、60種の図柄のラベルを選んで表面に配置するパーソナライゼーション・サービス。

 アイコニックなモデルに新たな魅力を付加するカスタマイズであり、ルイ・ヴィトンのバッグの品質を再認識させるものともいえるだろう。

ラベルは古いホテルのステッカーを彷彿させる「GRAND HOTELS」、世界各都市をモチーフにした「CITIES」、ルイ・ヴィトンのヒストリカルな図柄をベースにした「LV HERITAGE」、イニシャルや日付が入る「MAKE IT YOUR OWN」、ポップな絵柄の「LV POP」の5ファミリー、各12種が展開され、所定の位置に選んで付けることができる。写真はユニセックスモデルの『キーポル・バンドリエール50』。今後はメンズの『ダミエ・グラフィット キャンバス』でも同サービスが展開される。バッグ¥241,000(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)

世界観を反映した空間でエレガントなルームジャケットを~Dolce&Gabbana

Featured Item.7 Lounge Wear

「ドルチェ&ガッバーナ銀座店」の上階に、ワンフロアで展開されている「ドルチェ&ガッバーナ サルトリア 銀座」。ヴィスコンティの『山猫』やフェリーニ『甘い生活』に着想を得たというその空間は、斑紋がそろった大理石の床や寄木張りのフローリングなど、職人性が随所に感じられる。

 フロアで展開されているアイテムは、スーツからシャツそしてパジャマなどに至るまで、いずれもオーダーメイドが可能。全工程を手縫いで行う「フルハンドメイド」と手作業とマシン縫製を組み合わせた「セミハンドメイド」のふたつの製法がある。

 ルームジャケットはベルベット素材にエンブロイダリーのパイピングなどが豪ごう奢しゃにあしらわれ、リラックスかつエレガントな存在感。屋内はもちろん、カジュアルなパーティなどでも活躍しそうだ。

たとえばスーツのオーダーは、マスターガーメントと呼ばれるサイズサンプルを着用して採寸を行い、スタイル(スーツの場合は4種)や生地、ボタンなどを指定した上でミラノの職人が仕立て、日本でさらに微調整を行う仕組み。生地のバリエーションは500種以上を誇る。価格はスーツの場合はセミハンドメイドで¥470,000~、フルハンドメイドで¥930,000~。ちなみに右上写真のルームジャケットは日本限定¥450,000~(ドルチェ&ガッバーナ サルトリア)

個性を加えることで靴はさらに完成する~Berluti

Featured Item.8 Shoes

 現代において、店頭に並ぶ商品は一般的に完成品だが、ベルルッティの靴に関しては、必ずしもそうといえないかもしれない。

 それらには顧客の要望に応じて、ショップ常駐のカラリストによる「パティーヌ(色付けと磨き)」が施されたときに、はじめて完成する場合がある。

 ベルルッティにおいては、オーナーの個性に合わせたカスタマイズは重要かつ必然なのだ。また「タトゥアージュ」は自分仕様にオーダーした靴のアッパーの革表面に、タトゥーの技法で絵柄をあしらうもの。

 84の図柄から選ぶことができるが、このスカルは精巧な筆致が際立っている。また最近ではソックスのオーダーメイドも展開。コットンとカシミア素材の豊富な色や柄の中から選んでオーダーできる。

上はスカル柄のタトゥアージュが施されたブランドを代表するモデル『アレッサンドロ』。ホールカットのアッパーに大きな図柄が映える。下はブラウンベースの革に赤のパティーヌが施されたローファー『アンディ』。初回のパティーヌは無料、その後は年2回程度のメンテナンスを推奨している。カラリストやスタッフと相談して色を決めることも可能だ。タトゥアージュ¥77,000~・パティーヌ¥7,500~(ベルルッティ・インフォメーション・デスク)

日本上陸50周年記念、新鮮な印象のファブリック~Ermenegildo Zegna

Featured Item.9 Suits

 本来イタリア随一の紳士服地メーカーであるエルメネジルド ゼニア。靴やアクセサリーも展開する総合メンズブランドとして知られる現在においても、同社のテーラードウエアとファブリックには定評がある。

 オーダーメイドサービス「メイド トゥメジャー」のスーツは、『ミラノ』や『フィレンツェ』といった代表的なモデルをベースに、ショップスタッフによる採寸などを反映した修整データを本国に送って、顧客の体型や要望に合わせたものがつくられる。

 シーズンごとに展開されるファブリックが魅力だが、今季は同社日本上陸50周年を記念したエクスクルーシブな生地が登場。50年前に展開されたものを範とした複雑な色合いが、今また新鮮だ。

ブラウンやグレー、ブルーなどの色糸が交織された日本上陸50周年記念のファブリック。上がストライプ系、下が横糸を加えたチェック系になっている。どこかレトロな雰囲気が感じられる。右は「メイド トゥ メジャー」のベースとなる『ミラノ』スタイルのスーツ。構築的なショルダーのふたつボタン。このほかにもマニカ・カミーチャの『フィレンツェ』ほか数型が展開されている。スーツ¥345,600~(ゼニア カスタマーサービス)

※価格は2017年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
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菅原幸裕 編集者
BY :
MEN'S Precious2017年秋号ハイブランドが提案する、ラグジュアリーの新しい世界を体験せよより
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。
クレジット :
撮影/唐澤光也(パイルドライバー/静物)、篠原宏明(取材) スタイリスト/齊藤知宏 構成・文/菅原幸裕