日本国内でも個性的なホテルが増えてきていますが、この秋にオープンしたのは、美術品と過ごせるホテル。2017年11月にオープンしたばかりの「ART MON ZEN KYOTO」には、複製品や印刷物ではなく、本物のアート作品や古美術品が部屋ごとに展示されているのです。その様子を現地で拝見してきました。

祇園からも徒歩数分というアクセスの良さも魅力
祇園からも徒歩数分というアクセスの良さも魅力

ホテルが位置するのは、祇園の北部、古門通り。界隈には入口向かいの思文閣をはじめ、名だたる古美術商が軒を連ねています。このホテルをプロデュースしたのは、明治40年創業の中西松豊軒の4代目、中西輝之さん。千家流美術茶道具から、東洋や中国美術を含む海外の美術品など広く取り扱っている中西さんのモットーは、「名品にチャレンジする」。

数寄屋職人の手による美しい室内
数寄屋職人の手による美しい室内

このホテルの企画も「最初からホテルをつくるつもりだったわけではありませんが、今の美術界と京都をめぐる現状をいろいろと考えているうちに、このスタイルが大きな可能性を秘めているのではないかと考えるようになりました」と語っています。

数寄屋職人の手による和と洋が優美に融合した室内

4階建てのホテルの中に、客室数は全部で15室のみ。天井高は約3m取り、33平米のスーペリアクラスの部屋でも圧迫感を感じない設計。窓も大きく取られているので、開放感も抜群です。デザインは、アートギャラリーの新しい進化形をイメージし、内装も調度も京都の老舗数寄屋工務店の職人に依頼。「和」と「洋」の調和と融合の美を感じることが出来るインテリアで滞在客を出迎えています。

部屋のタイプはスーペリア(2名¥47,520~ 税込)のほか、デラックス(2名¥71,280~ 税込)、プレミア(2名¥95,040~ 税込)、エグセクティブ(2名¥95,040~ 税込)、ペントハウス(2名¥148,500~ 税込)、デュプレックス(2名¥136,620~ 税込)とあり、それぞれの部屋で趣向を凝らした仕掛けが。3階の部屋にはすべてプラネタリウム・クリエイター 大平貴之さんが手がけたプラネタリウム「MEGASTAR CLASS」(メガスター クラス)を設置。室内にいながらにして100万個以上の星が輝く、まばゆく星空を堪能できます。

天井まで広く取られた窓でさらなる開放感を演出。こちらはプレミアのお部屋
天井まで広く取られた窓でさらなる開放感を演出。こちらはプレミアのお部屋
寝心地を追求したオリジナルのフェザーマットレスを使用したベッド
寝心地を追求したオリジナルのフェザーマットレスを使用したベッド
アメニティーも充実。グリーンティーの香りが和を感じさせる、フランス・スパ発のブランド「オムニサンス・パリ」をセレクト
アメニティーも充実。グリーンティーの香りが和を感じさせる、フランス・スパ発のブランド「オムニサンス・パリ」をセレクト

部屋ごとに異なる作品は、まるで美術館に泊まるような演出も

ホテル名にも掲げられているアートへのこだわりはひとしお。中西さんによると、部屋の趣向や季節によって、中西松豊軒が扱う古美術品から現代アートまで、自信をもってお勧めできる美術品を設置。お客様のご要望によっては、購入検討中の物を展示したり、あるいは滞在中に購入された品物と、一晩一緒に過ごしてもらうことも考えているそうです。

「当店の茶室や広間、ギャラリースペースが隣接していますので、宿泊されたお客様にお茶・能・狂言・琴・舞踊などの体験型イベントを提供することも考えています。もちろんそのときにも選りすぐりの本物の美術品を使っていただけます」(中西さん)

永楽即全 「仁清写 紅葉賀 茶壺」 ※実際の宿泊時にはカバーがかけられます
永楽即全 「仁清写 紅葉賀 茶壺」 ※実際の宿泊時にはカバーがかけられます
「祥瑞瓢形徳利」
「祥瑞瓢形徳利」
ベッドサイドの調光ボタンにも、「ART」の文字が
ベッドサイドの調光ボタンにも、「ART」の文字が
スタンドライトではなく、アート作品を照らす明かりで眠るという新しい体験
スタンドライトではなく、アート作品を照らす明かりで眠るという新しい体験
こちらは明かりをオフにした状態
こちらは明かりをオフにした状態

京都の三条京阪駅や鴨川からも徒歩圏で、京都観光にもアクセス抜群の立地。それでも部屋で過ごす時間がついつい増えてしまいそうなおもてなしにあふれたお部屋でした。

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この記事の執筆者
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WRITING :
北本祐子
EDIT :
安念美和子