当たり前だが、同じクルマでも、ボディタイプがサルーンからステーションワゴン(以下、ワゴン)になるだけで、一気にカジュアルな印象になる。それはそれでいいのだが、昔のワゴンは実用性を重んじるばかりに商用車じみたデザインが多かったため、洗練さに欠けていた。ところが最近はどうだろう。後ろ半分が箱型の乗用ワゴンは影を潜め、角の取れたバランスのいいクルマが増えている。なかでもとくにスタイリッシュなのが、このたび日本導入を果たした、ジャガーのミドルクラス「XF」のワゴンだ。後ろにいくに従って低くなるルーフライン、力強さと安定感を醸し出すボトムライン…。日本車やドイツ車とも異なる、上品さを携えた、「グッドルッキングなワゴン」だ。

絶妙な曲線を生かす色を選ぶべし!

 
 
とくに美しいのが、斜め後からの眺め。スポーティな雰囲気を、上質な世界観で表現している。
とくに美しいのが、斜め後からの眺め。スポーティな雰囲気を、上質な世界観で表現している。

「XFスポーツブレーク」と名付けられたワゴンのデザインは、絶妙なパネルの曲線で構成されている。だから、写真で見るよりも現物の方がずっと美しく感じられるし、ボディカラーによっても印象が大きく変わってくる。内外装の選択肢が豊富な英国車の特徴を生かして、コーディネートには徹底的にこだわりたい。個人的には外装をメタリック系のグレーやネイビーにするとデザインの良さが際立つと思う。内装は上級グレードの「ポートフォリオ」にすると、より上質で選択肢もぐっと増える。あまり大きなクルマではないので、カフェラテ系のレザーを選ぶと、上品で開放感も得られると思う。

ディーゼルも選べる全13モデル展開

シフト操作をダイヤルで行う、モダンなジャガーのコクピット。オプションのパノラミックサンルーフは、運転席から天井付近に軽く手を振るだけで開閉できる。
シフト操作をダイヤルで行う、モダンなジャガーのコクピット。オプションのパノラミックサンルーフは、運転席から天井付近に軽く手を振るだけで開閉できる。

 グレードが多いのもこのクルマの特徴で、エンジンはターボ付きディーゼル(2リッター直4ターボ)、ターボ付きガソリン(2リッター直4ターボ)、スーパーチャージャー付きガソリン(3リッターV6)から選べ、ラインアップは13に及ぶ。アクティブな使い方を望むなら、4WDが選べるディーゼルがおすすめだ。残念ながら現時点では未試乗につき、具体的な評価を下すことはできないが、ジャガーのディーゼルエンジンはとてもよくできたユニットなので、そういう意味でもまずはこちらを推すとして、機会を改めて、走りの魅力についてもご紹介したいと思う。

車名でわかるように、このクルマはワゴンというよりも、クーぺとワゴンの特徴を兼ね備えたシューティングブレークの意味合いが強い。美しいリアビューは、傾斜の強いリアエンドの効果も大きいが、それでいて荷室の容量は決して小さくない(通常時565リッター・最大時1,700リッター)。
車名でわかるように、このクルマはワゴンというよりも、クーぺとワゴンの特徴を兼ね備えたシューティングブレークの意味合いが強い。美しいリアビューは、傾斜の強いリアエンドの効果も大きいが、それでいて荷室の容量は決して小さくない(通常時565リッター・最大時1,700リッター)。

〈ジャガー・XFスポーツブレーク XFプレステージ ディーゼル〉
全長×全幅×全高:4,965×1,880×1,495㎜
車両重量:1,820kg
排気量:1,999cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:180PS/4,000rpm
最大トルク:430Nm/1,750rpm
駆動方式:4WD
トランスミッション:8AT
価格:722万円(税込み)
■問い合わせ先
ジャガーコール TEL:0120・050・689
https://www.jaguar.co.jp

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。