雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。
今回はレストラン「ABATTOIR VEGETAL」設立者のアヴァ・ファランさんの活動を紹介します。
オーガニック、地産地消、女性雇用|ベジタリアンレストランのSDGs
旬の新鮮な野菜とフルーツに、エディブルフラワーやハーブで彩りを添えて。鮮やかな青に驚かされるラテ『ブルー・ムーン』は、チョウマメの花の絞り汁のパウダーにジンジャーやココナッツミルクを合わせて口当たりよく。
アヴァさんの経営するレストランは、100%オーガニック食材のベジタリアンメニューが人気。ヴィーガンメニューも豊富で、現在はパリ右岸18区と左岸サンジェルマン6区に、2店舗を構えている。
「素材は地産地消を心掛け、地元の会社と取り引きするようにしています。コーヒーやビール、ジャムなども厳選。ヴィーガンメニューでは、醤油や豆腐、キノコ類など、日本の食材も活躍していますよ。いつか日本に行って、もっと深く食文化を勉強してみたいですね」
ダンサー、演劇人として約20年活動していたアヴァさん。手塚治虫の『ブッダ』を読んだことがきっかけとなって10年ほど前からベジタリアン生活を送っている。もともと料理が好きだったこともあって、レストランをやってみたいと思うようになったと言う彼女だが、その生き方の根底には、フランス人農業家・思想家であるピエール・ラビ(*)が提唱した「ハチドリ運動」の考えが流れていた。
「私もハチドリになろうと。小さな力でも、自分にできることをやり続ければ、世界は変わる。廃棄物を減らすために、料理を残さず食べてもらえるよう工夫することも、女性の社会進出を手助けするために女性シェフを採用することも、小さなアクションですが、続けていくことが大切なんです」
*ピエール・ラビとは…著書『希望を蒔く人 アグロエコロジーへの誘い』などで、持続可能な農業や社会のあり方を提唱した思想家。「ハチドリ運動」を創設。
【SDGsの現場から】
オーガニック素材でつくる絶品アプレティーボ
フレッシュなモッツァレラチーズで生クリームを包んだブラータとオーガニック抹茶ラテ。
子供を連れて出社し、自ら接客を行う
ベジタリアン、ヴィーガン派のパリジェンヌに昨年誕生した子供を抱きながら自ら接客。
すべてを手に入れようとせず、一人ひとりが、簡素に生きる。それが前進につながるのだと、アヴァさんは柔らかに微笑んだ。
- PHOTO :
- Shiro Muramatsu
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)