雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。
今回は、日本人初のインティマシーコーディネーター、浅田智穂さんの活動をご紹介します。
性的なシーンに挑む役者を守り、健全な撮影環境をつくる専門家
「インティマシーコーディネーター」(※)を知っているだろうか? 映画やドラマのヌードやキスシーンなどセンシティブな場面の撮影に挑む俳優をサポートする専門家で、ハリウッドなどでは浸透してきている。日本ではまだ知名度は低いが、’21年水原希子さん、さとうほなみさんW主演の映画の『彼女』で初めてインティマシーコーディネーターが起用され話題に。
浅田さんが外資系動画配信サービス会社から資格をとらないかと誘われたのは昨年44歳のとき。大学までアメリカで暮らし、帰国後は舞台や映画の通訳者として監督とキャストの間に立ってきた浅田さんの実績から声がかかった。
「44歳で新しいことに挑戦する不安や、海外のやり方を日本の撮影現場にもち込んで煙たがられるのではと心配もありました。でもこの仕事が人の尊厳を守ることにつながるのならば、挑戦したいと思ったんです」
【SDGsの現場から】
●Netflix映画『彼女』の配信以降、仕事の注目度がアップ
●テープやマット等撮影を安全に行うためのアイテム一式
性的なシーンだからこそ現場で生まれる化学反応があると、日本では細かく設定しないことが多かったが、一方でその場の雰囲気に飲まれて役者が本当は嫌でも言い出せない状況が生まれてしまうこともある。
浅田さんは、ベッドシーンのみならず裸や未成年のキスシーンなど台本内のすべてのセンシティブなシーンについて監督と俳優と個別に話し合い、それぞれの想いを聞き、露出や絡み方の度合いを明確にする。
「作品の重要な鍵を握るシーンだからこそ、最高の芝居を見せてほしい。私の役割はそのシーンにおいてキャストやスタッフ全員がよけいな心配なく集中して挑める環境をつくること。この仕事が理解され少しずつでも広がっていけばうれしいです」
※インティマシーコーディネーターとは…センシティブなシーンにおいて、制作と俳優の仲介役となり撮影に立ち合う。米国の俳優組合でも起用の規則化に向けて進んでいる。
- PHOTO :
- 望月みちか
- WRITING :
- 大庭典子
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)