「カッコよさを意識して全身黒コーデにしたら、単なる地味な人に…」「黒テーラードジャケットを着たら全体的にいかつい感じになっちゃった!」
女らしさとカッコよさを両立できるのは、大人女性だけの専売特許。とはいえ、ちょっとさじ加減を間違えると「ただの地味な人」や「頑張りすぎちゃっている人」になってしまう危険大。もっとナチュラルに、大人な女のカッコよさを手に入れたい!
そんなあなたにオススメなのが、女らしくエレガントなのに凛としたカッコよさも備えた「辛口フェミニン」。そこで、辛口フェミニンマスターのスタイリスト・押田比呂美さん自身がこよなく愛するアイテムやコーディネートのヒントをこっそり教えていただきました。
■1:全身黒にはときめきを添える
「強さや美しさを秘めた黒の着こなしは個人的にも好き」と語る押田さん。ただし、無意識に黒を重ねるだけでは、フェミニンな要素が欠け、威圧的になってしまうおそれも。
「黒を着るときには、素材感にこだわることが第一です。シルクブラウスで透け感を、鹿の子編みのニットコートで立体感を…と、さまざまな表情をもつ黒を組み合わせ、平坦に見せないことが重要」
そして、黒は辛口な色だからこそ、意識的にかわいさを加えることも押田流。
「小さなデイジーがちりばめられたブラウスやピンクの小さめバッグなど、女性ならば無条件に心が弾む名脇役が全身黒の着こなしをあか抜けさせるのです」
■2:テーラードの堅さには透け・揺れをプラス
クローゼットに一枚はある黒のテーラードジャケット。ごくごくベーシックなはずなのに、合わせるアイテムを迷う大人の女性が多いのも事実。
「黒のテーラードジャケットをきちんと着るのは簡単ですが、せっかくなら、周囲をゾクゾクッとさせるくらい、色香が漂うエレガントな着こなしに仕上げたいもの。そんなときにはシャツやニットでは力不足。透ける質感や、ふとした仕草のたびに揺れるボウタイが、キリッとしたテーラードからのぞくだけで、驚くほど華やかな印象になるのです」
■3:とろみブラウスには甘すぎないチェーンバッグを
「落ち感のあるブラウスは、テクニックを駆使せずとも、大人の女性を美しく見せるもの。ドレープの陰影で気になる部分を隠し、優雅に見せてくれるのです。そんな優秀なブラウスをまとったら、あとはアクセサリー効果を発揮するゴールドチェーンのバッグを添えるだけ。完璧なまでに美しい『辛口フェミニン』がかないます」と押田さん。
まるでネックレスのように細く、繊細に連なったチェーンがもたらす着映え効果を、試さないわけにはいきません!
■4:手元はマニッシュとフェミニンの二面性で遊ぶ
「日々を刻む時計は一生をともに歩めるような、かけがえのないものを選ぶべき」と断言する押田さん。ピンクゴールドのベゼルをダイヤモンドで埋め尽くした卵形の時計は、視界に入るたびに自信をもたらしてくれます。
「ジュエリーにも勝る時計を片方の手首にしたら、反対の手にはまったく異なる性格のブレスレットを。ターコイズやパイライトというナチュラルな石がもつ強さを加えることで、王道のジュエリー合わせとはまた別の、意外性という魅力が備わります。どこか力の抜けたブレスレットを、ジャラジャラと重ねることなく、さらりとつける。ひと筋縄ではいかない、おしゃれの奥深さがかいま見える手元スタイルは、視線を集めるはずです」
■5:トレンチコートにパールのネックレスで清潔感を
「小粋なトレンチコートとまろやかなパール、このふたつは、私が愛してやまない定番」と押田さん。
そんなベーシックアイテムを今の気分で着こなすには……?
「一歩先行く媚びない女らしさを手に入れたいなら、まずトレンチは、メンズスーツに用いられるような杢調のストレッチウール素材を。ベルトをキュッと締めたら、デコルテにはパールネックレスを埋めるように重ねて…」
研ぎ澄まされた洗練をもたらすには、男前なトレンチと端正なパールをともにグレーで統一すること。
「凛としていてかっこいいのに、どこか艶やか…。そんな、若い世代とは一線を画す着こなしを目指すべきです」
■6:ふんわりグレージュにはキレ味のよいアクセサリーを
私たちが愛してやまないグレージュのグラデーション。落ち着いた色味だけに、シックな着こなしで満足してしまうこともしばしば。凛とした女らしさが香り立つ「辛口フェミニン」をつくるにはコツがありそうです。
「淡色のグラデーションは実はとっても難しく、ちょっとしたトーンのズレが野暮ったさにつながることも。そこでおすすめなのが、個性豊かに素材をミックスする方法。ふんわり感、輝き、透明感…と異なる性格をもつ素材を合わせることで、淡色コーディネートでも迫力が生まれます。ソフトなニュアンスカラーでまとめたら、仕上げのジュエリーは守りに徹することなく、キレ味のよいスネークモチーフのネックレスでインパクトを添えて」
ただフェミニンだけじゃ物足りない、でも女性らしさはキープしたい――。そんなワガママを叶える「辛口フェミニン」は、ちょっとしたアイテムの組み合わせの工夫でつくることができます。エレガントでどこかキリッとした「辛口フェミニン」、あなたもぜひトライを!
- PHOTO :
- 篠原宏明(ナインライヴス)
- STYLIST :
- 押田比呂美
- COOPERATION :
- EASE