ふんわり柔らかい、極上のローゲージニットが恋しくなる季節。「ファビアナフィリッピ」のニットウエアを纏うと、なぜ私たちはこんなにも幸せな気持ちになるのでしょう…。イタリアの長閑な町にあるブランドの心臓部で、類い稀なるクラフツマンシップの秘密を探りました。

「ファビアナフィリッピ」タイムレスな洗練の美学

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ニット¥143,000(アオイ〈ファビアナフィリッピ〉)

モダンにアレンジしたノルディック柄と立体的なリンクス編みが融合した、今季の新作。上品なニュアンスカラーが、アルパカやメリノウールが放つ天然繊維の上質感を際立たせて。手作業で施されたボールチェーン飾りも、ラグジュアリーなニットスタイルを印象づける。

上質素材、極上の着心地…、ニットウエアの製作で培った職人技は細部に!

ファッション大国イタリアで、ニット製作に従事する中小企業が数多く集まるウンブリア州。

複数メーカーのニットウエアを手掛けていた「ファビアナフィリッピ社」が勝負に出たのは、1990年に日本で開催された見本市。ありそうでなかったカーディガンのように軽くて着心地のいいニットジャケットは、メイドインイタリーの技術と美意識の高さを印象づけました。

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左/工房は、自然光がたっぷり入る心地よい環境に。右/経験に裏打ちされた、熟練の手編み技術は圧巻!

その後、世界的なトータルウエアブランドとして成長を遂げた「ファビアナフィリッピ」。すべてのアイテムに共通するのは、ニットウエアを出自にもつブランドならではの、優しく包み込まれるようなリラックス感と、着ているだけでラグジュアリーな気分に浸れる極上の肌触り…。

ニットウエアの場合、着心地の良し悪しは首や肩周りなどを快適に保つ、なめらかな縫い目や編み立てに表れます。同社では、今も旧型の機械を用いて、編み上げたパーツの編み地を人の手で繊細な針にひと目ひと目刺してつなぎ合わせる、リンキングを採用。

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右上/イタリア製の「マッキーナ チルコラーレ」と呼ばれる伝統的な丸形の機械は、ニットの身頃と襟、袖を接合するリンキングの工程で使用。この緻密な作業には、経験豊かな職人の手技が必須。左下/日本が世界に誇る「島精機製作所」のニットマシン。つなぎ目がないニットを丸ごと編み上げるホールガーメントのほか、ニット製作で幅広く活躍

洗練されたデザイン、クラフト感溢れる高度な職人技、ウンブリアの自然から着想したニュアンスカラーや選りすぐりの上質素材、これらすべてが調和してはじめて完成する「ファビアナフィリッピ」のコレクション。細部に宿る洗練の美学を体感するほど、ますます虜に!

ウンブリアの文化、風土を受け継ぐ、唯一無二の真摯なものづくり

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左上/素材(糸やファブリック)と色のバランスも、綿密に計算。左下/完成したサンプルに問題があれば、職人が手作業で補修。右/クリエイティブスタッフのオフィスと職人の工房は、ガラスで仕切られただけの開放的な設計に。

人口約3800人が暮らす、ウンブリア州ペルージャ県のジャーノ・デッルンブリアにある「ファビアナフィリッピ」の本部では、1万平米の広大な敷地に200人のスタッフが働いています。

ここでは世界市場で戦えるデザインコンセプトの形成から、サンプル製作、生産管理まで、すべての工程を一貫して行うことができるシステムを構築。部門の垣根を越えて自由に行き来できる風通しのよい環境も、「ファビアナフィリッピ」のものづくりに大きく影響しています。

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左/職人はすべてウンブリア出身。磨き上げられた技術は、熟練から若手に代々受け継がれて。右上/詳細な指示が書かれた仕様書。右下/品質管理のセクションでは、編み目が抜けていないか、ライティングしてチェック。

創業者のフィリッピ兄弟は、「この唯一無二の場所でこそ、上質と寛ぎに満ちた真のライフスタイルが提案できる」と言います。

それを証明するのが、毎シーズン発表される「ファビアナフィリッピ」のタイムレスなコレクション。

纏ったときに感じる人の手の温もりのような温かさは、着る人を幸せな気持ちに。今季は未来に向けた取り組みの第一歩として、オーガニックコットンとナチュラルカシミアに限定した『テラ(地球)コレクション』も発表。ぜひ、お見逃しなく!


【Column│ブランドゆかりの地を訪ねて】ファビアナフィリッピの創業地、緑豊かなウンブリア州へ

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ファビアナフィリッピの本部があるペルージャ郊外の町、ジャーノ・デッルンブリアは、オリーブやぶどうのほか、小麦の栽培も盛ん。緑と黄金色の広大な土地が、どこまでも続く。

大自然の恵みをたっぷり堪能し、長閑な風景に癒やされる!

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オリーブの木に守られた、本部のエントランス。建物は創業者ファミリーが所有するオリーブ畑に隣接。

「ファビアナフィリッピ」が本部を構えるウンブリア州は、国内でも有数のオリーブ畑やぶどう畑が広がる緑豊かなエリア。イタリア半島の中部に位置し、フィレンツェとローマからは車で約2時間。ほとんどの町がなだらかな丘陵に囲まれた農作地帯にあり、中世の面影を色濃く残す古い町並みは、どこを切り取っても美しい。

また、スパズィオ山の斜面に佇み、観光客や巡礼者が絶えない世界遺産の街・アッシジや、サン・フランチェスコ聖堂と関連修道施設郡は、州都のペルージャからバスで40分程とアクセスも抜群。教会や美術館など見どころも多く、一日では到底回りきれない。

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現代アートやモダンなインテリアで統一された内観。

ウンブリアの自然、文化、芸術から多大な影響を受けている「ファビアナフィリッピ」。ベージュやグレーに代表されるナチュラルカラーは、アッシジに古くから残される石畳みや本部の周りにある美しい自然の風景からインスピレーションを受けています。

そんな魅力溢れる地を訪れたら、美食家も唸る名産、風味豊かなトリュフやオリーブオイル、ワインなどの自然の恵みもぜひ堪能してほしい。

世界遺産がピンク色に染まる壮大な光景を目に焼き付けて!

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(C)getty images

半円状のアーチが連なる瀟洒な建造物が、世界中から巡礼者が訪れるサン・フランチェスコ聖堂。スパズィオ山でとれるアイボリーとローズピンクの石で築かれた聖堂をはじめ、麓から見る夕暮れのアッシジは息を呑む美しさ…。


※掲載商品の価格は税込みです。

問い合わせ先

アオイ

TEL:03-3239-0341

PHOTO :
小池紀行(パイルドライバー/静物)
EDIT&WRITING :
兼信実加子、佐藤友貴絵(Preciuos)