1951年にDB2の高性能エンジン搭載バージョンとしてデビューして以来、アストンマーティンにおけるスポーツカーの中核として人気を博してきた「VANTAGE(ヴァンテージ)」。その最新モデルが、去る11月、東京・青山にオープンした同社初のグローバル・ブランドセンター「The House of Aston Martin Aoyama」にて発表され、本国からはヴァンテージの開発に携わったエンジニアやデザイナーが来日した。

アグレッシブなスポーツカーとして進化

低くマウントされた大型のフロントグリルと小ぶりなヘッドライトが、肉食獣の貌を思わせる。

「先代のヴァンテージはアストンマーティンの中で最もポピュラーなモデルでしたし、長年にわたって愛されてきました。先代のアグレッシブな、スポーツカーとしてのキャラクターは新しいヴァンテージにも引き継がれています」

 このように語るのは、インテリア・デザインのクリエイティブ・ディレクター、マシュー・ヒル氏。彼はまた、2015年に発表されたサーキット向けのモデル「ヴァルカン」と新ヴァンテージの共通点についても言及した。

「両者は同じ系統でしょうね。新ヴァンテージは、非常にノーズが低く、アストンマーティンの特徴でもあるフロントグリルの位置も従来のモデルに比べて最も低いところにレイアウトされています。このデザインがいかにもプレデター(捕食者、肉食獣)的な雰囲気を生み出しています」 

アストンマーティン・ヴァンテージの前に立つマシュー・ヒル氏(左)とマット・ベッカー氏(右)。

 こうしたエクステリアのイメージは、内装にも取り入れられている。ボディのシャープな雰囲気に連関して、インテリアは以前の流れるようなラインから角ばったフォルムが基調となっている。そして機械的な、「アナログ的」ともいえるような雰囲気を盛り込んでいるという。「レースカーやヘリコプターのコックピットをイメージしています。座っていて、運転していてクルマと一体感が得られるよう意図しています」とヒル氏。こうしたいわばレーシング・フィーリングはパワートレインにも反映されているという。車両特性エンジニアリングの責任者であるマット・ベッカー氏は次のように説明する。

「エンジン出力が510馬力と強力で、トルクもあって、しかも低回転域から瞬時に高いトルクを発生できるよう設計されています。さらにそうした性能面とは別に、エキゾーストサウンドも重要視していて、音響関係の専門家がチームに在籍しているほどです。DB11のようなGTとはまた違った、スポーツカーとしてより積極的な、独特なサウンドに仕上がっています」

タングステンシルバーのボディカラーの場合のインテリア。トランスミッションスイッチの周囲にコントロール類を集めたコンソール、低いシートポジションなど、まさにコックピットと呼べる空間だ。
スリムなリアライトが印象的な、力強い雰囲気のリア部。トランクは350リットルの容量で、後部座席の背もたれを倒せばゴルフバッグ2個程度は収納できそうだ。

 アンディ・パーマーCEO以下、少人数でコミュニケーションを密にとりながら開発されるアストンマーティンのクルマからは、関わった人間たちの手の感触が随所に感じられるようだ。さらにパーマーCEOは、モデルごとの明確な差別化を開発チームに求め、その結果、スポーティなイメージとフィーリングを強調した新ヴァンテージが誕生したという。

今回のヴァンテージ発表の舞台となった、東京・青山にオープンした「The House of Aston Martin Aoyama」。世界初のグローバル・センターである。
〒107-0061 東京都港区北青山1-2-3
近年はクルマだけでなく、ライフスタイル提案にも注力するアストンマーティン。The House of Aston Martin Aoyamaでも、ウェアやバッグ、アクセサリーなどが展開されている。

 今後7年間で7機種発表されるというアストンマーティン。そしてクルマをコアに、ライフスタイルまでを提案するThe House of Aston Martin Aoyamaもスタートして、そのクルマ同様、アグレッシブな展開は今後目を離せない。

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この記事の執筆者
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。