上質なレザーと、新開発の木型が生み出す端正な雰囲気

ブラックカラーのカシミアスエードに、リバーススエードの太めのパイピングを配した「KINGHTON(ナイトン)」¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)
ブラックカラーのカシミアスエードに、リバーススエードの太めのパイピングを配した「KINGHTON(ナイトン)」¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)

 真に贅沢な暮らし、豊かなライフスタイルとは何かと考えると、さまざまなモノやコトに精通している人ほど、なかなか難しい命題だったりする。夜な夜なシャンパンを呷り、美食に明け暮れることが贅沢、と断言できるほど、成熟した感性は単純ではない。三畳の茶室での削ぎ落としたような境地を味わうことが贅沢のひとつならば、毎朝毎夕海に入り波と戯れる生活を至上の贅沢と考える人もいる。人の数ほど贅沢や豊かさはある、極論かもしれないが、そんな風にも思える。

 靴を履くことそのものは文明人として当たり前の習慣だが、身体的に、精神的に、より「快く」靴を履こうとすると、途端に贅沢への追求がスタートする。その追求においては「靴を脱ぐ」という行為も、実は重要である。どんなに自身に合った靴であっても、それを脱ぐことによるリラックス感は間違いなく得られる。では、自宅はともかく、ビジネストリップやリゾートのホテル、または機内等で靴を脱いだ後、何を履くのか。裸足でも問題ないかもしれない。しかし、どんなにプライベート性が強い空間であったとしても、裸足に抵抗がある紳士は意外に多いのではないか。裸足はバスルームとベッドの中、さらにはジムのプールサイド程度にしておきたいという感覚は、欧米の生活習慣に親しんだ人ほど、強いようだ。

ラセットカラーの、カントンカーフ&スエードのナイトン。¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)
ラセットカラーの、カントンカーフ&スエードのナイトン。¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)

 そこで重要になってくるのが、靴を脱いだ後に履くための、ルームシューズやスリッパなどの履物。この選択を自身の美意識などを度外視して「間に合わせた」ために、残念な心境を味わったという人は、これまた多いに違いない。ここにしかるべき投資をすることは、靴にまつわる贅沢の重要なポイントでもあるのだ。

 世界でも最高峰の高級既製靴とビスポークシューズを提供する「ジョン ロブ」がこの度発表したレザースリッパ「KNIGHTON(ナイトン)」は、ビフォア&アフター・シューズの真打ちと呼べるものだ。カシミアスエード&リバーススエード、またはカントンカーフ&スエードと、高品質な革素材をコンビ使いしたミニマルなデザインが特徴。新たに開発されたラストを使い、パッド付きのソールが配されて、履き心地も追求されている。細部の繊細かつしっかりとしたつくりは、同ブランドの靴譲りのもの。また、ソールの形状をなぞるようなフォルムのケースも付属していて、旅先の携帯に重宝しそうだ。ブラックやブラウンはもちろん、バーガンディなど多彩なカラーが展開されているのもうれしい。

チェリーカラーのカシミアスエード&リバーススエードのナイトン。他にもエメラルドやインディゴといったカラーも展開されていて、小さなサイズを選べば女性にも対応できそうだ。¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)
チェリーカラーのカシミアスエード&リバーススエードのナイトン。他にもエメラルドやインディゴといったカラーも展開されていて、小さなサイズを選べば女性にも対応できそうだ。¥97,200(ジョン ロブ ジャパン)

 ビジネスやリゾートライフそのものにおける、こうした履物の重要性は一見大きくないように映る。ただ、ここにしかるべき投資をして得られる贅沢、豊かさの実感は、もしかしたら旅そのものの価値を左右するのかもしれない。「神は細部に宿る」という言葉があるが、贅沢の真髄もまた、こうした細やかな生活のディテールにあるのかもしれない。そして折しもギフトシーズン。こうしたアイテムを選び、パートナー、または自分自身への贈り物とする行為自体もまた、精神的な贅沢といえるだろう。 

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この記事の執筆者
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。
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