“水沢ダウン”が誕生したのは2008年。国内でも希少なダウンウエアの一貫生産体制を持つ岩手県水沢市(現奥州市)の水沢工場が誇る、特殊な技術とこれまでに蓄積されたノウハウを活かして生み出された。“職人の手から生まれるハイテクダウンジャケット”をコンセプトに、それまで、軽量性と羽毛自体の品質に重きが置かれていた従来の開発に対し、“着る人にとってのダウンジャケットの弱点とは何か?”という全く異なる視点からのアプローチを敢行。
元々、ダウンパックをステッチで縫製する性質上、雨や雪などに弱く、ミシン目から水が侵入し、羽毛が濡れて十分な保温性が保たれないことに加え、縫い目の隙間からダウンが抜け落ちやすい点に着目。そこで、ダウンパックをステッチではなく、特殊な熱圧着技術を採用することで、先述の問題点をクリアし、防水性と耐水性を兼備した、それまでの常識を覆すダウンウエアを作り上げたのである。そんな常識外の製法を実現したのが、水沢工場の熟練職人たちであった。裁断からダウンパックの形成、熱圧着加工、ダウンの封入まで全ての工程において、職人がひとつずつ形作っている、言わば、職人技術の粋を集めた結晶であり、日本のものづくりの底力が“水沢ダウン”には込められている。
マットな質感とすっきりとしたフィッティングが醸す洗練されたモダニティ
今季、新たにコレクションに仲間入りした「アンビット」は、“水沢ダウン”シリーズ初採用となるゴアテックス ファブリックを採用。“水沢ダウン”最大の特徴ともいえる熱接着ノンキルト加工と縫製部分に施したシームテープ加工はそのままに、ゴアテックスのなかでも、軽量とコンパクト性に秀でる30デニールのリップストップナイロンを掛け合わせることで、高度な防水透湿性と防風性を実現した。
なお、本アイテムにおけるゴアテックスの導入は、単なる素材提供ではなく、「ゴアテックス」社の認証を受けて、水沢ダウンを使い製作したもの。メイド・イン・ジャパン製のゴアテックス ファブリックのプロダクト制作は、極めてまれなケースであり、それ自体が水沢工場の技術力の高さを裏付ける証左といえよう。
過酷な環境下でも耐えうる機能性を備えながら、タウンユースにも映えるコンパクトなフィッティングとソリッドなデザインが、モダンなムードを演出。フードは取り外して襟元をスッキリ見せることもできるので、マフラーやストールとの組み合わせも楽しめる。
使用されているダウンは、動物保護に基づき倫理的に飼育・採取されたことを証明する「ダウンパス」認証付きで、細部にまで配慮が行き届いているのも魅力。どこをとっても一寸の隙もない、まさに今シーズンのアウター候補、大本命である。
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- MEN'S Precious編集部
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- 多田悟(Rooster)
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- 仲唐英俊(TABLE ROCK.STUDIO)
- WRITING :
- 佐藤哲也