ヒロインから脇役まで、この女性キャラクターがいるからおもしろい! |だから止められない!「韓国ドラマ」の沼へと誘う女たち
ステイホーム中に『梨泰院クラス』『愛の不時着』をはじめとした韓国の配信ドラマにハマる人が続出し、第4次韓流ブームへ突入。今も良作を続々配信し続けて、勢いは増すばかり。そんな作品の数々を彩るのは、個性豊かな女性キャラクターたち。ふたりの韓国ドラマ通がそれぞれ注目する女性キャラについて語ります!
ファッション・エディター 藤田由美さんが注目するのは…「美しく戦う凛として強い女」
プロジェクターを購入したら、その高性能ぶりに感動。多少凹凸のある壁でも、少しばかり明るくても快適に観られるので、すっかり配信系ドラマの虜に…。ハマりすぎないよう、夕食どきに1話だけを視聴中。というわけで、作品の選択条件は「夫と一緒に観られるもの」。食事の際にも気軽に楽しめる韓流ドラマが中心ですが、ラブコメはどうも…という男性でも夢中になれる作品が多いのも、最近の韓流の魅力です。
例えば映画なら『パラサイト 半地下の家族』、ドラマでは『梨泰院クラス』あたりをおもしろがるパートナーなら、一緒にハマれる作品は豊富。いろいろ観るうち、わが家ではアクションが派手で展開がスピーディな作品を選ぶ傾向に。そんなドラマには必ず、かっこいい女性が出てきます。「復讐」をテーマにした作品が多いけれど、どこか爽快です。いまだ「玉の輿願望」が根強いラブコメと違い、男に頼らず自分の足で立ち、上流階級への歪んだ憧れもない。野心は復讐と正義のためのみ。そして惚れ惚れするほど強い!
『マイネーム:偽りと復讐』:ユン・ジウ …父親を殺した犯人に復讐を誓う警察官
父を殺された娘が犯人への復讐のため、犯罪組織の後ろ盾を受けながら警察に潜入し、裏に秘められた巨悪な真実に立ち向かう。俳優陣の熱量に圧倒!
まずは『マイネーム:偽りと復讐』。アイドルみたいに可愛いハン・ソヒ演じるユン・ジウが肉体を鍛え上げ、犯罪組織のワルより強くなるのと、テンポのいい展開には、間違いなく男性も夢中に。
『Vagabond/バガボンド』:コ・ヘリ …家長として一家を支える国家情報院エージェント
民航旅客機の墜落事故に関わったひとりの男が、隠蔽された真実のなかから見つけた巨大な国家不正を暴いていく過程を圧巻のスケールで描く。
またシーズン2が期待される『Vagabond/バガボンド』は、世界を股にかけるスケールの大きさでパートナーも納得。国家情報院のブラック要員コ・ヘリが静かに憤怒を抱えながら、力強くセクシーに変貌していく様が見もの。
『ヴィンチェンツォ』:ホン・チャヨン …父を殺した悪徳企業への復讐に燃える敏腕弁護士
マフィアの顧問を務める韓国系イタリア人の弁護士が、莫大な富と利権を握る巨大組織に制裁を加えるため、壮絶な戦いを繰り広げるハードボイルドな復讐劇。
『ヴィンチェンツォ』でイタリアマフィアを背景にもつ弁護士とタッグを組むホン・チャヨンは、圧倒的な痛快キャラがプレシャスキャリアの憎めない女友達のようで、好感度大。
いずれも堅い仕事に就く美しい女性が自分の強さを信じて戦い抜く、頼れる女っぷりが心地いいのです。
「and recipe」プロデューサー 小池花恵さんが注目するのは…「心の傷と向き合う気丈な女」
韓国人は愛情深い国民性。ドラマのなかでも欧米並みに「サランヘ(愛している)」が交わされ、家族(特に母親)とのつながりも濃いです。それゆえ、心に傷を負ったときのダメージも甚大なのでは!? そんな深い傷を負った女性たちが物語を動かすドラマにハマってしまいます。
『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』:ノ・スンヘ …夫との教育方針の違いに苦しむエリートなセレブ妻
高級住宅「SKYキャッスル」に住むセレブ家族たちの受験戦争を描く。韓国の熾烈な学歴社会の闇をリアルに風刺し、話題になった作品。スリリングな展開が続き、中毒になる人が続出!
まずは、セレブ階級たちのお受験戦争を描いた韓国のお家芸的ドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』。3人の子供の母スンヘは、超学歴主義な夫に従う良妻賢母。ところが双子の育児に追われ、長女の苦悩に気付いてやれなかった負い目を抱えています。そんな長女を夫が追い詰めたとき、スンヘは強い母へと覚醒。その変貌ぶりは、ぜひドラマで!
『この恋は初めてだから』:ユン・ジホ …夢を叶えるため青春を犠牲にしてきた高学歴女子
周囲にあまり興味がない独身主義者のセヒと、脚本家の夢をあきらめきれず安月給で働くジホ。ひょんなことからふたりの契約結婚生活が始まり…。胸キュン必至のラブコメディ!
『この恋は初めてだから』のジホはソウル大卒の高学歴女子ですが、脚本家見習いとして悶々と暮らす日々。夢のために自分を犠牲にせざるをえなかったジホですが、独身主義者のセヒと出会い、かすり傷と言い聞かせてきた現実と向き合うように。脚本家を目指すジホだからこそ丁寧に言葉を尽くす姿に励まされます。
『マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん〜』:チョン・ジョンヒ …出家した元恋人を20年も想い続ける酒場の女主人
理不尽な社会に翻弄される中年男性3兄弟と、過酷な人生を送ってきた女性がふとしたことで出会い、互いを癒やしていく心温まるヒューマンドラマは、涙なしには観られない。
『マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん~』は、架空の街・後渓ふげが舞台。地元の同級生たちが集う飲み屋の女店主・ジョンヒは、元恋人サンウォンを忘れられずにいます。そんな彼女の呪縛を解いたのは幼なじみのエリョン。豪速球な言葉でしたがジョンヒの心に届きました。
自らの傷を癒やして幸せになろうとする底力をもった3人の女性たち。愛情深いゆえに傷ついた心たちはまた、誰かの愛情によって救われるのでした。そんな彼女たちを見て、ひたすら癒やされるのは私だけでしょうか(笑)。
同調圧力が強い私たち日本人にとって、韓国人女性たちのストレートな感情表現や言葉を尽くす姿勢は羨ましくも映り、本心を代弁してくれているようで胸のすく思い。韓国ドラマ沼にハマる理由は、そんなところにもあると思うのです。
- EDIT&WRITING :
- 本庄真穂、正木 爽、宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)