ついに、という言葉が似合うだろうか。韓国のヒョンデ(現代自動車)が日本に入ってくる。フラッグシップは、ピュア電気自動車の「IONIQ5 (アイオニック・ファイブ)」。2022年5月の受注開始を前に、試乗の機会があった。ひとことでいうと、たいへん気持ちのいいクルマだ。

充電時間さえも楽しむ装備がつく

全長4635ミリ、全幅1890ミリ、全高1645ミリ。
全長4635ミリ、全幅1890ミリ、全高1645ミリ。
2WDモデルはモーターをリアに搭載した後輪駆動。
2WDモデルはモーターをリアに搭載した後輪駆動。

英国の高級車などでは、室内の居心地のよさを形容して、リビングルームのような、という表現を使うことがある。アイオニック5も、リビングルームのような快適さを目指しているものの、その雰囲気はデジタル技術に裏打ちされた、あたらしい感覚だ。そこが違う。

すでに欧米で先行発売されて好評なセールスという、アイオニック5。ヒョンデ・オートモビリティジャパンのセールス担当者に聞いたところ、ドイツでは「ものすごい勢いで伸びている」とのこと。

たしかに、高速走行での安定性、加速の伸びのよさ、乗り心地の快適性、それに広い室内など、高速移動の多い欧州での使いかたでも、じゅうぶん満足いきそうだ。私は東名高速しか走っていないが、はっきりいって、速い。

乗ったのは後輪をモーターで駆動する2輪駆動モデル。トルクが350Nmもあって、実用上、充分すぎる力を発揮する。満充電からの航続距離はこのモデルが最長で、618キロに達する。これも、自宅に充電設備をもてるなら、ふだん使いに事足りる性能だ。

スタイリングは、ハッチバックタイプ。4635ミリの全長に対して、最初からピュアEVとして設計されていただけに、エンジンルームのスペースなどを削れたためホイールベースは3000ミリ。メルセデス・ベンツEクラス(2940ミリ)より長い。

インテリアも、トルクたっぷりでかつコーナリング能力も高い走行性能や、クリーンなスタイリングに加えて、もうひとつの魅力だ。クリーンで、かつ広さを感じさせる造型と、空間の使いかたの自由度が高い。

フロントシートはリラクゼーション機能といって、まるでラウンジチェアのようにくつろげる。足載せのオットマンまで使える。ヒョンデのデザイナーによると、充電中にリラックスして読書や音楽を楽しむための機能なのだとか。

居心地のよいリビングルームとしても

テスラより物理的なスイッチがあるものの、デザイン感覚はあたらしい。
テスラより物理的なスイッチがあるものの、デザイン感覚はあたらしい。
ボタンで大きくリクライニングするフロントシート。
ボタンで大きくリクライニングするフロントシート。

アイオニック5が興味ぶかいのは、ドライバーがひとりで楽しむクルマでないコンセプトにある。前後席にひとが乗ると、べつの使いかたが可能になるのだ。

リアシートも電動で前後に大きくスライド。外部給電システムを使って、家電も接続できるため、居心地のよいリビングルームのように使えるとヒョンデでは謳う。前後席とも位置やポジションにメモリー機構がついているのも、細かいが、ありがたい配慮だ。

私が乗った「Lounge」なるモデルは、白に近いグレイの室内色だったこともあり、たしかに、乗っていると気分が晴ればれとしてきた。音楽再生は、ナチュラルな音づくりで、アクースティックなサウンドがよく合う。クルマのイメージと合っていると思う。

バッテリーがやや小さいベースモデルの航続距離は498キロ(最高出力は125kW、最大トルクは350Nmと充分)。ほかの2つの2WDモデル(160kW、350Nm)は618キロで、先述したとおり最良。モーターを前後に2つもった「AWD」モデル(225kW、605Nm)はやや落ちて577キロだ。

「IONIQ5」は4つのモデルでラインナップが構成されている。58kWhのバッテリー搭載車がベースモデル(479万円)。あとはみな72.6kWhとバッテリーがやや大型に。「Voyage」が519万円、快適装備がもっとも豊富な「Lounge」が549万円。加えて、「Lounge AWD」が589万円だ。

購買にあたっては、クリーンエネルギー自動車補助金と、環境対応車普及促進税制の対象なので、税金が軽減され、かつ、じっさいの購入金額が低くなる場合がある。

CHAdeMO急速充電にも対応。
CHAdeMO急速充電にも対応。

問い合わせ先

ヒョンデ

TEL:0120-600-066

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
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