時代を超えて示唆に富むセレブリティたちのスナップ。その確かな審美眼とスタイルを通して、価値あるものの選び方、使い方を探ると同時に、本誌アーカイブのなかからこれからも使い続けたい「愛用品」を見つけました。

今回はメンズ由来のハンサムな「愛用品」の魅力に迫ります。

女性にも愛用できるアイテムとして、「ボルサリーノ」のパナマハット、「ジョンロブ」のモンクストラップシューズ、「ロロ・ピアーナ」のリネンシャツ、「エルメス」のスカーフ『ロザンジュ』、「オーデマ ピゲ」の腕時計『リマスター01 クロノグラフ』を本誌アーカイブから取り上げます。

メンズ由来のハンサムな「愛用品」

ブティックでメンズコーナーに必ず立寄る。そんな女性が増えています。変化を追うより、じっくりとスタイルを極めること。それが男性ファッションの真髄だから、メンズ売り場をのぞくと色も形もベーシックなものが見つかります。

スカーフ一枚とってもシンプルでクラシック、無地や幾何学柄が多く扱いやすい。上質ベーシックなアイテムには、メンズ由来の伝統的なものが多く、最近のビッグシルエットの流行も、メンズ好きには追い風です。

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バハマ総督時代の1941年、ポロ競技場で夫人と共にトロフィーを授ける、稀代の伊達男ウィンザー公爵。スポーツ観戦用のコンビ仕様の靴とパナマハットで軽快に。(C)Getty Images

メンズスタイルのクラシックを知るなら、私たちにもなじみ深いウォリス・シンプソンの夫、ウィンザー公が残した美しい写真から学ぶのもおすすめ。彼が流行らせたといわれるスタイルのなかには、パナマハットのように女性が愛用できるものも見つかります。

ケイト・ブランシェットもクールでマニッシュな着こなしが似合う女優。映画祭の審査員長や舞台監督を務めるなど、責任のある立場にふさわしい品格が備わり、凛として清潔感のある装いが参考になります。

こうしたスタイルに大きな影響を与えたのが、映画『アニー・ホール』のダイアン・キートン。「ラルフ・ローレン」のメンズ服をはじめ、すべて私服で演じたのは革命的でした。

成功のポイントは上質な素材とクラシックを上手に取り入れたこと。そしてなにより彼女自身の知性。メンズ小物使いのさじ加減には、知性と教養が欠かせないのです。

■1:「ボルサリーノ」のパナマハット

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2019年6月号掲載 撮影/佐藤 彩

これひとつで薄着の夏カジュアルが端正にクラスアップ!

ウィンザー公が愛用したことでも知られるパナマハットは、女性にとっても薄着でラフになりがちな夏の装いをピリリと引き締めてくれる効果的なツール。

特に「ボルサリーノ」のパナマハットは、エクアドル産の天然のトキヤ草を用いて、ごく繊細に編み上げられたエレガントな風合いが魅力。パンツはもちろん、ワンピースに合わせてもグンと洗練されて。

■2:「ジョンロブ」のモンクストラップシューズ

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2017年12月号掲載 撮影/小池紀行(パイルドライバー)

クラシックにもカジュアルにも合う、美しきアイコン「ダブルモンク」

英国高級紳士靴ブランドとして150年の歴史をもつ「ジョンロブ」では近年女性用モデルが登場。

「ダブルモンク」といえばエドワード8世のリクエストを受けて軍用ブーツをベースにつくられたジョンロブのアイコン。女性用には「ダブルモンク」のほかに、写真の流れるようなシルエットが美しいハイカットの「トリプルモンク」もおすすめ。

■3:「ロロ・ピアーナ」のリネンシャツ

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2020年7月号掲載 撮影/唐澤光也(RED POINT)

極上の天然素材の美しさと肌触りをXSサイズで堪能する!

リネンシャツを選ぶなら、おしゃれな男性たちが愛用する「ロロ・ピアーナ」の『アンドレ』をサイズダウンして試してほしい。アロエベラ仕上げの極上リネン糸を使い、シワになりにくく、肌に優しくなめらか。

襟を開けても縫い目が見えないワイドな見返しや、動きやすい後ろ身頃のサイドダーツなど、ナポリの伝統的テーラリングに基づく優雅でリラックスしたつくりも見事で、手放せなくなるはず。

■4:「エルメス」の『ロザンジュ』

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2019年12月号掲載 撮影/池田 敦(パイルドライバー)

ひし形なら大判でもすっきり。メンズのシックな色味も狙い目!

大判のGMサイズでも、ほっそりとした剣先がタイのように扱いやすく、軽やかに巻けるひし形スカーフの名品。

レディスの華やかな色柄も魅力ながら、無地『ユニ』のニュアンスカラーやシックカラー、最近ではコミカルでポップなモチーフの新作を求めてメンズ売り場へと向かう、辛口ベーシック派の女性コレクターも多い。季節によって素材を変えて楽しみたい。

■5:「オーデマ ピゲ」の『リマスター01 クロノグラフ』

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2021年1月号掲載 撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー)

男性からも羨望の視線を浴びる伝説の名クロノグラフ

女性が大ぶりで本格的なメンズウォッチをつけるカッコよさは、本誌でもずっと提案してきたスタイル。

1943年にわずか3本で製作された幻のクロノグラフに、現代的な解釈を加えて2020年に登場したもの。ロゴやフォントのレトロで上品なデザインはそのままに、読みやすくサイズアップした40mmというケースが、華奢な女性の手首にもひときわ映える。

※掲載した商品は、過去の『Precious』で掲載した記事からの転載なため、現在は買えないものも含まれています。ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

PHOTO :
Getty Images、佐藤 彩、小池紀行・池田 敦・戸田嘉昭(パイルドライバー)、唐澤光也(RED POINT)
EDIT&WRITING :
藤田由美、兼信実加子、喜多容子(Precious)