ここへきてボルボに注目する人が再び増えてきた。きっかけは2016年に発売されたフラッグシップSUVの「XC90」と、続いて登場したセダンの「S90」 、ワゴンの「V90」だった。そして今年デビューした弟分の「XC60」は、2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤーをボルボとして初めて受賞した。
 いずれも新開発プラットフォームの導入に合わせてデザインを一新。北欧生まれらしい豊かな乗り味と優しい造形を、プレミアムブランドにふさわしい質感で表現したことで、高い評価を受けている。
 この勢いは2018年も続きそうだ。ボディサイズも価格もさらに手頃なSUVの末っ子「XC40」がやってくるからである。上陸に先駆けてスペイン・バルセロナの国際試乗会に参加して確信した。

ボルボらしさを保ちながら、よりアクティブなデザインに!

「XC40」は、小型車向けの新世代アーキテクチャー「CMA」を初めて採用したモデルだ。
後席の居心地もいい室内は、クリーンな雰囲気に満ち、飽きがこない。

 全長4425㎜、全幅1863㎜、全高1652㎜と、プレミアムCセグメントのライバルであるアウディ「Q3」やBMW「X1」より少し大柄なボディは、「XC 90」から「XC 60」につながる流れを受け継ぎながら、車格にふさわしくカジュアルな雰囲気にまとめてあった。
  サイドウィンドー後端のキックアップはさらにダイナミックだし、ボディサイド下部の抉りも明確になった。ここで用いた台形のモチーフを前後のフェンダーやアンダーグリル、リアパネルなど各部にちりばめていることも、アクティブな雰囲気につながっている。
  ルーフを塗り分けた2トーンカラー、クラシックな雰囲気を醸し出すプレーンなリアパネルを含めて、ボルボらしさをキープしたまま遊び心をプラスした、絶妙な造形だ。

 インテリアは「XC90」で確立した造形をほぼ継承しつつ、ステアリングはリムを太くし、センターパネルはドライバー側にチルトさせ、セレクターレバーは小柄になるなど、キャラクターに合わせたデザインを盛り込んでいる。
  専用設計のシートはボルボらしく優しい着座感。後席は身長170㎝の僕が前後に座るとひざの前には約15㎝の空間が残り、頭上も余裕があった。
  センターコンソールでスマートフォンの非接触充電が可能になるなど、最新トレンドをしっかり押さえる一方、ドアスピーカーを他の場所に移設することで実現した大きなドアポケット、荷室フロアを2つ折りにすると出現するコンビニフックなど、ボルボらしい使い勝手の高さも健在だ。

サイズを超えた、深みのある乗り味でリラックスできる

物理スイッチを減らし、操作系をセンターの大型モニターに集約した設計は、近年のボルボ車に共通するもの。
上級モデルに匹敵する安全装備も備え、大人のひとり旅を全方位からアシストしてくれる。

 2L直列4気筒ガソリンターボエンジンを積むAWD(4輪駆動)のT5で走り出すと、予想以上に身軽な加速感。上級車種と同じ8速ATに加え、車両重量が1684〜1733㎏と、日本仕様「XC60」のT5AWDより単純計算で約150㎏も軽いことが貢献しているのだろう。
  さらに感心したのは、「XC90」や「XC60」とは異なる新開発の小型車用プラットフォームだ。ダウンサイジングを果たしつつ、乗り心地はボルボらしく穏やかでしっとりしており、長距離をリラックスして走ることができた。
  そのうえで「XC 60」より150㎜以上短いホイールベースのおかげで、身のこなしは軽快。しっとりした足回りが確実な接地感をもたらしてくれるので、サイズを超えた深みも伝わってくる。
 ボルボ自慢の安全装備も、シティセーフティの名称でおなじみの衝突被害軽減ブレーキをはじめ、ステアリングアシストを含めたアダプティブクルーズコントロール、交差点で出会い頭の衝突などを防ぐ衝突被害軽減ブレーキなど、上級車種に匹敵する内容を備えている。
  そのうえで「XC40」には若さがある。しかも価格は300万円台スタートと、プレミアムブランドとしてはお手頃。来年初夏と言われる上陸が待ち遠しくなった人は多いはずだ。

この記事の執筆者
自動車専門誌の編集部員を経てフリーランスに。国内外の交通事情も精力的に取材し、各種媒体でモビリティジャーナリストとして活躍中。
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