EVを普及させるのは、デザインコンセプトの力だろうか。フォルクスワーゲン本社が2022年3月9日に発表したミニバン「ID.BUZZ」がおもしろい。欲しいなあと思わせられるコンセプトだ。
乗ってみたいと思わせるデザインこそ最大の魅力
ID.BUZZ(アイディーバズ)のデザインのオリジンは、フォルクスワーゲンが1951年に送り出した「タイプ2」。タイプ1とも呼ばれたオリジナル・ビートルをベースに開発された多目的商用車で、トラックからマイクロバスまで、多くのバリエーションが作られた。
ID.とはフォルクスワーゲンがいま手がけるピュアEVのシリーズ。これまで、ID.3(ハッチバック)、ID.4(クロスオーバー)、ID.5(クロスオーバークーペ)と発表してきた延長線上にある。バズとは英語の「話題」などポジティブな意味をもつ単語と、バスをひっかけた合成語だろう。
全長は4.7メートル、全高は1.9メートル、全幅は1.9メートル(前から見るとほぼ正方形)。ホイールベースは2988ミリと長め。150kWの出力を持つモーターと、77kWhの比較的大きなバッテリーを搭載。リアモーターで後輪駆動だ。
イメージとしては、60年代に北米西海岸の若者層にもおおいにウケたVWキャンパー(これも1バリエーション)を彷彿させるものの、実際のID.BUZZは安全支援システムをはじめ、ソフトウェアをオーバージエア(WiFi)でアップデートできるネットワーク、外部給電など、最新のテクノロジーで武装している。
インテアリアも、大きな液晶モニタースクリーンが2つで、最新のゴルフに見られるようなインフォテイメントシステムが搭載されている。操作類はシンプルに、いっぽう、ダッシュボードをはじめ、全体の造型には遊び感覚がある。色づかいも楽しい。
室内の作りはかなりしっかりしているようで、快適性は高そう。荷室容量も大きく、まさにマルチパーパスなミニバンの最新形。これは日本でも乗ってみたい。ID.シリーズは、まずID.4が2022年に日本導入されるといわれている。ラインナップの充実が楽しみだ。
- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト