ワークスタイルの変化や家時間の増加など、新しい日常への適応は「装い」に劇的な変化をもたらした。だが我々を魅了してきたファッションには、色褪せることのない普遍的な価値や、何よりも人心を鼓舞するパワーが今も変わらず息づいている。そこで本稿では、常に最先端でメンズファッションと向き合い、体現してきたスタイリスト・祐真朋樹さんに、好感度とモードの美しさを両立させた7つのスタイルを提案してもらった。
今こそファッションの醍醐味を再認識するとき
「新型コロナウイルスの世界的な拡大は“装う”ことにおいても暗い影を落としました。人が集まる場所が忌避されることでオケージョンがなくなり、そのための装いを考える愉しみも同時に失われました。その後オンラインで顔のみを合わせるようになると、もはや何が新しい・古いという話題も皆無に。ファッションがコミュニケーションの枠から大きく外れてしまったことは、服道楽な僕にとってかなりショックなことでした。一説によるとコミュニケーションの8割はノンバーバル(非言語)で、ファッションが多分に関係するとのこと。そこには相手に失礼のない立ち振る舞いに加え、装いのトーンで歓迎の意を示すことも含まれることでしょう。これはAIには不可能で、人間のみに付与された才能であり、そこには多種多様な個性が輝きます。ファッション=コミュニケーションということをコロナ禍の今だからこそ改めて感じます。装うことの愉しさやおもしろさを、この特集で再認識していただけたらうれしいです」(談・祐真朋樹さん)
新時代を実装するメンズファッション
■1:絶妙なハリコシ、艶感が魅力のウールシアサッカーのセットアップ
「ここ10年ぐらい着ていて春夏に適していると感じるのが、ウールシアサッカー素材のセットアップです。コットンのシアサッカーはカジュアル素材の代表格ですが、ウールで織り上げた生地なら、爽やかなテクスチャーにしっとりとした艶が加わって落ち着いた印象に。シャツは小さめのタブカラーで、ネクタイは極薄の芯でディンプルがくっきりと出るものを。足元は明るい色をチョイスすれば軽やかさが際立ちます」
■2:卓越のテーラリングが裏打ちする最新のリラックス・エレガンス
「フロントがファスナー仕立てのジャケットを、アウターとして着ることが多くなるこの季節。ジル サンダーのジャケットは絶妙なテーラリングで、ワークウエア風な作りなのにドレッシーな雰囲気がある。肩から袖にかけてのラインも美しく、生地の艶感もいい。パンツもチノパン風のルックスながら、センターシーム入りでスラックスに見えるのも完璧。襟元に巻いたのはパリのスーベニールショップで買ったスカーフで、足元はサンドベージュのデザートブーツ。春夏にスエードを履くというのがまたいいんです」
■3:ブランドのDNAを刻み進化する新しい日常のためのスーツ
「テーラリングの高い技術を踏まえつつ、リラックスした軽さを感じさせるアルマーニ流のニュースーツは、彼の脱構築の哲学がいまだに進化していることを証明する一着です。しなやかでハリ・コシがあり、絶妙な艶感も備えている。シャツとパンツでスタイルが成立するところにも、ブランドの底力を感じます。足元は白の『ジャックパーセル』。最新かつチャレンジングなアイテムにはオーセンティックなものを合わせるのが、僕のセオリーです」
■4:グルカショーツとロングホーズがベージュを軽やかに着こなす鍵
「初夏のフランスではこの色のスーツをエレガントに着ている人が多く、真似したいと思いながら挑むも、これまで挫折してばかり。そこで今回、ショーツにロングホーズをはいてコロニアル風にしてみたら? と思い立ち、組んでみたら見事に成功しました。4ピースでもボトムがショーツなので抜け感があり、潔く決まらない軽妙な感じになったと思います。ティアドロップサングラスも、王道なものよりモダンなフォルムがハマります」
■5:慣れた風景を思い起こさせるパリシックな配色に身を包んで
「リバーシブルのコートは、オリーブの色合いとやや長めの丈がシックで好みな一着。着こなしに深みをもたせるため、中にはボトルグリーンのメランジ調の半袖ポロとクルーネックニットを重ねています。この色合いからは、白い小皿に盛られたオリーブとその傍らに置かれたシャンパンのボトルという、パリのバーカウンターの光景が想起されます。まだしばらく行けそうにもない海外渡航への渇望が、無意識に投影されたのかもしれません(笑)。足元にはペーパーレザーのバッシュでテクニカルなムードを添えて」
■6:心にフレッシュな潤いを装いには花と植物で明るさを
「この2年は常に心のどこかで、明るく平和で健康的であるようにと、ポジティブな気分を欲していたように思います。春夏向きで心を潤してくれそうな花柄を探していたら、織りで表現された美しい花柄のフィッシャーマンパンツを見つけました。アイテム自体にかなりパンチがあるので、トップスはネイビージャケットに黒のタートルニットを合わせてコンパクトかつシックにまとめます。シューズはパラブーツのチロリアンがボリューム、バランスともに好相性です」
■7:シーンを問わず着られるボーダレスな機能服
「ゴルフに最適なこのスイングトップは、ラグジュアリーブランド御用達で知られる石川県のメーカーの生地を用いたもの。防湿・防臭・撥水・防シワの機能を備え、軽くて伸縮性も抜群。シックなゴルフウエアを探しているという人に特におすすめしたいアイテムです。また同素材のサルエル風のパンツと合わせれば、ゴルフ場からそのまま街に繰り出せるのも魅力的です。サンドベージュのワラビーや、ミントグリーンのタートルニットなど、明るい差し色でウェルネスなムードを加えるのも忘れずに」
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2022年春夏号より
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- PHOTO :
- Michaël
- STYLIST :
- 祐真朋樹
- HAIR MAKE :
- hiro TSUKUI(Perle Management)
- MODEL :
- Daisuke
- COOPERATION :
- BACKGROUNDS FACTORY
- WRITING :
- 安部 毅(MEN'S Precious)
- EDIT :
- 畠山里子