有名女優からも絶大な信頼を得るスタイリストの犬走 比佐乃さんが、自身の経験値から大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第28回目では意外と難しい「定番の白シャツ」の選び方と着こなし方にフォーカスします。

犬走 比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や女優のスタイリングを手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼で、セレクト&スタイリングする自身の着こなしも、注目を集める。

人気スタイリストは定番の白シャツを日常にどう取り入れている!? デザイン選びで差をつける方法とは

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犬走さんが愛用する白シャツ。左からヴィンテージのセリーヌ、ジル サンダー、ザラ、サカイ(すべて犬走さん私物)

働く女性の定番アイテムである白シャツ。一方でどこか優等生のイメージが強いためか、敬遠してしまう人も少なくないのではないでしょうか。「それは着回しがしやすいよう、ベーシックなデザインを選んでいるからかもしれませんね」と、犬走さん。選び方やコーディネートを工夫すればONにもOFFに活躍するのが白シャツの魅力だといいます。

犬走さんが白シャツを選ぶ際の基準は、遊び心のあるデザインであるかどうか。

「ボタンや袖の形が少し変わっているなど、どこか創意を感じるデザインを選びます。スタンダードなアイテムだからこそ、ちょっとしたデザインへのこだわりが個性に変わるのです」(犬走さん)

今回は、そんな犬走さんのお眼鏡に適った4枚の白シャツと、それを用いたスタリングを、犬走さんの私物でご紹介いただきます。

日常をアップデートする「究極の白シャツコーデ」4選

■1:端正なシルエットにダブルのパールボタンが輝く「セリーヌの白シャツ」

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パールボタンが女性らしいアクセントになったシャツ(犬走さん私物)

フィービー・ファイロがクリエイティブ・ディレクターを務めていた頃のCELINE(セリーヌ)は今でもワードローブに大切に並べているという犬走さん。こちらの白シャツも、フィービーがクリエイティブ・ディレクターに就任して間もない頃にリリースされたものです。

「フィービー時代の初期のセリーヌは、ありそうでないデザインが見つかりました。こちらのパールのダブルボタンが印象的なシャツは10年以上前に購入しましたが、今でも通用する普遍性がいいですよね」(犬走さん)

パールのボタンや袖口のギャザーがフェミニンながら、シャープな大きめの襟がスタイリッシュなムードも醸し出します。

ONスタイルにぴったり!カーディガン&眼鏡で知的なムードに

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定番のコーディネートでも、パールボタンがほんのり華やかさを添えます(すべて犬走さん私物)

BLAMINK(ブラミンク)のネイビー色カーディガンと眼鏡で知的にスタイリング。白シャツ×ネイビー色カーディガンは定番の組み合わせですが、シャツのボタンのおかげでかしこまりすぎません。

「カーディガンの袖には腕を通さず、肩にかけるだけ。これで大人の余裕が生まれます」(犬走さん)

■2:犬走さん愛用はTHURSDAY!「ジル サンダーの白シャツ」

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ミニマムな中にこだわりのディテールを取り入れたジル サンダーらしい1枚(犬走さん私物)

曜日によってデザインの異なる7型のコットンシャツを展開する、JIL SANDER(ジル サンダー)の「7 デイズ シャツ」。犬走さんが愛用するTHURSDAYは、ピンタックとダブルカフが華やかな「7 デイズ シャツ」唯一のショート丈のモデルです。バンドカラーが犬走さん好みのうえ、ややワイドなシルエットでパンツとの相性も抜群です。

「去年は出番がなかったとしても、今年はまた着たくなる。そんな風に長く使えるのが魅力的。デザインが古びないので長く着られる1枚だと思います」(犬走さん)

旬のネオンイエローのワンピースで、今年らしくキャッチーに!

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意外性のある組み合わせですが、白シャツを重ね、ワンピースを見せる面積を調整すれば着こなしやすい!(犬走さん私物)

このシャツには、ネオンイエローが今年らしいCOS(コス)のベアワンピースで、スタイリングの鮮度を上げます。

「ワンピースが伸縮性のあるジャージニット風素材でスポーティなデザイン。少しかちっとした雰囲気の白シャツと合わせることで、カジュアル感が軽減できます」(犬走さん)

■3:クラフト感溢れるレース刺しゅうとビンテージ感ある素材が魅力の「ザラの白シャツ」

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ノーアイロンでも様になる、ふんわりとした風合いの生地(犬走さん私物)

前後の身頃がレース刺しゅうになった白シャツは、今年購入したZARA(ザラ)。クラフト感のあるデザインが、犬走さんの今の気分に合っているそう。

「洗濯機で洗えるのもいいですね。普段なら白シャツにはアイロンをかけてパリッと着ますが、これは洗うとくたっと柔らかな質感になって、味が出てきます」(犬走さん)

インナーもパンツも黒でセクシーさを中和!色をつなげてすっきりと

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レース刺しゅうから肌をのぞかせれば、抜け感も生まれます(すべて犬走さん私物)

インナーを黒いタンクトップにして、肌見せを楽しみつつビターに引き締めたスタイリング。

「ヌーディな色のインナーにするとセクシーになりすぎますが、パンツの色と合わせてネイビーを選ぶことで中和されます。それから、インナーとパンツを同色にすると、視線がすらっと流れてスマートな印象に仕上がりますよ」(犬走さん)

■4:ケープ風に着こなせる!インパクト大な袖が個性的なサカイ

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ケープのような形が個性的なシャツ(犬走さん私物)

存在感のある袖が印象的なsacai(サカイ)の白シャツは、ケープ風のユニークなデザイン。

「私もこういった形のシャツを買うのは初めてで、チャレンジです。構築的な形で主張があるので、プレーンなボトムスとでも様になります。袖の間から風が入るので涼しく(笑)、汗ばむ季節も活躍します」(犬走さん)

ビジューネックレスで華やぎを!黒のパンツとハンサムにスタイリング

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細身のパンツにタックインすれば、袖の存在が際立ちます(すべて犬走さん私物)

袖を主張させるため、ベーシックな黒のパンツにシャツの前だけタックインしてすっきりと着こなします。

「裾をアウトしても素敵ですが、インした方がスマートに仕上がります。存在感のあるベルトをマークすればメリハリあるシルエットが強調できます。ビジューネックレスで華やかさを添えました」(犬走さん)


人気スタイリストの犬走比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションの選び方を教えていただく連載。第28回目は、定番の白シャツを日常に取り入れるテクニックを教えていただきました。

白シャツを着ると堅苦しく見えてしまう。そんなお悩みをお持ちの方は、犬走さんのセレクト法&コーデイネートを参考に白シャツをデイリーに活躍させてください。

PHOTO :
黒石あみ(小学館)
WRITING :
津島千佳
EDIT :
石原あや乃