JR東海の「そうだ 京都、行こう」。この国民的キャンペーンのCMに、これまで何度か登場してきた醍醐寺だが、とりわけ、見事な満開のしだれ桜をフューチャーした2009年の作品は鮮烈なインパクトを残した。きっと「いつかは春の京都で、醍醐寺のしだれ桜を」と夢見ている人は少なくないだろう。
そんな夢を、「貸切」というワンランク上の次元で楽しむというエクスクルーシヴな催しが開かれた。
静謐の中で、しだれ桜の美麗な姿を愛でるという至福
数多の文化財の修復、保全を目的として発足した、「醍醐寺/ダイナースクラブ文化財修復プロジェクト」。開始された2014年から、新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となった2020年を除いて毎春開催されてきたこのイベントは、2022年で8回目を迎えた。
参加したクラブメンバーだけの貸切による贅沢なこの催しは、「夜の観桜会」そして翌日の「朝の観桜会」と2度開かれる。いずれも僧侶による祈りの奉納や護摩法要などにも立ち合い、尊いご法話を拝聴する時間も設けられており、このイベントをさらに特別なものにしている。
日暮れ時から始まる「夜の観桜会」、クライマックスはライトアップされた「醍醐大しだれ桜」
「夜の観桜会」のスタートは、逢魔が時。日はまだ暮れてはおらず、しだれ桜をはじめ、境内に咲くさまざまな花を愛でながら、「霊宝館」へ。「霊宝館」とは、醍醐寺の寺宝の保存と公開を兼ねた施設で、その庭園には、かの「醍醐大しだれ桜」をはじめ40本以上の桜がある。
「醍醐大しだれ桜」はおおむね五分咲き。それでも、この樹齢190余年の大木から放たれる美は圧巻で、その姿に酔い知れながら、「霊宝館」へ。
重要文化財「五大明王像」などの展示を見学した後、平和と健康、そして安寧に暮らせる日常を取り戻すことを願う祈りの奉納が執り行われた。
祈りの奉納が終わるとすっかり日が暮れ、深い闇に枝垂れ桜が妖艶に浮かび上がる。圧巻の美しさだ。
この観桜会では、建物のほぼすべてが重要文化財である「三宝院」も貸し切りで自由に参拝することが許される。
「三宝院」を拝観した後は、恩賜館に併設される「醐山料理 雨月茶屋」で、「醐山料理」を頂く。「醐山料理」とは、醍醐山で採れた山菜などを調理した、醍醐寺に伝わる精進料理のこと。
こうして、この日、この時間、ここでしかできない体験が詰まった「夜の観桜会」が静かに幕を閉じた。
護摩法要に朝粥、花見以外のプログラムも充実の「朝の観桜会」
まだ世が明けきらぬ早朝、市中から醍醐時へとタクシーで出発。「朝の観桜会」は6時45分、このイベントの参加者のみ立ち会うことができる護摩法要から始まる。貸切のため、寺内には人影がほとんどない。
この静寂がどれほど尊いものか、大人になった今だからこそ痛いほど感じ、すべての神仏に感謝したくなる気持ちが心に横溢する。
参加者には護摩木が手渡され、それぞれがそこに願いを記し僧侶に託す。
燃え盛る炎、僧侶たちが般若心経を唱える声は、一瞬、心を異世界へと誘う。そしてこの朝も昨夜に続き、仲田順英師によるご法話を拝聴する。そこからはやはり、世界平和への強い願いが感じられた。
護摩法要が終わり、空を見上げると、すっかり晴れ上がっていた。再び貸切参拝が許された、「三宝院」へ。先ほどの法話を自分なりに咀嚼しながら、ひと気まばらな庭園を散策する。
今、世界で実際に起っている不幸ーー例えば戦争も、人の「執着心」が起因している。その「執着」を手放すことは容易ではない。しかし、その「執着」を手放さなくては得られない安寧がある。ある程度年齢を重ねるまでは、「執着」し続けることも必要だろう。一方、それらの執着を少しずつでも手放していく人生も悪くないのではないか。
朝食は、自然に湧き上がってきたそんな気持ちに静かに呼応する朝粥。参加者の顔は皆明るく、元気に朝粥をおかわりにする人も引きも切らない。誰もがこの特別な時間、体験によって、ポジティブなパワーをチャージしたのだろう。
2022年の世界遺産 京都・醍醐寺 特別拝観。夜、朝の観桜会はこうして無事に終了した。その後、参加者はそれぞれ春の京都を十二分堪能すべく、この名刹を後にした。
「HOTEL THE MITSUI KYOTO」で、特別な花見の余韻に浸る
旅の満足度は、宿のチョイスに大きく左右される。「ここでしか、見つけられないものがある。」というブランドスローガンのもと、カード会員に特別なサービスと体験を提供しているダイナースクラブでは、国内で実に123もの施設と提携(2022年4月1日時点)。昨今、数々のラグジュアリーホテルがオープンしている京都で、現在最も憧憬を集めている「HOTEL THE MITSUI KYOTO」もそのひとつだ。
ダイナースクラブの国内宿泊施設での優待サービス「国内クラブホテルズ・旅の宿」では、例えばホテルの場合、「朝食(1室2名分まで)」、「部屋のアップグレード予約時確約」、「ホテルクレジット」の3つの優待の中からひとつ以上を提供。「HOTEL THE MITSUI KYOTO」の場合、1室につき滞在中に使える¥10,000分のホテルクレジットと、到着時の空室状況によって部屋のアップグレードというサービスが付随してくる。
ホテルクレジットは、食事のほか、スパでのトリートメントやプライベート温泉の使用料など、幅広い用途で使え、このホテルでのステイをさらに特別なものに。
日本で最初のクレジットカードとして1961年に発行されてから、すでに60年以上もの時を経たダイナースクラブ。言わずと知れた、ステイタスカードの代名詞だ。しかしメンバーの紳士たちには、クレジットカードでマウントを取るなんて青い思考は皆無だ。そう、それは自分や家族のQOLを上げ、時に文化保全に貢献できる喜びのための選択。
「ここでしか見つけられないもの」は、確かに存在している。
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- TEXT :
- 岡村佳代 ウォッチ&ジュエリージャーナリスト