理知的な一面を引き出すネクタイなら「ニッキー」の落ち着いた色柄なんてどう？

ビジネスシーンで活躍する特別な逸品を紹介する本企画。今回は、イタリアのネクタイブランド「ニッキー」のネクタイをピックアップ。スーツスタイルにおける嗜みの一つ“ジャケットのラペル幅とネクタイ幅を揃えると美しいV ゾーンを演出できる”というのは、現代においては必ずしも正しいとは言えない。あくまで目安のひとつとして捉えるくらいがちょうど良いだろう。本項で紹介する「ニッキー」のネクタイは、モノトーン中心のシックな柄行きだが、ややナロー幅という均整のとれたバランスで洗練したムードを後押ししてくれる。

イタリア・ミラノ発の「ニッキー」は、1920年にニッキー・チーニによって創業されたネクタイ専業ブランド。ブラックやグレーといったダークな色調がメンズの装いの中心だった時代にカラフルなネクタイを制作し、伊達男と呼ばれるイタリア男性のファッション観を大きく変えたとも言われている。現在でも職人の手作業で丁寧に生み出されるコレクションは、その時代の空気感を取り込んだエレガントなデザインが特徴で、イタリアのみならず世界中のファンを魅了し続けている。

奥行きのあるシックな雰囲気と程よくナローな剣幅がVゾーンを知的に魅せる

タイ各￥19,910（シップス銀座店〈ニッキー〉）

カラフルなネクタイで、男性のスーツスタイルに彩りを加えた「ニッキー」だが、今回はあえてシックなトーンを中心に集めてみた。ライトグレーのソリッド（写真左）、ブラックとグレーを基調としたレジメンタル柄（写真中）は、ウール100％（トロピカルウール）で仕立てたもの。光沢感のあるシルク100％とは違いシックな奥行きがと重厚感があるのが特徴だ。また、モガドールという畝織りが施された写真右のレジメンタル柄は、程よい厚みがあり緩みにくいという利点を持つ。そして３本とも大剣の幅は6.9cmと、一般的な幅よりほんの少し狭めでこの塩梅も実に絶妙である。程よいナロータイはすっきりとしたシャープさがありながら、落ち着いた柄行きも相まってビジネスには不可欠な気品やインテリジェンスを添えてくれる。このあたりの全体を美しく調和させるバランス感覚にこそ、「ニッキー」の卓越したセンスが見て取れる。

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