紳士がそろえるべき、最も基本的な靴がストレートチップだ。靴のつま先にトウキャップをデザインすることで生まれる横一文字のラインが、靴の名称の由来である。飾り穴(メダリオン)を多彩にデザインするストレートチップもあるが、一切、飾り穴を配さない靴ほど、フォーマル感が高まる。オンのスーツスタイルから、フォーマルなタキシードをドレスコードとするオフィシャルなシーンまで、ドレスアップした着こなしにも対応できるのが、黒のストレートチップなのである。

フォーマルにも使える万能靴で正統派を気取る

黒のストレートチップ

製法/グッドイヤーウェルト 素材/カーフ木型/202 サイズ展開/5~10(D、E) 価格/¥152,000(エドワード グリーン銀座店)
製法/グッドイヤーウェルト 素材/カーフ木型/202 サイズ展開/5~10(D、E) 価格/¥152,000(エドワード グリーン銀座店)

 英国靴ブランド「エドワード グリーン」で、世界の紳士に愛用されている靴が、ストレートチップの『チェルシー』だ。伝統的な木型『202』を使い、靴のインサイドが直線的で、アウトサイドが曲線を描いた形が特徴。スマートな見た目に対して、適度な幅があるため、多くの人の足に合う靴である。ひも穴の両側にデザインされた、白鳥の首のように見える「スワンステッチ」が、さりげなく個性を演出する。

ストレートチップの靴にはスリーピースーツで

スーツ¥390,000・シャツ¥40,000・タイ¥20,000・チーフ¥15,000(リシュモン ジャパン〈ダンヒル〉)
スーツ¥390,000・シャツ¥40,000・タイ¥20,000・チーフ¥15,000(リシュモン ジャパン〈ダンヒル〉)

 スーツのなかでも、特にフォーマル感が漂うネイビーのスリーピーススーツ。注目のラペル付きのダブルヴェストが、男のエレガンスを際立たせる。織りストライプの白シャツに、ライトブルーのジャカードタイを合わせ、シックに装うのが王道だ。足元は、デザインに一切むだのないシンプルな黒のストレートチップが、ドレッシーな香りを漂わせる。ダンディなスリーピースの品のよさを、さらに格上げするのである。

 いかがだろう。靴のデザインは様々あれど、まずは基本を極めておくべし。「エドワード・グリーン」のストレートチップは、革質、普遍的なデザイン、そして履き心地において、文句なしの逸品である。履いたあとはシュートゥリーを入れて休ませ、適切な手入れを行うことで寿命が延び、味も出る。10年、20年先を見越して「育てて」いってほしい。

※価格はすべて税抜です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)