大人の男がビジネスの場で着るスーツは、シンプルなデザインと柄、良質な素材。これに尽きる。そうした点を踏まえたうえで、会社の上司や同僚に一目置かれるような、貫禄あるスタイルをつくりあげるのに効果大なのが、モダンな風合いながらも、チェック柄によるカントリーな雰囲気を漂わせるシングルスーツ。そして大事なのが、足元。内羽根式の茶のウイングチップを組み合わせれば、無敵のスーツスタイルの完成だ。
重厚感に満ちた足元が貫録あるスタイルをつくる
カントリーシューズのデザインを取り入れたのがウイングチップの起源である。つま先や甲革部分などに用いた飾り穴(メダリオン)は、植物や紋章などから発想した柄だ。しかし、現在ではウィングチップは、カントリーテイストよりも、重厚さを残したモダンなスタイルとして定着した。綺麗にそろった個性的な飾り穴は、靴の表情を決めるだけではなく、足元に存在感をもたらす重要な意匠なのだ。ややカジュアルな外羽根もあるが、スーツスタイルを支えるのは内羽根タイプの靴だ。
チャーチの茶のウイングチップ
1873年に創業したチャーチは、英国を代表する靴ブランドのひとつ。男らしい重厚な靴づくりを伝統とし、定番の人気靴を多くラインナップする。このウィングチップ『チャットウィンド』は、実に味のあるブラウンで、クラシックなスーツをエレガントに演出する、モダンな内羽根のデザインである。ブランドを象徴する木型を基本にモディファイされた『173』木型が、ツヤのあるスタイルを生み出したのだ。
チェックスーツにはウィングチップの靴を合わせる
茶色味を帯びたダークグレーのグレンチェックに、ライトブラウンの繊細なウインドーペーンを配したシングル3ボタンスーツ。モダンな風合いながらも、チェック柄によるカントリーな雰囲気を漂わせるスーツには、やはりウィングチップの靴がベストマッチ。しなやかなウール素材は、流れるようなドレープ感を表現し、ウィングチップの足元まで粋に見せる。
いかがだろう。英国の名門、チャーチのウイングチップなら、履き心地も文句なし。1日はいたらブラシで汚れを落とし、シューキーパーを入れて休ませ、革の乾燥を防ぐための適切なケアも忘れずに。はくほどに馴染み、年月を経て美しいシワと輝きを増していく様子を楽しんで欲しい。
※価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
Twitter へのリンク
- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)