大人の男がビジネスの場で着るスーツは、シンプルなデザインと柄、良質な素材。これに尽きる。そうした点を踏まえたうえで、会社の上司や同僚に一目置かれるような、貫禄あるスタイルをつくりあげるのに効果大なのが、モダンな風合いながらも、チェック柄によるカントリーな雰囲気を漂わせるシングルスーツ。そして大事なのが、足元。内羽根式の茶のウイングチップを組み合わせれば、無敵のスーツスタイルの完成だ。

重厚感に満ちた足元が貫録あるスタイルをつくる

 カントリーシューズのデザインを取り入れたのがウイングチップの起源である。つま先や甲革部分などに用いた飾り穴(メダリオン)は、植物や紋章などから発想した柄だ。しかし、現在ではウィングチップは、カントリーテイストよりも、重厚さを残したモダンなスタイルとして定着した。綺麗にそろった個性的な飾り穴は、靴の表情を決めるだけではなく、足元に存在感をもたらす重要な意匠なのだ。ややカジュアルな外羽根もあるが、スーツスタイルを支えるのは内羽根タイプの靴だ。

チャーチの茶のウイングチップ

製法/グッドイヤーウェルト 素材/カーフ 木型/173 サイズ展開/5.5~10 価格/¥87,000(チャーチ 表参道店)

 1873年に創業したチャーチは、英国を代表する靴ブランドのひとつ。男らしい重厚な靴づくりを伝統とし、定番の人気靴を多くラインナップする。このウィングチップ『チャットウィンド』は、実に味のあるブラウンで、クラシックなスーツをエレガントに演出する、モダンな内羽根のデザインである。ブランドを象徴する木型を基本にモディファイされた『173』木型が、ツヤのあるスタイルを生み出したのだ。

チェックスーツにはウィングチップの靴を合わせる

スーツ¥150,000(ストラスブルゴ〈デ ペトリロ〉) シャツ¥35,000(ビームスF 新宿〈ルイジ ボレッリ〉) タイ¥18,000(ボリオリ 東京店) チーフ¥6,000(コロネット〈ブリューワー〉)

 茶色味を帯びたダークグレーのグレンチェックに、ライトブラウンの繊細なウインドーペーンを配したシングル3ボタンスーツ。モダンな風合いながらも、チェック柄によるカントリーな雰囲気を漂わせるスーツには、やはりウィングチップの靴がベストマッチ。しなやかなウール素材は、流れるようなドレープ感を表現し、ウィングチップの足元まで粋に見せる。

 いかがだろう。英国の名門、チャーチのウイングチップなら、履き心地も文句なし。1日はいたらブラシで汚れを落とし、シューキーパーを入れて休ませ、革の乾燥を防ぐための適切なケアも忘れずに。はくほどに馴染み、年月を経て美しいシワと輝きを増していく様子を楽しんで欲しい。

※価格はすべて税抜です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)