靴の表情を決めるつま先部分に、まったくデザインのないシンプルなモデルが、プレーントウだ。本来、最もフォーマルなシーンに向く靴で、ロングノーズという、つま先をより長くスマートに表現する形が、最大の魅力である。靴そのものの美しい形が、スーツスタイルに色濃く反映されるのである。たとえば、丸みのあるトウは、クラシックなスーツに合い、鋭角的なトウなら、ソリッドな都会的なシーンに向く。ブラウン系の洒落たプレーントウもあるが、よりエレガントに演出できるのは、黒靴である。
ストイックなまでにシンプルを極めた本格靴 「ベルルッティ」のアレッサンドロ
ダンディな男の足元に似合うプレーントゥの筆頭格が、ベルルッティの歴史的なモデル『アレッサンドロ』である。「ホールカット」と呼ばれる、一枚革で仕立てた靴は、外見上ステッチの一切ないエレガントな靴。よりシンプルなスタイルを強調した、3つのひも穴のデザインが特徴である。靴の角度を変えて眺めると、茄子紺のようにパープルがかった色味を表すが、これがこの靴の色気となる。
グレンチェックスーツにあえて色気のあるプレーントゥで
ダークグレーのグレンチェックを用いた、シングル2ボタンの王道スーツ。襟元を引き締めるタブカラーのシャツにネイビーのペイズリータイを合わせ、ツヤのあるVゾーンを演出する。ベルルッティのプレーントウは、色を塗り重ねるパティーヌで、黒のなかに青味を感じさせるため、Vゾーンの色と調和する。クラシックななかにエレガンスが漂うのはそのためだ。
※価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
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- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)