靴の表情を決めるつま先部分に、まったくデザインのないシンプルなモデルが、プレーントウだ。本来、最もフォーマルなシーンに向く靴で、ロングノーズという、つま先をより長くスマートに表現する形が、最大の魅力である。靴そのものの美しい形が、スーツスタイルに色濃く反映されるのである。たとえば、丸みのあるトウは、クラシックなスーツに合い、鋭角的なトウなら、ソリッドな都会的なシーンに向く。ブラウン系の洒落たプレーントウもあるが、よりエレガントに演出できるのは、黒靴である。

ストイックなまでにシンプルを極めた本格靴 「ベルルッティ」のアレッサンドロ

製法/マッケイ 素材/ベネチアレザー 木型/デムジュール サイズ展開/6~11 価格/¥249,000(ベルルッティ・インフォメーション・デスク)

 ダンディな男の足元に似合うプレーントゥの筆頭格が、ベルルッティの歴史的なモデル『アレッサンドロ』である。「ホールカット」と呼ばれる、一枚革で仕立てた靴は、外見上ステッチの一切ないエレガントな靴。よりシンプルなスタイルを強調した、3つのひも穴のデザインが特徴である。靴の角度を変えて眺めると、茄子紺のようにパープルがかった色味を表すが、これがこの靴の色気となる。

グレンチェックスーツにあえて色気のあるプレーントゥで

スーツ¥245,000〈ベルヴェスト〉・シャツ¥15,000〈ブリッラペルイルグスト〉・タイ¥16,000〈フランコバッシ〉・チーフ¥9,000〈ルイジボレッリ〉/以上ビームスF 新宿

 ダークグレーのグレンチェックを用いた、シングル2ボタンの王道スーツ。襟元を引き締めるタブカラーのシャツにネイビーのペイズリータイを合わせ、ツヤのあるVゾーンを演出する。ベルルッティのプレーントウは、色を塗り重ねるパティーヌで、黒のなかに青味を感じさせるため、Vゾーンの色と調和する。クラシックななかにエレガンスが漂うのはそのためだ。

※価格はすべて税抜です。

この記事の執筆者
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矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)