1960年代、英国で起こったストリート・カルチャー「スインギング・ロンドン」の頃、アーティストやミュージシャンに愛用されたサイドゴアブーツは、通称『チェルシーブーツ』として親しまれた。そのため、カジュアルなイメージを残すが、そもそもヴィクトリア女王の夫君、アルバート公が愛用した礼装用のブーツが出自である。漆黒のレザーを使い、ブーツの両側にエラスティックを施した革新的なデザインは、足をスマートに見せるだけではなく、はきやすさも備えている。
かつての礼装用としての気品が漂う真の正統派
黒のサイドゴアブーツ
1930年代に登場したサイドゴアブーツは、ジェイエムウエストンの傑作。上質なカーフをたっぷりと裁断した一枚革で、甲革の両側に継ぎ目のないスタイルをつくる逸品だ。ブーツの正面の、2週間もの時間をかけた革のくせ取りによる、鼻筋の通ったラインが象徴的。ここに、ブランドのものづくりのこだわりが表れている。フォーマル感を秘めたサイドゴアブーツは、ツヤのあるスーツで。
サイドゴアブーツを合わせることで細身のスーツがよりモダンになる
チャコールグレーに繊細なドット柄を織り込んだ生地による、シングル2ボタン。クラシックなデザインのスーツだが、織り柄の生地によってモダンな表情をつくり出している。そんなスーツに、チェックシャツとチェックタイを合わせ、鮮やかなVゾーンを演出。サイドゴアブーツとのコーディネートによって、伊達男のクールなスタイルが完成するのだ。
※価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
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- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)