1960年代、英国で起こったストリート・カルチャー「スインギング・ロンドン」の頃、アーティストやミュージシャンに愛用されたサイドゴアブーツは、通称『チェルシーブーツ』として親しまれた。そのため、カジュアルなイメージを残すが、そもそもヴィクトリア女王の夫君、アルバート公が愛用した礼装用のブーツが出自である。漆黒のレザーを使い、ブーツの両側にエラスティックを施した革新的なデザインは、足をスマートに見せるだけではなく、はきやすさも備えている。

かつての礼装用としての気品が漂う真の正統派

黒のサイドゴアブーツ

製法/グッドイヤーウェルト 素材/カーフ サイズ展開/5~9(C、D、E) 価格/¥135,000(J.M.WESTON 青山店)
製法/グッドイヤーウェルト 素材/カーフ サイズ展開/5~9(C、D、E) 価格/¥135,000(J.M.WESTON 青山店)

 1930年代に登場したサイドゴアブーツは、ジェイエムウエストンの傑作。上質なカーフをたっぷりと裁断した一枚革で、甲革の両側に継ぎ目のないスタイルをつくる逸品だ。ブーツの正面の、2週間もの時間をかけた革のくせ取りによる、鼻筋の通ったラインが象徴的。ここに、ブランドのものづくりのこだわりが表れている。フォーマル感を秘めたサイドゴアブーツは、ツヤのあるスーツで。

サイドゴアブーツを合わせることで細身のスーツがよりモダンになる

スーツ¥168,000(ボリオリ 東京店) シャツ¥15,000(ビームスF 新宿〈ブリッラ ペルイル グスト〉) タイ¥15,000・チーフ¥6,000(コロネット〈ブリューワー〉)
スーツ¥168,000(ボリオリ 東京店) シャツ¥15,000(ビームスF 新宿〈ブリッラ ペルイル グスト〉) タイ¥15,000・チーフ¥6,000(コロネット〈ブリューワー〉)

 チャコールグレーに繊細なドット柄を織り込んだ生地による、シングル2ボタン。クラシックなデザインのスーツだが、織り柄の生地によってモダンな表情をつくり出している。そんなスーツに、チェックシャツとチェックタイを合わせ、鮮やかなVゾーンを演出。サイドゴアブーツとのコーディネートによって、伊達男のクールなスタイルが完成するのだ。

※価格はすべて税抜です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2017年春号「背広の美」が宿る本格7足の結論
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)