「今秋はオーセンティックな英国スタイルが主流」「オーセンティックなバーは根強い人気」などのコピーを雑誌や広告で見ることがあります。今回は、この「オーセンティック」について解説します。なんとなく雰囲気はわかる――という人も、ビジネスシーンで間違いなく使えるようにしっかり覚えてくださいね。
【目次】
【「オーセンティック」ってどういう「意味」?】
■「オーセンティック」の意味
「オーセンティック[authentic]」は、「本物の」「正統の」「信頼できる」などを表す形容動詞。ギリシャ語で「本物の」「主要な」という意味を表す[authentikos]などを起源とした英単語です。『デジタル大辞泉』に【ファッションで、着こなしなどが本格的なさま。「オーセンティックなアイビースタイル」】と説明があるように、ファッション分野でよく使わています。また、英語には「太鼓判を押す」や「直筆の署名」といった意味もあります。
■こんなふうに使われます
よく使われるフレーズを挙げてみましょう。
「オーセンティック・スタイル」「オーセンティックなホテル」「オーセンティックな手法」「オーセンティックな車」「オーセンティックなインテリア」「オーセンティック・ユニフォーム」「オーセンティックな骨董」
「オーセンティックユニフォーム」は、選手が着用しているものと同じ仕様のユニフォームのこと。レプリカやまがい物ではない、公認品を指します。
【ファッション以外にも使える「ビジネス例文」】
■1:「彼の提案はいつもオーセンティックだね。もっと奇抜なアイディアはないのかな」
■2:「懐かしさを感じるオーセンティックなデザインを取り入れました」
■3:「あちらの社長は建築にも詳しいそうだから、オーセンティックな建物を利用した店で接待しよう」
■4:「着物は日本のオーセンティック・スタイルです」
■5:「畳に布団、ちゃぶ台に座布団といったオーセンティックな生活様式が、昭和レトロと呼ばれて若者に人気です」
■6:「部長のようなオーセンティックな上司に恵まれて幸せです」
形容動詞からきているカタカナ語なので、さまざまな名詞に付けて使用できますね。「信頼できる」や「本物の」と言われたらうれしいもの。■6のようにほめ言葉にも使えます。
【「オーセンティック」の「類語」「言い換え表現」】
プレゼン資料など意気込んだ文書では、かっこよく見せたくて体裁を整えるためにカタカナ語を多用しがち。けれどカタカナ語をあまり多く使うと読みづらく、意味も通じにくくなるのでご注意を。カタカナ語と“オーセンティックな日本語”を交ぜて使うのが上級テクです。
■類語
・伝統的な ・古典的な ・正統の ・本物の ・確実な ・信頼できる ・正真正銘
■類似しているカタカナ語
・トラディショナル ・オーソドックス ・リアル ・ジュニイン
「ジュニイン[genuine]」も「本物の」という意味です。偽りものの「フェイク」や「イミテーション」に対して、「ジュニイン・パール」や「ジュニイン・レザー」などと使います。
【覚えておきたい「関連用語」】
■オーセンティック・リーダーシップ
リーダーとしてあるべき行動やスタイルを追求する理論に対し、自分らしさを大切にするという点においてほかのリーダーシップ理論とは異なるのが「オーセンティック・リーダーシップ」。有能なリーダーを真似るだけでなく、自分の考えに基づいて行動する人のことを「オーセンティック・リーダーシップがある」といいます。
■オーセンティック・オイル
不純物を含まない、100%天然オイルのこと。
■オーセンティック・スカ
音楽ジャンルのひとつ。ジャマイカで誕生した「スカ」という音楽ジャンルのうちの初期のものを指します。「レゲエ」は「スカ」から発生したもの。
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今回は、ファッション誌でたびたび目にする「オーセンティック」というカタカナ語について見てきました。能や歌舞伎は「オーセンティックな芸能」、屛風絵や襖絵は「オーセンティックな美術表現」ということになるでしょうか。毎日アップするこの“カタカナ語連載”で、ビジネス語彙力を身に付けていきましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『情報・知識imdas』(集英社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『知っているようで知らない ビジネス用語辞典』(水王舎)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『あの新語もわかる カタカナ語 すぐに役立つ辞典』(河出書房新社) :