カナダ最大の都市トロントは、多くの移民を受け入れてきた背景からか、あらゆるものに寛容的な姿勢が感じられます。トラディショナルなもの、ラディカルなもの、柔軟な姿勢で受け止めてから、自分たちのスタイルに昇華。それが、この街の豊かな多様性につながっているのでしょう。ここに紹介するホテルやレストランも、個性的なアドレスを厳選。トロントの多彩な顔に出合えます。
■1:英国皇室御用達、麗しのフェアモント・ロイヤル・ヨーク・ホテル(Fairmont Royal York Hotel)
大通りを隔てて、ユニオン駅の正面(地下ではギネス登録の巨大地下街PATHに直結)にそびえる、古城のように重厚感のあるラグジュアリーホテル。1929年の創業当初はこの界隈で最も高層な建物で、ダンスフロアや病院(!)までも備えた、単なる宿泊場所ではない「シティ・イン・ホテル」と呼ばれたそう。ドアマンに迎えられ、シャンデリア輝く天井の高いグランドロビーに佇むと、遠い日々のざわめきが聞こえてきそう。エリザベス女王や、天皇皇后両陛下もここに滞在したことがあります。
このたび大掛かりな改装を経て、11階建てのホテルウィングに入ったラグジュアリー&シグネチャールームの898室と、インドアプール、フィットネススパが生まれ変わりました。創業当初のエレガントな風情はそのままに、現代の居住性の高さがグンとアップ。
このホテルの屋上ではハーブ園や養蜂が行われ、レストランやバーの食材として活用されています。例えば、ここで採取したハチミツを使ったハニービールは館内の「パイパーズ パブ」と「エピック レストラン&ラウンジ」のみ。ほかにも荘厳な趣の「ライブラリー・バー」の週末のハイティーなど、このホテルならではの食体験が楽しめます。
問い合わせ先
- フェアモント・ロイヤル・ヨーク・ホテル
- 室料/フェアモントルームC$304~
TEL:416-368-2511
住所/100 Front Street W, Toronto, Ontario
■2:ロックな遊び心をデザインしたドレイク・ホテル (The Drake Hotel)
クリエイターが集まるウエスト・クィーン・ウエストの盛り上がりの震央であり、トロントのカルチャー、エンターテイメント、食文化のランドマークとなっているブティックホテル。もともとのオープンは1890年。それから何度かオーナーが変わり、名称も変わり、一時は安宿にまで衰退したけれど、2004年のバレンタインデーに奇跡の復活を遂げました。
館内はいたるところにオブジェやアート作品が飾られ、細部まで気を抜いたところがありません。さりげなくても、すべてに意味がある調度品ばかり。そんなアート作品やライブ・パフォーマンス、料理イベントなどを手掛けるのは、注目の若手アーティストたち。ここはホットな才能の育成所的役割もなっているようです。
客室は19。客室名は「XLスイート」や「Mデン」など、XSからXLまで洋服のサイズのよう。置いてある小物類もおしゃれです。
食のクオリティーの高さも、評判になっています。ルーフトップの「スカイヤード」では、賞を獲得したカクテルと、シェフの遊び心たっぷりのメニューをぜひ。また、ホテルの代名詞的存在になっているのが、地下にあるライブホール「アンダーグラウンド」。トロントの熱いナイトクラブのひとつにリストアップされています。
問い合わせ先
- ドレイク・ホテル
- 室料/SクラッシュパッドC$239~ ※クラッシュパッドとは、寝るだけのシンプルな部屋の意
TEL/416-531-5042
住所/1150 Queen Street West, Toronto, Ontario
■3:ローカルガールに人気のスタイリッシュなイタリアン 、FIGO
ジョン・ストリートとアデレード・ストリートの交差点にある、おしゃれなイタリアン。大きなガラス窓から外光が差し込む明るい店内には、テーブル席に加えてバーカウンターやスツール席も。地元の女の子たちがオシャレをして食事に訪れる、いわば、ご褒美レストラン。
「ベストな食材を使い、丹念に準備をすることがおいしい料理のための、シンプルでモダンな方法」というコンセプトのもと、食材を厳選。新鮮な食材を厳選し、リコッタチーズやパスタはホームメイド。パスタ料理の人気が高く、トリュフのリングイネや、ロブスターのスパゲッティーなど、贅沢な気分に。薪窯で焼きあげた、アツアツがいただけるピザの中にはユニークなコーヒーのフレーバーも!
問い合わせ先
- FIGO
- 営業時間/11:30~22:00(木・金~23:00、土・日10:30~15:00)
TEL:647-503-4074
住所/295 Adelaide Street West (at John Street & Adelaide Street West), Tronoto, Ontario
■4:中東の意匠に囲まれたアガカーン美術館内のディワン(Diwan)へ
イスラム圏のアートコレクションを誇るアガカーン美術館に併設したレストラン。供されるメニューも、展示と同様に中東や北アフリカ、インドに伝わる料理からインスパイアされたもの。壮麗な展示品で眼福を満たした後に、舌でもイスラム圏のカルチャーを味わえます。
店内の装飾も圧巻です。テーマは、19世紀のシリアの豪華なプライベートホーム。精緻な装飾の中でも1799年にダマスカスでつくられた、手掘りやペイントが美しい木製パネルの美しいこと! 最も古いパネルは17世紀初頭にアレッポで作成されたものだそうです。そして床から天井までの大きな窓から望む、アガカーンパークの緑も目に優しく、穏やかな心持ちでランチがいただけます。
問い合わせ先
- Diwan
- 営業時間/11:30~14:30、月曜休
TEL:416-646-4670
住所/77 Wynford Dr, North York, Toronto, Ontario
さまざまな文化から影響を受けたカナダ・トロント。この街の豊かな多様性に出合うため、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
シリーズ「アートなトロント旅」
- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- COOPERATION :
- トロント観光局( http://seetorontonow.jp/ )
- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子