カナダ最大の都市、トロント。先住民のヒューロン族の言葉で「出会いの場所」を意味するこの街は、人やモノが出合うことでケミストリーが起きるのか、数々のモダンアートにあふれています。また、トロントでは街や地区のことを「隣人」を意味する「ネイバーフッド」と呼び、ビジネス街やエスニックタウンなど、エリアごとに個性が分かれています。トロントに点在する、さまざまなアートと出合えるネイバーフッドを3スポット、ご紹介。そこには、インスタ映えする光景が待っています。
■1:壁という壁がキャンバス、グラフィティ・アレイ(Graffiti Alley)
クィーン・ストリート・ウエストから一本入った裏路地が、およそ1キロにわたって落書き(グラフィティ)で埋め尽くされている「グラフィティ・アレイ」。海の中の世界を描いたカラフルな作品から、ヒップホップ調のハードコアな作風、アメコミ風など、テイストはさまざま。トロントの自由な気風を感じさせる作品群です。
もともとは2000年代「スタイル・イン・プログレス」というイベントによって、24時間限定で法的に落書きが許されたのがはじまり。コメディアンのリック・マーサーがテレビ番組でこの裏路地を背景に使い、一躍有名になりました。多くのカナダ人がこの裏路地の名前や正確な場所は知らないものの、一度はテレビ画面を通して見たことがあるでしょう。
そして昨今のインスタブームで、世界に向けてメジャー・デビュー。かつては治安が悪かった裏路地も、今や人気観光スポットとなっています。
問い合わせ先
- グラフィティ・アレイ
- アクセス/地下鉄ヤング・ユニバーシティ線のオズグッド駅で下車、徒歩約10~15分。
住所/Graffiti Alley, Toronto, Ontario M5V 2W1
■2:ギャラリー巡りが楽しいウエスト・クィーン・ウエスト・アート+デザイン地区(West Queen West )
「クィーン・ストリート・ウエスト」をさらに西へ行った、「ウエスト・クィーン・ウエスト」。このネイバーフッドは、トロントのオフィシャルなアート+デザイン地区に指定されています。具体的にはバサースト・ストリートからグラッドストーン・アベニューまでの数ブロックがこのエリアにあたります。
2004年、19世紀後期に建造された老舗ホテルが「ドレーク・ホテル」として再オープンし、音楽やカルチャーの話題を発信。この10年あまりでクリエイターやデザイナーがこの界隈に集まりはじめ、アートに関連したギャラリーやスタジオ、ブティックが続々と登場しました。アートで注目されるようになり、ヒネリを効かせたレストランやショップもオープン、人がさらに訪れるようになりました。
ギャラリーごとにコンセプトが異なるので、扉を開くたびに新しい世界観と出合えます。次のギャラリーではどんな作品がまっているのか、期待感からか、ドアノブを握る手に力も入ります。
問い合わせ先
- ウエスト・クィーン・ウエスト
- アクセス/クィーン・ストリート・ウエストの通り沿い、バサースト駅からグラッドストーン・アベニューまで。地下鉄ブロア・ダンフォース線のバサースト駅などから徒歩で。
住所/1150 Queen Street West, Toronto, Ontario
■3:ミックスカルチャーの発信地、心はずむケンジントン・マーケット(Kensington Market)
チャイナタウンと隣接した、若者に人気のストリート・マーケット。ヴィクトリアンハウス(中には、壁という壁がほとんど落書きで埋め尽くされているものも)が軒を連ね、ストリートや細い路地が迷路のように走っています。
はじまりは1920年代、ユダヤ系移民たちが家の前にスタンドを立て、不用品を近隣同士で売りあっていたことから。今ではヨーロッパやカリブ、中東、アジアなどの移民も加わり、ミックスカルチャーの発信地になっています。人々が行き交う喧騒の中、鮮烈な色をした野菜や乾物、チーズなどを並べる食料品店や、世界各国の料理を専門とするレストラン、おしゃれなカフェがひしめきあい、活気に満ちています。ビンテージのカクテルドレスやロック調のTシャツ、ミリタリー用品など、掘り出し物の古着を目当てに訪れる人も。
問い合わせ先
- ケンジントン・マーケット
- アクセス/地下鉄ブロア・ダンフォース線の場合、スパダイナ駅またはバサースト駅で下車。ストリートカーに乗り、カレッジバス停で下車。
- 住所/Kensington Market, Toronto, Ontario
第2回は、新旧の名作と出会える、トロントの美術館やギャラリーをご紹介します!
シリーズ「アートなトロント旅」
- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- COOPERATION :
- トロント観光局( http://seetorontonow.jp/ )
- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子