過ぎてみれば笑い話!? でも、あのときは確かに大変だった「更年期」先輩のリアル…
「更年期」は確かにツライ。でも、乗り越えた先には平和な世界が待っている。先輩たちが一様に口にする言葉です。「更年期」が終わった今、いっそう美しく健やかな“先輩”にお話をうかがいました。
私は更年期の百貨店!このままでは“うつ”になってしまうと切羽詰まったことも|美容家・吉川千明さん
汗以外の症状はすべて出たと思う…と、更年期を振り返るのは、美容家の吉川千明さん。
「精神的なところでは、イライラやメソメソは日常的でした。夜中に目が覚めてベッドに腰を下ろし、長い時間ぼんやりしていたことも。それが、生活に不安があるとかではなくて、仕事も充実して多忙を極めていたときなんですよね。混んだ電車内で気分が悪くなったりして、軽いパニック障害に近い感じですよね」。
本当にツラかったときは、このままでは“うつ”になってしまうと、思い詰めたそう。
「肉体的な面では、手が痛くなって、物をよく落とすようになったり、肩こりがひどくなって、美容院のシャンプー台にも横たわれなくなったり。きわめつけは、自宅の庭で、なんてことない敷石に足をとられて、複雑骨折。でも、なによりツラかったのは、“頻尿と尿もれ”かもしれません。トイレが近くなって、食事に行っても買い物に行っても、いつもお手洗いに行くことばかり考えてしまう。食事に行っても、席に着く前にお手洗い、席についてはお手洗い、食事の途中でもお手洗い、まるで変な人ですよね。席を立つときも椅子を濡らしていないか気が気でなかったです。買い物しているときに、急いでトイレに駆け込んだものの間に合わず、足首まで伝うことがありました」
さまざまな症状に悩まされて、数多くのクリニックを彷徨さまよったそう。
「原因がわからず悩んでいたときは、クリニックからクリニックへのドクターショッピング。やがて婦人科で『ホルモン補充療法(HRT)』に出合い、すべてのトラブルは『女性ホルモン』の減少のせいなのだとわかったときは、目の前の霧がパァッと晴れるような感覚でした」
ご自身の衝撃的な体験から、更年期について学び深め、ついにメノポーズ(更年期)カウンセラーとして、悩める女性を助ける側に。
「私のような体験をしてほしくない! その一心からです。もっと早く正しい治療に行き着いていれば、こんなにツライ思いをせずにすんだはずと思うからです」
62歳の今は信じられないくらい“平和”だそう。
「加齢は進んでいるけれど、体調は悪くないし、心も体も静かなんです。更年期ってツライことばかりだけど、今になってみれば笑っちゃうことも多い。私の失敗談をお話しすることで、誰かのお役に立てるのなら、どんどん話して、どんどん笑わしちゃおうと思っているんです!」
- ILLUSTRATION :
- ミヤギユカリ
- EDIT&WRITING :
- 木更容子、佐藤友貴絵(Precious)