過ぎてみれば笑い話!? でも、あのときは確かに大変だった「更年期」先輩のリアル…
「更年期」は確かにツライ。でも、乗り越えた先には平和な世界が待っている。先輩たちが一様に口にする言葉です。「更年期」が終わった今、いっそう美しく健やかな“先輩”にお話をうかがいました。
ポットが持てないほどの手の痛み。病気を疑ったけれど、「更年期」特有の症状でした|医療ジャーナリスト・増田美加さん
「私の場合、最も特徴的に現れたのは、手のこわばりと痛みでした。関節が痛くて、ポットも持ち上げられない、洗濯ばさみも広げられない。しかも、痛いところが移動するんです。昨日までは親指と人差し指が痛かったのに、今日は小指といった具合に。これはリウマチかもしれないと思い専門医を訪ねましたが、検査で関節リウマチはないとわかり、初めて更年期の症状なのだと認識しました」
医療ジャーナリストという職業柄、体調の異変に素早く反応し、病気を疑い検査するという、理想的な行動をとられた増田さん。
「更年期の不調が現れ始めたのが45歳前後。当時は雑誌のライターとして人生で最も忙しく働いていた時期。徹夜や泊まり込みは当たり前みたいな毎日でした。実は、その2年前に乳がんが見つかり手術していました。乳がんは幸い初期で、治療もうまくいき、回復も早かったのですが、手の痛みはなかなか治まらず、仕事にも支障が出始めました。ほかにも、身体的には、肩こりや頭痛、倦怠感やめまい、胃腸機能の低下、冷えやむくみ、がありました。精神的には、気分の落ち込みやうつっぽさが、ありました。なかったのは、ホットフラッシュと不眠くらいですね」
関節のこわばりと痛みは、その後数年も続いたのだそう。
「乳がんサバイバーは『ホルモン補充療法(HRT)』ができないのです。それができれば関節のこわばりと痛みも、もっと簡単に解決したのかもしれません。私にはその選択肢がなかった。そのぶん、漢方の専門医にかかり、漢方薬で治療しました。仕事の仕方や生活も見直しました。手指は今も予防のために、電車に乗っている間もマッサージしたりしています」
そうして、更年期を終えた今、心も体もとても元気だそう。
「今60歳。女性ホルモンがほとんどなくなった状態ですが、その状態に体が慣れたので、低め安定という感じで、ツライ症状から解放されました。仕事のうえでは新たなライフワークも見つかりました。それがGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の啓発です。閉経して女性ホルモンがほぼゼロになると、膣が萎縮や乾燥し、性交痛、頻尿、尿もれなどを起こします、それがGSM。これは女性の生活の質を著しく低下させます。現在はまだ情報も少なくひとりで悩んでいる人も多い状況です。新たに注目されつつあるフェムゾーンの悩み、ひとりでも多くの女性が救われる助けになれればと活動しています」
- ILLUSTRATION :
- ミヤギユカリ
- EDIT&WRITING :
- 木更容子、佐藤友貴絵(Precious)