装いの秩序をもう一度取り戻すべき転機にある、現代の紳士たち。その上で、改めて再評価されるべきキーワードこそが「クラシコイタリア」だ。それは1990年代に隆盛を極め、いつしか形骸化していった言葉かもしれないが、その奥深いものづくりや気高いスタイル哲学の本質に、当時の私たちはまだたどり着けていなかったのではないか?
幸いにも、現代の「クラシコイタリア」スーツの選択肢は多い。初めての方も久しぶりの方も、袖を通せばきっと、ため息が出るだろう。動きやすさと美しさ、伝統を継承しながら時代のエッセンスをも取り込む懐の深さを、今こそ堪能していただきたい。
チェーザレ アットリーニ(左)とダル クオーレ(右)
決して時代に媚びないブリオーニの「ローマンスタイル スーツ」
現代の観点からいうと決して細身のシルエットとはいえないが、そのローマらしい優雅なシルエットこそがブリオーニの魅力。首から肩にかけてのなだらかなカーブや、パンツとの一体感、手縫いによる趣はまさに芸術だ。スーパー150’sのウールにシルクを15%混紡した生地も、無地グレーながら実に豊かな表情を描き出している。
スティレ ラティーノ(左)とルカ グラシア(右)
キートンのロングセラー、「KB」モデル
ナポリらしいやわらかな風合いと、端正さを兼ね備えた仕立てで、世界中のエグゼクティブから愛されるナポリの名門ファクトリー「キートン」。エクスクルーシブの超高番手ウールをすべて手縫いしながらも、ここまで美しく仕立てる技術には脱帽だ。美しいなで肩が魅力のロングセラー、「KB」モデル。
カルーゾ(左)とベルヴェスト(右)
フィレンツェ流の仕立てを見事に再現した「リべラーノ&リべラーノ」 のスーツ
今や世界的人気を誇るフィレンツェのテーラーによる、既製スーツ。やや大きめの肩、ラペルからフロントにかけての曲線的なカッティング、ダーツのない前身頃など、その美意識を見事に再現している。イタリアらしい玉虫色の生地「ソラーロ」との相性も抜群だ。
サルトリア チャルディ(左)とデ ペトリロ(右)
イタリア伝統の技術が惜しみなく注ぎ込まれた「クラシコイタリア」のスーツ、いかがだろう。美しく体に沿う快感を味合わずして、紳士の装いは語れない。
※価格はすべて税抜です。※2017年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2016年春号 新しき「クラシコイタリア」スーツ伝説より
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- クレジット :
- 撮影/熊澤 透(人物)唐澤光也(パイルドライバー/静物)構成/山下英介