『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は、冬の着こなしに欠かせない「ブーツ」にフォーカスします。
そのセレクト、そしてコーディネート次第で、「今年っぽく」なるか、「昔っぽく」なるか? スタイリングのカギを握るブーツ。犬走さんがご自身の「今季の3足」を吟味し、洗練された大人の冬カジュアルの極意を伝授してくれました!
■1:イギリスの名門「チャーチ」の黒いレースアップブーツ
久々に「ロングブーツ」がトレンドとして返り咲いた2022年。今回の企画も当初は「ロングブーツの復活!」をテーマに、というところからスタートしましたが、結論として犬走さんは「やはりショートブーツ派」であることを再認識。
「若い女性が、例えばミニスカートにロングブーツを合わせたりしているのはかわいいですよね。でも、私自身が取り入れるとなると、ボトムスとのバランスなど、いろいろ難しいなと思って」(犬走さん)
そんな犬走さんが、今年も“一軍”メンバーに選んだのが、「オックスフォード ブローグ」と呼ばれる、装飾として穴飾りが施された「チャーチ」のレースアップブーツ。
「存在感がありながらも、とても合わせやすくてコーディネート力があります。実はこれ、当初はもっと細いシューレースがついていたんです。でも、ブーツの雰囲気にその細さは華奢過ぎてバランスが悪いかなと。購入したその場でこのシューレースを探してつけ替えました」(犬走さん)
【着こなしは…】ボリュームパンツ&ロングコートに、透け感のあるブラウスでさりげない色香を添えて
「ブーツのコーディネートは、ボトムスとのバランスが命! 今年はこのブーツを、惜しみなく布地を使ったブラック コム デ ギャルソンの8分丈パンツに合わせ、長めのノーカラーコート、ブーツの三位一体で、全体のバランスを構築します。マスキュリンな雰囲気が強いので、サカイの透け感のあるブラウスで大人の色香をひと匙。コートはディウカという日本人デザイナーによるブランドのもの。偶然にこのコーディネートは日本人デザイナーでまとまりましたね。
着こなしが難しそうなイメージのボリュームパンツも、こんな風にモノトーンでまとめてブーツで引き締めれば、一気にハードルが下がるはずです!」(犬走さん)
■2:「セルジオ ロッシ」のバックル付きスエードブーツ
今年は当初からブラウンのブーツを買い足すことに決めていたという犬走さん。
「単純に、そういえばブラウンのブーツって持っていなかったなと気付いて(笑)。もちろんブラックは合わせやすくて便利だけど、ブラックほどかたくならず、ある意味ローファー感覚でコーディネートできそうだなと思いました。
このブーツとはドゥロワーで出合ったのですが、ニュートラルなアーモンドトウがちょうどいいなと。トウの形って、すごくトレンドがあるじゃないですか。でも、この、丸すぎずとんがりすぎずの程よいカーブは長く履けるだろうなと、パッと見て気に入りました」(犬走さん)
【着こなしは…】ロールアップデニム&最愛の紺ブレに、ローファー感覚で組み合わせ
「もちろん、エレガント寄りにコーディネートすることもできるシンプルなデザインですが、例えばこんなふうにロールアップしたデニムパンツと合わせるもの新鮮! また、紺ブレ+デニムパンツに王道のローファーではなく、あえてブーツをコーディネートするのは、冬ならではの楽しみでもあります。
デニムパンツは、もう何年はいているかわからないほど愛用しているジル サンダー。いいものってすごい! こんなに長く愛用してもへこたれないんです(笑)。そして紺ブレは、今年購入したセリーヌのもの。紺ブレは何着も持っているのに、どうしても惹かれて、“これで最後の紺ブレ”と、思い切って買いました。
アーガイルのニットはZARA。トラッドスタイルは私の定番ですが、新しい紺ブレとブラウンのブーツでアップデートしました」(犬走さん)
■3:スペイン発ブランド「ペルティニ」のハラコ使いブーツ
これも今年購入したニューフェイス。スペイン発のシューズブランド「ペルティニ」の、レースアップブーツです。
「前出のセルジオ ロッシ同様、今年購入するブーツはブラウン! という気持ちだったので、見つけて迷いなく購入しました。気に入ったポイントは、フロント部分のハラコの切り替え。カジュアルなコーディネートにも、さりげなく大人のリッチ感を添えてくれるかなと。また、とても暖かくて歩きやすい実用性も兼ね備えているので、この冬かなり活躍してくれそうです」(犬走さん)
【着こなしは…】上質カジュアルアイテムと合わせて、至高の「大人ボーイッシュ」!
インナーのTシャツを除いて、ジャケット、ニットパーカー、パンツすべて今年購入したブルネロ クチネリというラグジュアリーカジュアル!
「裾がゴムで絞られているナロウシルエットのジャージ素材パンツは、同素材のジャケットとのスーツ。でもこのブーツはそのままスーツに合わせるより、少しゆったり目のチェックのジャケット&ニットパーカーのレイヤードスタイルのほうがバランスよく、またこなれ感も演出しながら着こなせると思います。
ブーツはブラウンの単色ではなく、ハラコの切り替えによって表情があるので、こんな風にブルーがかったニュアンスのあるグレーにも自然にマッチ。スタイルアップ効果も発揮してくれます」(犬走さん)
今回は、人気スタイリストの犬走比佐乃さんが愛用しているブーツと、そのブーツを使った大人の冬カジュアルをご紹介しました。「今年らしさ」を演出するキーアイテムであるブーツを味方につけて、冬には冬のお洒落を! ぜひ参考にしてみてください。
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- PHOTO :
- 黒石 あみ(小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生