「プレミアム」と「プレミア」はカタカナ語としては似た印象のある言葉ですが、実は語源となる英語は別の単語です。今回はそれぞれの単語の意味とその違いについて解説します。
【目次】
【「プレミアム」と「プレミア」を理解する「基礎知識」】
「プレミアム」と「プレミア」は、どちらも英語を由来としたカタカナ語です。まずは語源である英語の意味からみて見ていきましょう。
■[premium(プレミアム)]の「意味」は?
名詞としての[premium]には、「掛け金、保険料」「割増金、特別手当」などの意味や「ハイオクガソリン」「賞、賞品」などの意味があります。形容詞としての使用は限定的ですが、「(品が)特級の、高級な」「特別料金の」といった意味をもちます。
■[premier(プレミア)]の「意味」は?
一方、[premier(プレミア)]は形容詞として「第1位の、首位の、最高の」「最初の、最古の」という意味で使われ、名詞としては「総理大臣、首相」を表します。サッカーで「プレミアリーグ(premier league)」といえば、イングランドのプロサッカー「1部リーグ」のこと。「最上位の」という意味で使われていますね。
カタカナ語「プレミア」の由来としてはもうひとつ、英語の[premiere]、フランス語の[première]を挙げることができます。こちらは映画や演劇などの「初日、初演」を意味し、世界で最初に行う公式上映は「ワールドプレミア(world premiere)」と呼ばれます。「プレミアショー」は、同じく一般公開の前の試写会を指します。
■ 「プレミアム」と「プレミア」の違いは?
カタカナ語である「プレミアム」を『デジタル大辞泉』で検索すると、「オプション料」「割増金」「景品や懸賞の賞品」「高級な、上等の」といった意味のほかに、「プレミア」と書かれています。そこで同様に「プレミア」を検索すると、「プレミアムの略」との記載が! 日本語では「プレミアム」と「プレミア」は同じような意味で使われてきたのですね。
例えば、本来ならば「なかなか手に入らない、付加価値のついたチケット」は「プレミアムがついたチケット」なのですが、日本語では「プレミアつきのチケット」のようにも用いられます。ただし、「高級感がある」という意図で使用する際には、「プレミアム感がある」と表現したほうがしっくりきます。ビールの銘柄である「プレミアム・モルツ」も、こちらの意味で使われていると思われます。また、景品やおまけの商品は「プレミアム」と呼ばれます。「プレミアムキャンペーン」は、 景品がついたキャンペーンのことです。
ところで、2017年には、経済産業省や経団連などが主導した「プレミアムフライデー」というキャンペーンがありました。覚えていますか?「月末の金曜日は15時退社」という、いわば働き方改革としての提案でしたが、残念ながら定着しませんでした。こちらはおそらく「ひと月のなかでいちばん価値のある、特別な金曜日」という意味合いでの命名ですね。「プレミアム」は「外国為替や株式市場における、ある額面を超えた金額、差額」という意味でも使われています。
このように、カタカナ語としては長年同じような意味で使われてきた「プレミアム」と「プレミア」ですが、近年ではその使い分けが明確になってきているようです。
【それぞれの「言い換え」「類語」表現】
■「プレミアム」の「言い換え」「類語」表現
・高級な ・上等の ・付加価値のある ・おまけ付き ・特別な
■「プレミア」の「言い換え」「類語」表現
・最高の ・最初の ・最上位の
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「プレミアム」と「プレミア」は、かつてカタカナ語として同じような意味で使われていましたが、現在では英語本来の意味での使い分けがされつつあるようです。この機会に、知識としてそれぞれの意味を頭に留めておきましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社) :