人生、自分がいかに自分らしくいられるかが大切ではないでしょうか

──2024年はたくさんの新しいチャレンジにトライされました。その中には初のエッセイ連載も含まれていましたが、書くことはもともとお好きだったのですか?
「いえ、これまで文章は学校の作文くらいしか書いたことがなかったので、本格的に書くのは和樂Webの連載が初めてです。『Que sais-je「自分が何も知らない」ということを知る旅へ!』というタイトルで、毎回自由に書かせていただいています。僕はペンを持つまでが長くて、最初の1行を書き出すまでに少し時間がかかってしまうのですが、気持ちが乗ってくると20〜30分で一気に書き上げることもあったりします」
──身体表現やスポーツ、音楽などの趣味的なトピックを軸に、内面的な世界から個人的なエピソードまで、感性豊かに綴られる“心の旅”がとても味わい深いです。♯006で書かれていたX-JAPANのhideさんの音楽を知ったのはどのようなきっかけだったのでしょう。
「音楽を聴くことは小学生時代から好きでしたが、日本を代表するバンド、X-JAPANの音楽とは一体どんなものなんだろうと思い、高2のとき何気なく視聴したラストライブの映像がきっかけとなりました。
そのとき、「DAHLIA」という曲でギターソロを弾くhideさんの姿に一瞬で惹き込まれたのです。ステージに立つ姿や表情を見ているうちに、なぜだかすごく共感できるような気がしてきて。“この方はもしかしたら自分と同じ星回りかもしれない”と、当時ハマっていた九星気学で調べたら、本当に自分と同じ九紫火星で。そこからですね。hideさんの曲は令和の今聞いても色褪せない魅力があります。「TELL ME」や「Misery」などは心を落ち着かせてくれますし、ご存命でしたら本当に一度お会いしてみたかったです」


──実は片岡千之助さんの人生初の連載は3〜4歳のとき、『和樂』本誌の連載だったということが『Que sais-je』の初回で明かされていて驚きました。
「あれは僕の初舞台までの1年の様子を追ったドキュメント的な連載でした。母が企画して、ひとりのカメラマンの方がずっと寄り添ってくださって。初回は祖父の楽屋へのご挨拶の様子をお届けしています。改修前の歌舞伎座の前には、甘栗屋さんがありましたよね。あのふんわりと甘い香りは今も忘れず覚えています。僕の人生の中でとても温かい時間でした」
──プレシャス世代の働く女性はバリバリ仕事をされている方が多いのですが、大人世代の女性がちょっと行き詰まったり、悩んだりしてしまうとき。何か良いアドバイスをお願いします。
「思いきって“のらりくらり、漂うようにたおやかに、硬くなりすぎずに自分らしく”というマインドでいってみるのはいかがでしょうか。これは僕自身の座右の銘だったりもするのですが、柳のようにしなる柔らかさは、時に強さにもなります」

──片岡さんご自身も、柳のようにしなやかな方にお見受けするのですが?
「僕も昔は頑固なところがあったのですが、今は芯を持ちながらも変化を受け入れられる、しなやかな自分を目指しています。風に吹かれる柔らかな布みたいに、イヤなことはサーッと受け流せたら理想ですよね。ちなみに“たおやか”という字がすごくいい字なんですよ。女偏に弱いと書いて、嫋やか。みなさんに刺さるかもしれませんね」
この日はメディア取材日で、お昼どきを超えて取材撮影にのぞんでくださった片岡さん。取材後、紙コップや紙皿をご自身で捨てている後ろ姿に梨園のプリンスを感じました。片岡さん渾身の舞台「ルネサンス音楽劇『ハムレット』」は、9月3日より東京10公演、9月13日より京都4公演、ぜひご期待ください!
ルネサンス音楽劇『ハムレット』9月3日より上演!
原作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:彌勒忠史
東京公演:2025年9月3日(水)~9日(火)新国立劇場 小劇場
京都公演:2025年9月13日(土)~15日(月祝)先斗町歌舞練場
出演:片岡千之助/花乃まりあ、高田翔、山本一慶、朝月希和/福井晶一
料金:S席¥10,000 A席¥8,000(税込・全席指定)
問い合わせ先
- PHOTO :
- 熊澤 透
- STYLIST :
- 桧垣健太郎
- EDIT&WRITING :
- 谷畑まゆみ