「コケティッシュなところが彼女の魅力だね」といったら、その女性をどうイメージするでしょうか。ちょっとボーイッシュなところがあるかわいらしい女性? おどけた感じ? 子供っぽい? 実はそのイメージ、ぜ~んぶ間違い! 今回は、誤解されやすい「コケティッシュ」について解説します。

【目次】

「キミってコケティッシュだね」と言われたら…?
「キミってコケティッシュだね」と言われたら…?

【「コケティッシュ」の「正しい意味」と「語源」】

■意味

一般的に私たちが使ったり目にしたりしている「コケティッシュ」は、英単語[coquettish]からきたカタカナ語。『日本国語大辞典』(小学館刊)には、「女性の動作、物腰に、男性をひきつけるような所があるさま。動作、物腰が色っぽいさま」とあります。本来は女性の艶(なま)めかしいさまを表す形容動詞なので、「コケティッシュな魅力」といったら「色っぽい魅力」ということ。冒頭で紹介したような意味とはずいぶん違いますね。

■語源

英単語[coquettish]のもとは、フランス語の[coquette]だといわれています。フランス語[coquette]には「軽薄な」という意味があるので、思わせぶりな態度をとったり、遊び半分で相手の気を引こうとする女性の様子を表す単語というわけです。

原語はいい意味ではありませんが、カタカナ語の「コケティッシュ」は本来の意味とは異なり、むしろ性的ではない部分をプラスの魅力として捉えた言葉として定着したようです。解釈が難しいところではありますが、「キミってコケティッシュだね」と言われたら、ほめ言葉として受け取ってよいでしょう。


【「コケティッシュ」はどう使う?「例文」3選】

■1:「彼女の魅力はコケティッシュなところだ」

女性のほめ言葉として使う場合の例文です。ただ色っぽい人を指すのではなく、艶やかでありながら品があり、親しい雰囲気も醸している人に対して用いることが多いでしょう。女優で例えるなら、オードリー・ヘプバーンはその代表格ですね。

■2:「男性の多い職場では、コケティッシュさは封印したほうが過ごしやすい」

異性の目に留まるような魅力は封印したほうがいい、という意味ですが、ジェンダーレスな時代にはそぐわない例文でしょうか。

■3:「来季のファッションの傾向はコケティッシュがテーマらしい」

「コケティッシュ」は女性らしい魅力を伝えるだけでなく、ファッションやメイクなどにも使われる言葉。全面的にセクシーなものは「コケティッシュ」には当てはまらないでしょう。


日本語で言い換えるなら?「類語」「対義語」表現

本来の意味と一般的に使われている意味が異なることが多く、またジェンダーレスな社会においては微妙な言葉である「コケティッシュ」。言葉は「誤解がないよう」に使うべきであり、また「誰かを傷つけるものであってはならない」と配慮して使うべきです。「類語」を確認してみましょう。

■ほめ言葉として

・色っぽい ・艶っぽい ・小悪魔的 ・艶(なま)めかしい 

■ネガティブな表現として

・思わせぶり ・色仕掛け

■対義語

・ボーイッシュ ・さばさばしている ・男まさり 

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今回取り上げた「コケティッシュ」は、実は使い方が難しい言葉でした。しかし、時代の変化とともに言葉も変化、そして進化していくもの。だからこそ、“語彙力”は常に磨いていくべきなのです!

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『あの新語もわかる カタカナ語すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社) :