「ジャクリーン推し」のスタイリスト・高橋リタさんと読み解く【最愛「ジャッキー」モダン・エレガンスの物語】

時代を経てなお、色褪せないおしゃれアイコンとして輝き続けるジャッキー。そのスタイルを「私のおしゃれの原点であり、最強のファッショニスタ」と語る、人気スタイリスト・高橋リタさんが徹底解説。

世界を飛び回った彼女の装いをN.Y.スタイルとカプリスタイルに分けて、比較&分析します。

Jacqueline Kennedy Onassis
資産家令嬢として育ち、24歳でケネディ家の御曹司・ジョンと結婚、第35代アメリカ合衆国大統領夫人に。ジョンの死後はギリシャの実業家、アリストテレス・オナシスと再婚。自分らしさを貫いた着こなしは、今も世界中から愛され続けている。

高橋リタさんが語る “私がジャッキーを愛する理由”

人気スタイリスト・高橋リタさん
 
高橋 リタさん
スタイリスト
本誌を中心にカタログなどでも活躍。シンプルでブレないスタイリングは、愛するジャッキーへのオマージュから生まれたものも多数。自身も “カルティエ” の『タンク』を型違いで所有する “偏愛” スタイリストでもある。

「私はいつでも、私でいたい」。

私のおしゃれ哲学は、この一文に凝縮されているといっても過言ではありません。今日と明日とで違う女性を生きたいわけではない。好きなテイストの好きなアイテムだけを日々身につけていたい。なぜならそうすることで「心地よく過ごせる」から。

そしてジャッキーこそ、その「心地よいおしゃれ」を追求し “ジャッキースタイル” にまで昇華させた唯一無二の女性だと思うのです。では、彼女はなぜそれができたのか。答えは、自分を知り尽くす “聡明さ” を備えていたからではないでしょうか。

大人コーデ_1,セレブ_1
左上は、クルーネックTシャツにクロップドパンツ、サンダル姿の【カプリスタイル】、右下はタンクワンピースで歩く【N.Y.スタイル】のジャッキー。

まずジャッキーは、自分の好きなものを完全に把握していて、その軸がぶれることはありませんでした。そのひとつがタンクワンピース。N.Y.の街を闊歩するときはもちろん、足元のフラットパンプスをトングサンダルに替えて、リゾート地でも変わらずに堪能している姿が見られます。

カプリ島で愛用しているクルーネックTシャツやクロップドパンツも同様。色やシルエットが微妙に違う、でも似たようなアイテムを存分に楽しんでいて、その究めっぷりは “偏愛力” と呼びたいほど(笑)。

自分の体型も熟知していたのだと思います。タンクワンピースを例にとれば、襟元の詰まり方、脇ぐりのバランス、ほんのりとしたAラインに上品な膝上丈…自分には何が似合うのか、どのサイジングが美しく見えるのか、その “分析力” も優れていたのではないでしょうか。

そしてなにより、つねに人の目にさらされていたからこそ、さまざまなシーンで、どう装いどう振る舞うか。その “想像力” にも長けていたのだと思います。だからこそファーストレディ、大富豪の妻、そしてひとりの働く女性としてどんな場にもなじみ、かつ自分が心地よいスタイルを貫くことができたのでしょう。

「何が好きか。何が似合うか。自分を知り尽くした “聡明さ” を愛してやまないのです」(高橋リタさん)

どの写真を見ても愛用しているのはベーシックなアイテムばかり。そこに彼女らしい小物をトッピングし “ジャッキー・スタイル” に仕上げています。ただ何をベーシックとするかは人それぞれ。好みや体型により黒タートルの人もいれば、白シャツの人もいるでしょう。「マイベーシック」を精査することで、心地よいおしゃれと人生が手に入るとしたら…。

大人の女性はもういろんな自分になる必要はありません。誰でもない自分だけの物語を紡ぎ、その装いを貫いたジャッキー。彼女は永遠に、私のおしゃれのミューズなのです。

※高橋リタさんの【高】は「はしごだか」が正式表記です。

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STYLIST :
高橋リタ
EDIT&WRITING :
本庄真穂、喜多容子(Precious)
写真協力 :
Getty Images