パールの可能性を無限大に切り拓く「M/G TASAKI」
パールをスライスしたりドリルを入れるという、それまで誰も思いつきもしなかったジュエリーメイキングを実行するなど、「斬新」、「革新的」という形容詞が常に冠されてきたメラニー・ジョージャコプロスさん。
「TASAKI」とのコラボレーションライン「M/G TASAKI」が発売開始10周年となる2023年、新シリーズ『バロックドロップス』と『リフレクテッド』、そして高い人気を誇る代表的デザイン『アルルカン』の新バリエーションをリリース! 4年ぶりに来日したメラニーさんに、これらの新作、そして“パール”というジュエリーの魅力と、デザイナーとしてのフィロソフィーなど、興味深いお話を伺いました。
ヘッド デザイナーであるメラニー・ジョージャコプロスさんが、アーティスティックな感性のもと、新たなデザインアプローチで展開するモダンで斬新なジュエリーコレクション「M/G TASAKI」。
ジュエリーデザイナーになる前には彫刻を学び、建築やファッションにも造詣が深い彼女が創造するパールジュエリーは、確かに「アート」でもあり「オブジェ」のようでもあり ──「パール=コンサバティブ」というイメージをしなやかに超越したクリエイションは、さらにみずみずしく進化しています。
2007年、ジュエリーの修士号を取得後、2010年に自身のブランド「メラニー・ジョージャコプロス」を立ち上げる。2012AW London Fashion Weekでは、英国におけるファインジュエラーの10人に選出。2013年、ヘッド デザイナーとして「TASAKI」とコラボレーションして生み出した「M/G TASAKI」ラインが発売開始。
創作意欲をかきたてる、神秘的な“パール”への尽きない情熱
この春、3つのシリーズで新作を発表したメラニーさん。「TASAKI」とのコラボレーションがスタートして10年という節目の年を迎えましたが、ご自身にとって今、“パール”とはどんな存在なのでしょうか?
「10年は決して短くない歳月ですし、私自身、パールと共に人生を歩むようになってからはもっと時間が過ぎていますが、いまだにパールを見るとワクワクが止まらないんです。また、パールは、私にかけがえのないものを与えてくれてばかりいるから、見ていて感傷的な気持ちになることもあります」(メラニーさん)
ジュエリーデザイナーとして長年、パールと対峙し、寄り添い続けてきてもなお、その神秘的な輝きはメラニーさんの創作意欲を刺激し続けています。
「パールには、天然と養殖、サイズ、色、形いろいろなものが存在しますよね。一般的には白くて丸い粒と思われていて、それが王道であるのは間違いではないけれど、それは非常に限定されたものなんです。私は、もっともっとみなさんにパールについて知っていただきたいし、もっと目を大きく開いて、これまでに見えなかった美しさや個性を見つけてほしいと思っています」(メラニーさん)
そんな思いも込められた3つのラインの新作たち。それぞれの魅力や創作秘話を語っていただきましょう。
バロックパールにゴールドの“雫”が煌めく『バロックドロップス』
水面に漂うプリズムの艶めきと、そこに降り注ぐ小さな雫を表したシリーズ『バロックドロップス』。この世界にひとつとして同じものがないグレーのバロックパールを用いて、水面に揺れる優しい波を表現。繊細にセッティングされたイエローゴールドの粒が演じる“雫”が、強い煌めきとしなやかな個性を添えます。
「バロックパールを使ったのは今作で2回目になるのですが、形がユニークなので、それが私にとってはすごくエキサイティングでした。みなさんがイメージする乳白色のパールとは違い、ちょっとグレーがかったニュアンスのあるパールとゴールドの融合から、繊細な美しさを生み出せたと思っています」(メラニーさん)
パールとゴールドの球体が互いを映し出す『リフレクテッド』
グラデーションを描くように連なる4珠のパールと、イエローゴールドでかたどった球体が寄り添い、呼応し反射しているかのような『リフレクテッド』。まろやかなパールと艶やかなイエローゴールドが互いに引き立てあいながらも調和し、彫刻的な美しさを放つ、ダイナミックなデザインが印象的です。
「これはゴールドの球体がパールのコピーになっているんですね。向かい合わせになったゴールドの部分がまるでパールを鏡に映したようなデザインに仕上げています。どちらが主役なんだろうと見る人を惑わせるようなイメージです。パールという自然に生まれたものと、人工的な手を加えて球体にしたゴールド、また、白とゴールドの対比がポイントになっています」(メラニーさん)
実は今回の3シリーズの新作のなかで、いちばん思い入れがあるのがこの『リフレクテッド』だそう。
「個人的にはこれがいちばんのお気に入りです。なかでもイヤリング! 左右を逆にしてつければ、手前にくるモチーフの素材を変えることができます。デザイン自体だけではなく、つけ方によって変わってくる表情も楽しんでほしいですね」(メラニーさん)
ユニークなデザインを高度な技術で実現した『アルルカン スラッシュド』
「M/G TASAKI」の人気シリーズ『アルルカン』から、モダンな印象はそのままに、まるでパールがいきいきと回転しているかのような躍動感あるデザインで登場した『アルルカン スラッシュド』。
コレクション名にも採用され、“相反するものを見出し、伝統や常識から解き放つ”というコンセプトを表現する「/」(スラッシュ)のフォルムを着想源に、半分をイエローゴールドで覆ったパールを互い違いにセット。非凡な個性と、スタイリッシュでエレガントなイメージを加速させた新作です。
「実は今回の新作のなかで、技術的な面においてデザインを具現化するのが難しかったのがこのラインなんです。特にパールとゴールドキャップの繋ぎ目、エッジの部分には最新の注意を払いました。ジュエリーというのは身につけて動くものですから、繊細なデザインに見えても、日常的な行動で多少何かが当たってもずれたりしないだけの強度が必要です。
これはこの10年間のTASAKIとのお仕事で学んだことでもありますが、“売れるデザイン”というだけではなく、ずっと身につけていても壊れない、長く愛用してもらえる商品をお客さまにお届けするというのが、デザイナーとしても非常に重要だと思っています」(メラニーさん)
今ではメラニー・ジョージャコプロスというジュエリーデザイナーを象徴する、「スライスしたパール」。それまでの概念や常識では、ともすれば“冒涜”とも捉えられかねない大胆なジュエリーメイキングでしたが、最初にパールをカットしようと思い立ったときは、実は「あまり深く考えていなかった」と振り返ります。
「例えば、誰かに何かを言われるとか誰が買うんだろうとか、あれこれ考えずにとりあえずやってみたんです。人生って何かに怯えていると何もできない。でもとりあえず、うまくいかなくても実行してみれば、そこで学んでまた先に進める。何もしなければずっと停滞してしまうと思っていて。
あのとき、私が後先を考えすぎずに踏み出したからこそ、そこからTASAKIとの関係が始まり、10年も続けさせていただくことができました。あえて着地点を想像しないでスタートすることも、人生には必要かもしれません(笑)。そして今は、さらに10年後もTASAKIと共にジュエリーを作っていけることを願っています」(メラニーさん)
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- PHOTO :
- 横田紋子(小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生