雑誌『Precious』8月号では「私を語る印象派ジュエリー」と題して、4人のジュエリー賢者がたどり着いた今の結論をご紹介。上質でシンプルな服を愛するプレシャス世代は、その人らしさを象徴し、鮮やかに印象づけるステディジュエリーをもっています。

本記事では、スタイリスト、ファッション・ディレクターの青木貴子さんに想い出のストーリーやセレクトの決め手をうかがいました。

青木 貴子さん
スタイリスト、ファッション・ディレクター
(あおき たかこ)大人のリアルモードな着こなしを提唱。海外のコレクションリポートやエッセイなどの執筆のほか、服、雑貨、ジュエリーのデザインも手掛け、多様なフィールドで活躍。趣味の料理好きが高じ、レシピ本も刊行。

「心ときめかせるもの。それがパワーを与える、『印象派ジュエリー』」(青木 貴子さん)

ブレスレット_1
”エルメス”の『トゥアレグ』のペンダントは、初登場(1997年)から程なくして購入。サハラ砂漠で遊牧生活を営むトゥアレグ族により施された手彫りの銀装飾が特徴だ。ブレスレットとリングはロンドン発のアクセサリーブランド”LARA BOHINC(ララ・ボヒンク)”。彫りの繊細な美しさが、『トゥアレグ』に匹敵する格と存在感を放つ。

”エルメス”の『トゥアレグ』との出合いは20年以上前。見る者に訴えかけるプリミティブなパワーと、細工の繊細さや重厚感、レザーの使い方など、アートとしての完成度の高さに衝撃を受けました。今でもつい手に取ってしまう、ヘビロテアイテムのひとつです。

私のワードローブは基本的にシンプルでベーシック。だからこそ、スタイリングにおいて、フックが効いたアイテムは貴重な存在です。ジュエリーについて「高価なものだから長く使える無難なデザインを」とおっしゃる人がいます。でも、パッと見た瞬間強く惹かれるものって、たぶん、ほかの人から見ても素敵に見えるものなのです。万人の目を引くパワーを備えているから、それを身につけている人自身を引き立て、いっそう魅力的に見せてくれるのでは。最初は「自分にはちょっと難しいかな」と思っても、心惹かれたものをつけていれば気分が上がるし、使い続けているうちにスタイリングもこなれてくると思うのです。

ジュエリーとの出合いは一期一会。高価なものだからこそ、自分の直感に正直に、心がときめくものを選ぶべき、と私は思います。個性的なもののほうがほかの人とバッティングしないし、価値がある。それこそが「印象派ジュエリー」の真骨頂といえるのではないでしょうか。(青木さん)

※掲載アイテムはすべて私物になりますので、ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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PHOTO :
小池紀行(cask)
EDIT&WRITING :
喜多容子(Precious)
取材・文 :
河西真紀